『賢く生きよう』

 

 ーユダヤ人の知恵に学ぶー

 

 新共同訳旧約聖書 申命記

 

(モーセの律法より)

 

4章

 

*モーセの勧告

 

 4:1 イスラエルよ。今、わたしが教える掟と法を忠実に行いなさい。そうすればあなたたちは命を得、あなたたちの先祖の神、主が与えられる土地に入って、それを得ることができるであろう。

 

4:2 あなたたちはわたしが命じる言葉に何一つ加えることも、減らすこともしてはならない。わたしが命じるとおりにあなたたちの神、主の戒めを守りなさい。

 

4:3 あなたたちは、主がバアル・ペオルでなさったことをその目で見たではないか。あなたの神、主はペオルのバアルに従った者をすべてあなたの間から滅ぼされたが、

 

4:4 あなたたちの神、主につき従ったあなたたちは皆、今日も生きている。

 

 

 4:5 見よ、わたしがわたしの神、主から命じられたとおり、あなたたちに掟と法を教えたのは、あなたたちがこれから入って行って得る土地でそれを行うためである。

 

4:6 あなたたちはそれを忠実に守りなさい。そうすれば、諸国の民にあなたたちの知恵と良識が示され、彼らがこれらすべての掟を聞くとき、「この大いなる国民は確かに知恵があり、賢明な民である」と言うであろう。

 

4:7 いつ呼び求めても、近くにおられる我々の神、主のような神を持つ大いなる国民がどこにあるだろうか。

 

4:8 またわたしが今日あなたたちに授けるこのすべての律法のように、正しい掟と法を持つ大いなる国民がどこにいるだろうか。

 

 

 4:9 ただひたすら注意してあなた自身に十分気をつけ、目で見たことを忘れず、生涯心から離すことなく、子や孫たちにも語り伝えなさい。

 

4:10 あなたがホレブであなたの神、主の御前に立った日、主はわたしに言われた。「民をわたしのもとに集めなさい。わたしの言葉を彼らに聞かせ、彼らが地上に生きる限り、わたしを畏れることを学び、またそれを子らに教えることができるようにしよう。」

 

4:11 あなたたちが近づいて山のふもとに立つと、山は燃え上がり、火は中天に達し、黒雲と密雲が垂れこめていた。

 

4:12 主は火の中からあなたたちに語りかけられた。あなたたちは語りかけられる声を聞いたが、声のほかには何の形も見なかった。

 

4:13 主は契約を告げ示し、あなたたちが行うべきことを命じられた。それが十戒である。主はそれを二枚の石の板に書き記された。

 

4:14 主はそのとき、あなたたちが渡って行って得ようとしている土地で行うべき掟と法をあなたたちに教えるようにわたしに命じられた。

 

 

*偶像礼拝に対する警告

 

 

 4:15 あなたたちは自らよく注意しなさい。主がホレブで火の中から語られた日、あなたたちは何の形も見なかった。

 

4:16 堕落して、自分のためにいかなる形の像も造ってはならない。男や女の形も、

 

4:17 地上のいかなる獣の形も、空を飛ぶ翼のあるいかなる鳥の形も、

 

4:18 地上を這ういかなる動物の形も、地下の海に住むいかなる魚の形も。

 

4:19 また目を上げて天を仰ぎ、太陽、月、星といった天の万象を見て、これらに惑わされ、ひれ伏し仕えてはならない。それらは、あなたの神、主が天の下にいるすべての民に分け与えられたものである。

 

4:20 しかし主はあなたたちを選び出し、鉄の炉であるエジプトから導き出し、今日のように御自分の嗣業の民とされた。

 

4:21 主はあなたたちのゆえにわたしに対して怒り、わたしがヨルダン川を渡ることも、あなたの神、主からあなたに嗣業として与えられる良い土地に入ることも決してない、と誓われた。

 

4:22 従って、わたしはヨルダン川を渡ることなくここで死ぬ。しかし、あなたたちは渡って行って、その良い土地を得る。

 

4:23 あなたたちは注意して、あなたたちの神、主があなたたちと結ばれた契約を忘れず、あなたの神、主が禁じられたいかなる形の像も造らぬようにしなさい。

 

4:24 あなたの神、主は焼き尽くす火であり、熱情の神だからである。

 

 

 4:25 あなたが子や孫をもうけ、その土地に慣れて堕落し、さまざまの形の像を造り、あなたの神、主が悪と見なされることを行い、御怒りを招くならば、

 

4:26 わたしは今日、あなたたちに対して天と地を呼び出して証言させる。あなたたちは、ヨルダン川を渡って得るその土地から離されて速やかに滅び去り、そこに長く住むことは決してできない。必ず滅ぼされる。

 

4:27 主はあなたたちを諸国の民の間に散らされ、主に追いやられて、国々で生き残る者はわずかにすぎないであろう。

 

4:28 あなたたちはそこで、人間の手の業である、見ることも、聞くことも、食べることも、嗅ぐこともできない木や石の神々に仕えるであろう。

 

4:29 しかしあなたたちは、その所からあなたの神、主を尋ね求めねばならない。心を尽くし、魂を尽くして求めるならば、あなたは神に出会うであろう。

 

4:30 これらすべてのことがあなたに臨む終わりの日、苦しみの時に、あなたはあなたの神、主のもとに立ち帰り、その声に聞き従う。

 

4:31 あなたの神、主は憐れみ深い神であり、あなたを見捨てることも滅ぼすことも、あなたの先祖に誓われた契約を忘れられることもないからである。

 

 

 4:32 あなたに先立つ遠い昔、神が地上に人間を創造された最初の時代にさかのぼり、また天の果てから果てまで尋ねてみるがよい。これほど大いなることがかつて起こったであろうか。あるいは、そのようなことを聞いたことがあろうか。

 

4:33 火の中から語られる神の声を聞いて、なお生きている、あなたと同じような民があったであろうか。

 

4:34 あるいは、あなたたちの神、主がエジプトにおいてあなたの目の前でなさったように、さまざまな試みとしるしと奇跡を行い、戦いと力ある御手と伸ばした御腕と大いなる恐るべき行為をもって、あえて一つの国民を他の国民の中から選び出し、御自身のものとされた神があったであろうか。

 

4:35 あなたは、主こそ神であり、ほかに神はいないということを示され、知るに至った。

 

4:36 主はあなたを訓練するために、天から御声を聞かせ、地上に大いなる御自分の火を示された。あなたは火の中からその言葉を聞いた。

 

4:37 主はあなたの先祖を愛されたがゆえに、その後の子孫を選び、御自ら大いなる力をもって、あなたをエジプトから導き出された。

 

4:38 神はあなたよりも強大な国々をあなたの前から追い払い、あなたを導いて、今日のように彼らの土地をあなたの嗣業の土地としてくださった。

 

4:39 あなたは、今日、上の天においても下の地においても主こそ神であり、ほかに神のいないことをわきまえ、心に留め、

 

4:40 今日、わたしが命じる主の掟と戒めを守りなさい。そうすれば、あなたもあなたに続く子孫も幸いを得、あなたの神、主がとこしえに与えられる土地で長く生きる。

 

 

*逃れの町

 

 

 4:41 モーセはその後、ヨルダン川の東側に三つの町を定め、

 

4:42 意図してでなく、以前から憎しみを抱いていたのでもないのに、隣人を殺してしまった者をそこに逃れさせ、その町の一つに逃れて生き延びることができるようにした。

 

4:43 それは、ルベン領の台地の荒れ野にあるベツェル、ガド領ギレアドのラモト、マナセ領バシャンのゴランである。

 

*律法の前書き

 

 

 4:44 これから述べることは、モーセがイスラエルの人々に示した律法である。

 

4:45 イスラエルの人々がエジプトを出たとき、モーセが彼らに告げた定めと掟と法は次のとおりである。

 

4:46 それは、ヨルダン川の東で、ヘシュボンに住むアモリ人の王シホンの領土にあるベト・ペオルの前に広がる谷においてなされた。モーセとイスラエルの人々は、エジプトを出た後、この王を撃って、

 

4:47 その国を占領し、更にバシャン王オグの国を占領した。すなわち、ヨルダン川の東側に住むアモリ人の二人の王の国を占領した。

 

4:48 それは、アルノン川沿いのアロエルからシオンつまりヘルモン山に及び、

 

 

4:49 ヨルダン川の東側のアラバ全域を含み、ピスガ山のすそ野にあるアラバの海に達していた。

5章

  

*十戒

 

 5:1 モーセは、全イスラエルを呼び集めて言った。イスラエルよ、聞け。今日、わたしは掟と法を語り聞かせる。あなたたちはこれを学び、忠実に守りなさい。

 

5:2 我々の神、主は、ホレブで我々と契約を結ばれた。

 

5:3 主はこの契約を我々の先祖と結ばれたのではなく、今ここに生きている我々すべてと結ばれた。

 

5:4 主は山で、火の中からあなたたちと顔と顔を合わせて語られた。

 

5:5 わたしはそのとき、主とあなたたちの間に立って主の言葉を告げた。あなたたちが火を恐れて山に登らなかったからである。

主は言われた。

 

 5:6 「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。

 

 5:7 あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。

 

 5:8 あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。

 

5:9 あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。わたしは主、あなたの神。わたしは熱情の神である。わたしを否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問うが、

 

5:10 わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える。

 

 5:11 あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。

 

 5:12 安息日を守ってこれを聖別せよ。あなたの神、主が命じられたとおりに。

 

5:13 六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、

 

5:14 七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、牛、ろばなどすべての家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。そうすれば、あなたの男女の奴隷もあなたと同じように休むことができる。

 

5:15 あなたはかつてエジプトの国で奴隷であったが、あなたの神、主が力ある御手と御腕を伸ばしてあなたを導き出されたことを思い起こさねばならない。そのために、あなたの神、主は安息日を守るよう命じられたのである。

 

 5:16 あなたの父母を敬え。あなたの神、主が命じられたとおりに。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生き、幸いを得る。

 

 5:17 殺してはならない。

 

 5:18 姦淫してはならない。

 

 5:19 盗んではならない。

 

 5:20 隣人に関して偽証してはならない。

 

 5:21 あなたの隣人の妻を欲してはならない。隣人の家、畑、男女の奴隷、牛、ろばなど、隣人のものを一切欲しがってはならない。」

 

 5:22 主は、山で、火と雲と密雲の中から、力強い声をもってこれらの言葉を集まったあなたたちすべてに向かって告げ、それに何も加えられなかった。更に、それを二枚の石の板の上に書いてわたしに授けられた。

 

 

*神の言葉を取り次ぐ者

 

 5:23 山は火に包まれて燃え上がり、あなたたちが暗闇からとどろく声を聞いたとき、あなたたちの部族の長と長老は皆、わたしのもとに来て、

 

5:24 言った。

 

 「我々の神、主は大いなる栄光を示されました。我々は今日、火の中から御声を聞きました。神が人に語りかけられても、人が生き続けることもあるということを、今日我々は知りました。

 

5:25 しかし今、どうしてなお死の危険に身をさらせましょうか。この大きな火が我々を焼き尽くそうとしています。これ以上、我々の神、主の御声を聞くならば、死んでしまいます。

 

5:26 一体誰が火の中から語りかけられる、生ける神の御声を我々と同じように聞いて、なお生き続けているでしょうか。

 

5:27 どうか、あなたが我々の神、主の御もとに行って、その言われることをすべて聞いてください。そして、我々の神、主があなたに告げられることをすべて我々に語ってください。我々は、それを聞いて実行します。」

 

 5:28 あなたたちがわたしに語ったとき、主はその言葉を聞かれて、わたしに言われた。「この民があなたに語ったことを聞いたが、彼らの語ったことはすべてもっともである。

 

5:29 どうか、彼らが生きている限りわたしを畏れ、わたしの戒めをことごとく守るこの心を持ち続け、彼らも、子孫もとこしえに幸いを得るように。

 

 5:30 あなたは、彼らのもとに行って、それぞれの天幕に帰れと命じなさい。

 

5:31 しかし、あなたはここにとどまり、わたしと共にいなさい。わたしは、あなたに戒めと掟と法をすべて語り聞かせる。あなたはそれを彼らに教え、彼らはわたしが得させる土地においてそれを行う。」

 

 5:32 あなたたちは、あなたたちの神、主が命じられたことを忠実に行い、右にも左にもそれてはならない。

 

 

5:33 あなたたちの神、主が命じられた道をひたすら歩みなさい。そうすれば、あなたたちは命と幸いを得、あなたたちが得る土地に長く生きることができる。

6章

 

*唯一の主

 6:1 これは、あなたたちの神、主があなたたちに教えよと命じられた戒めと掟と法であり、あなたたちが渡って行って得る土地で行うべきもの。

 

6:2 あなたもあなたの子孫も生きている限り、あなたの神、主を畏れ、わたしが命じるすべての掟と戒めを守って長く生きるためである。

 

6:3 イスラエルよ、あなたはよく聞いて、忠実に行いなさい。そうすれば、あなたは幸いを得、父祖の神、主が約束されたとおり、乳と蜜の流れる土地で大いに増える。

 

6:4 聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。

 

6:5 あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。

 

 

 6:6 今日わたしが命じるこれらの言葉を心に留め、

 

6:7 子供たちに繰り返し教え、家に座っているときも道を歩くときも、寝ているときも起きているときも、これを語り聞かせなさい。

 

6:8 更に、これをしるしとして自分の手に結び、覚えとして額に付け、

 

6:9 あなたの家の戸口の柱にも門にも書き記しなさい。

 

 

 6:10 あなたの神、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに対して、あなたに与えると誓われた土地にあなたを導き入れ、あなたが自ら建てたのではない、大きな美しい町々、

 

6:11 自ら満たしたのではない、あらゆる財産で満ちた家、自ら掘ったのではない貯水池、自ら植えたのではないぶどう畑とオリーブ畑を得、食べて満足するとき、

 

6:12 あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出された主を決して忘れないよう注意しなさい。

 

6:13 あなたの神、主を畏れ、主にのみ仕え、その御名によって誓いなさい。

 

6:14 他の神々、周辺諸国民の神々の後に従ってはならない。

 

6:15 あなたのただ中におられるあなたの神、主は熱情の神である。あなたの神、主の怒りがあなたに向かって燃え上がり、地の面から滅ぼされないようにしなさい。

 

*主の命令を守ること

 

 6:16 あなたたちがマサにいたときにしたように、あなたたちの神、主を試してはならない。

 

6:17 あなたたちの神、主が命じられた戒めと定めと掟をよく守り、

 

6:18 主の目にかなう正しいことを行いなさい。そうすれば、あなたは幸いを得、主があなたの先祖に誓われた良い土地に入って、それを取り、

 

6:19 主が約束されたとおり、あなたの前から敵をことごとく追い払うことができる。

 

 

 

  6:20 将来、あなたの子が、「我々の神、主が命じられたこれらの定めと掟と法は何のためですか」と尋ねるときには、

 

6:21 あなたの子にこう答えなさい。「我々はエジプトでファラオの奴隷であったが、主は力ある御手をもって我々をエジプトから導き出された。

 

6:22 主は我々の目の前で、エジプトとファラオとその宮廷全体に対して大きな恐ろしいしるしと奇跡を行い、

 

6:23 我々をそこから導き出し、我々の先祖に誓われたこの土地に導き入れ、それを我々に与えられた。

 

6:24 主は我々にこれらの掟をすべて行うように命じ、我々の神、主を畏れるようにし、今日あるように、常に幸いに生きるようにしてくださった。

 

 

6:25 我々が命じられたとおり、我々の神、主の御前で、この戒めをすべて忠実に行うよう注意するならば、我々は報いを受ける。」

7章

 

*七つの民を亡ぼせ

 

 7:1 あなたが行って所有する土地に、あなたの神、主があなたを導き入れ、多くの民、すなわちあなたにまさる数と力を持つ七つの民、ヘト人、ギルガシ人、アモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人をあなたの前から追い払い、

 

7:2 あなたの意のままにあしらわさせ、あなたが彼らを撃つときは、彼らを必ず滅ぼし尽くさねばならない。彼らと協定を結んではならず、彼らを憐れんではならない。

 

7:3 彼らと縁組みをし、あなたの娘をその息子に嫁がせたり、娘をあなたの息子の嫁に迎えたりしてはならない。

 

7:4 あなたの息子を引き離してわたしに背かせ、彼らはついに他の神々に仕えるようになり、主の怒りがあなたたちに対して燃え、主はあなたを速やかに滅ぼされるからである。

 

7:5 あなたのなすべきことは、彼らの祭壇を倒し、石柱を砕き、アシェラの像を粉々にし、偶像を火で焼き払うことである。

 

 

*神の宝の民

 

 7:6 あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。あなたの神、主は地の面にいるすべての民の中からあなたを選び、御自分の宝の民とされた。

 

7:7 主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よりも貧弱であった。

 

7:8 ただ、あなたに対する主の愛のゆえに、あなたたちの先祖に誓われた誓いを守られたゆえに、主は力ある御手をもってあなたたちを導き出し、エジプトの王、ファラオが支配する奴隷の家から救い出されたのである。

 

7:9 あなたは知らねばならない。あなたの神、主が神であり、信頼すべき神であることを。この方は、御自分を愛し、その戒めを守る者には千代にわたって契約を守り、慈しみを注がれるが、

 

7:10 御自分を否む者にはめいめいに報いて滅ぼされる。主は、御自分を否む者には、ためらうことなくめいめいに報いられる。

 

7:11 あなたは、今日わたしが、「行え」と命じた戒めと掟と法を守らねばならない。

 

 7:12 あなたたちがこれらの法に聞き従い、それを忠実に守るならば、あなたの神、主は先祖に誓われた契約を守り、慈しみを注いで、

 

7:13 あなたを愛し、祝福し、数を増やしてくださる。主は、あなたに与えると先祖に誓われた土地で、あなたの身から生まれる子と、土地の実り、すなわち穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油など、それに牛の子や羊の子を祝福してくださる。

 

 7:14 あなたはすべての民の中で最も祝福される。あなたのうちには子のない男も女もなく、あなたの家畜にも子のないものはない。

 

7:15 主はあらゆる病気からあなたを守り、あなたの知っているエジプトのあらゆる重い病気にかからせず、あなたを憎むすべての者にこれを下す。

 

 

*恐れるな

 

 7:16 あなたの神、主があなたに渡される諸国の民をことごとく滅ぼし、彼らに憐れみをかけてはならない。彼らの神に仕えてはならない。それはあなたを捕らえる罠となる。

 

7:17 あなたが、「これらの国々の民はこちらよりも多い。どうして彼らを追い払うことができよう」と考えるときにも、

 

7:18 彼らを恐れることなく、あなたの神、主がファラオおよびエジプトの全土になさったことを思い起こしなさい。

 

7:19 すなわち、あなたが目撃したあの大いなる試み、あなたを導き出されたあなたの神、主のしるしと奇跡、力ある御手と伸ばされた御腕をもってなされたことを思い起こしなさい。あなたの神、主は、今あなたが恐れているすべての民にも同じことを行われる。

 

7:20 あなたの神、主はまた、彼らに恐怖を送り、生き残って隠れている者も滅ぼし尽くされる。

 

 7:21 彼らのゆえにうろたえてはならない。あなたの神、主はあなたのただ中におられ、大いなる畏るべき神だからである。

 

7:22 あなたの神、主はこれらの国々を徐々に追い払われる。あなたは彼らを一気に滅ぼしてしまうことはできない。野の獣が増えて、あなたを害することがないためである。

 

7:23 あなたの神、主は彼らをあなたに渡して、大混乱に陥れ、ついには滅亡に至らせる。

 

7:24 彼らの王たちはあなたの手に渡され、あなたはその名を天の下から滅ぼし尽くす。だれ一人あなたに立ち向かいえず、ついには滅亡する。

 

7:25 彼らの神々の像は火に投じて焼きなさい。それにかぶせてある銀や金に目を奪われて、それを取っておくことがあってはならない。あなたがその罠に陥ることがないためである。それは、あなたの神、主のいとわれることである。

 

7:26 いとうべきものをあなたの家に持ち込んではならない。そうすれば、あなたも同じ様に滅ぼし尽くすべきものとなる。それを憎むべきものとして憎み、徹底していとい退けなさい。それは滅ぼし尽くすべきものである。

8章

 

 

*神の賜わる良い土地

 

 8:1 今日、わたしが命じる戒めをすべて忠実に守りなさい。そうすれば、あなたたちは命を得、その数は増え、主が先祖に誓われた土地に入って、それを取ることができる。

 

 8:2 あなたの神、主が導かれたこの四十年の荒れ野の旅を思い起こしなさい。こうして主はあなたを苦しめて試し、あなたの心にあること、すなわち御自分の戒めを守るかどうかを知ろうとされた。

 

8:3 主はあなたを苦しめ、飢えさせ、あなたも先祖も味わったことのないマナを食べさせられた。人はパンだけで生きるのではなく、人は主の口から出るすべての言葉によって生きることをあなたに知らせるためであった。

 

8:4 この四十年の間、あなたのまとう着物は古びず、足がはれることもなかった。

 

8:5 あなたは、人が自分の子を訓練するように、あなたの神、主があなたを訓練されることを心に留めなさい。

 

8:6 あなたの神、主の戒めを守り、主の道を歩み、彼を畏れなさい。

 

8:7 あなたの神、主はあなたを良い土地に導き入れようとしておられる。それは、平野にも山にも川が流れ、泉が湧き、地下水が溢れる土地、

 

8:8 小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろが実る土地、オリーブの木と蜜のある土地である。

 

8:9 不自由なくパンを食べることができ、何一つ欠けることのない土地であり、石は鉄を含み、山からは銅が採れる土地である。

 

8:10 あなたは食べて満足し、良い土地を与えてくださったことを思って、あなたの神、主をたたえなさい。

 

 

*主を忘れることに対する警告

 

 

 8:11 わたしが今日命じる戒めと法と掟を守らず、あなたの神、主を忘れることのないように、注意しなさい。

 

8:12 あなたが食べて満足し、立派な家を建てて住み、

 

8:13 牛や羊が殖え、銀や金が増し、財産が豊かになって、

 

8:14 心おごり、あなたの神、主を忘れることのないようにしなさい。主はあなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出し、

 

8:15 炎の蛇とさそりのいる、水のない乾いた、広くて恐ろしい荒れ野を行かせ、硬い岩から水を湧き出させ、

 

8:16 あなたの先祖が味わったことのないマナを荒れ野で食べさせてくださった。それは、あなたを苦しめて試し、ついには幸福にするためであった。

 

8:17 あなたは、「自分の力と手の働きで、この富を築いた」などと考えてはならない。

 

8:18 むしろ、あなたの神、主を思い起こしなさい。富を築く力をあなたに与えられたのは主であり、主が先祖に誓われた契約を果たして、今日のようにしてくださったのである。

 

 8:19 もしあなたが、あなたの神、主を忘れて他の神々に従い、それに仕えて、ひれ伏すようなことがあれば、わたしは、今日、あなたたちに証言する。あなたたちは必ず滅びる。

 

 

8:20 主があなたたちの前から滅ぼされた国々と同じように、あなたたちも、あなたたちの神、主の御声に聞き従わないがゆえに、滅び去る。

9章

 

 *かたくなな民

 

9:1 聞け、イスラエルよ。あなたは今日、ヨルダン川を渡り、行ってあなたよりも大きく強い国々を追い払おうとしている。町々は大きく、城壁は天に達し、

 

9:2 民は、あなたの知っているアナクの子孫で、大きくて背が高い。あなたは、「誰がアナクの子孫に立ち向かいえようか」というのを聞いたことがあろう。

 

9:3 しかし、今日、あなたの神、主は焼き尽くす火となり、あなたに先立って渡り、彼らを滅ぼしてあなたの前に屈服させられることを知り、主が言われたとおり、彼らを追い払い、速やかに滅ぼしなさい。

 

9:4 あなたの神、主があなたの前から彼らを追い出されるとき、あなたは、「わたしが正しいので、主はわたしを導いてこの土地を得させてくださった」と思ってはならない。この国々の民が神に逆らうから、主があなたの前から彼らを追い払われるのである。

 

9:5 あなたが正しく、心がまっすぐであるから、行って、彼らの土地を得るのではなく、この国々の民が神に逆らうから、あなたの神、主が彼らを追い払われる。またこうして、主はあなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われたことを果たされるのである。

 

9:6 あなたが正しいので、あなたの神、主がこの良い土地を与え、それを得させてくださるのではないことをわきまえなさい。あなたはかたくなな民である。

 

9:7 あなたは荒れ野で、あなたの神、主を怒らせたことを思い起こし、忘れてはならない。あなたたちは、エジプトの国を出た日からここに来るまで主に背き続けてきた。

 

 9:8 ホレブにいたとき、あなたたちが主を怒らせたので、主はあなたたちに向かって激しく憤り、滅ぼそうとされた。

 

9:9 わたしが石の板、すなわち主があなたたちと結ばれた契約の板を受け取るため山に登ったとき、わたしは四十日四十夜、山にとどまり、パンも食べず水も飲まなかった。

 

9:10 主は、神の指で記された二枚の石の板をわたしにお授けになった。その上には、集会の日に、主が山で火の中からあなたたちに告げられた言葉がすべてそのとおりに記されていた。

 

9:11 四十日四十夜が過ぎて、主はわたしにその二枚の石の板、契約の板を授けられた。

 

9:12 そのとき、主はわたしに言われた。「すぐに立って、ここから下りなさい。あなたがエジプトから導き出した民は堕落し、早くもわたしが命じた道からそれて、鋳像を造った。」

 

9:13 主は更に、わたしに言われた。「わたしはこの民を見てきたが、実にかたくなな民である。

 

9:14 わたしを引き止めるな。わたしは彼らを滅ぼし、天の下からその名を消し去って、あなたを彼らより強く、数の多い国民とする。」

 

9:15 わたしが身を翻して山を下ると、山は火に包まれて燃えていた。わたしは両手に二枚の契約の板を持っていた。

 

9:16 わたしが見たのは、あなたたちがあなたたちの神、主に罪を犯し、子牛の鋳像を造って、早くも主の命じられた道からそれている姿であった。

 

9:17 わたしは両手に持っていた二枚の板を投げつけ、あなたたちの目の前で砕いた。

 

9:18 主の目に悪と見なされることを行って罪を犯し、主を憤らせた、あなたたちのすべての罪のゆえに、わたしは前と同じように、四十日四十夜、パンも食べず水も飲まず主の前にひれ伏した。

 

9:19 わたしは、主が激しく怒りに燃え、あなたたちを滅ぼされるのではないかと恐れたが、主はこのときも、わたしに耳を傾けてくださった。

 

9:20 アロンに対しても、主は激しく怒って滅ぼそうとされたが、わたしはそのとき、アロンのためにも祈った。

 

 9:21 また、あなたたちの罪、あなたたちが造った子牛を取り上げて火に投じ、粉々に砕いて塵とし、その塵を山から流れる川に投げ捨てた。

 

9:22 あなたたちはタブエラでも、マサでも、キブロト・ハタアワでも主を怒らせた。

 

9:23 主がカデシュ・バルネアからあなたたちを遣わし、「上って行って、わたしが与える土地を取りなさい」と言われたときも、あなたたちの神、主の命令に背き、主を信頼せず、その声に聞き従わなかった。

 

9:24 主があなたたちをお選びになって以来、あなたたちは背き続けてきた。

 

 9:25 わたしは、四十日四十夜、主の御前にひれ伏した。主があなたたちを滅ぼすと言われたからである。わたしはひれ伏して、

 

9:26 主に祈って言った。

 「主なる神よ。あなたが大いなる御業をもって救い出し、力強い御手をもってエジプトから導き出された、あなたの嗣業の民を滅ぼさないでください。

 

9:27 あなたの僕、アブラハム、イサク、ヤコブを思い起こし、この民のかたくなさと逆らいと罪に御顔を向けないでください。

 

9:28 我々があなたに導かれて出て来た国の人々に、『主は約束された土地に彼らを入らせることができなかった。主は彼らを憎んで、荒れ野に導き出して殺してしまった』と言われないようにしてください。

 

 

9:29 彼らは、あなたが大いなる力と伸ばされた御腕をもって導き出されたあなたの嗣業の民です。」

10章

 

 

*再び戒めが授けられる

 

  10:1 そのとき、主はわたしに言われた。「あなたは、前と同じように、石を切って板を二枚造り、山に登ってわたしのもとに来なさい。また木の箱を作りなさい。

 

10:2 わたしは、あなたが前に砕いた板に書かれていた言葉をその板に書き記す。あなたはそれを箱に納めるがよい。」

 

  10:3 わたしがアカシヤの木で箱を作り、石を切って前と同じように二枚の板を造り、それを手に携えて山に登った。

 

10:4 主は、集会の日に、山で火の中からあなたたちに告げられた十戒と全く同じものを板に書き記して、それをわたしに授けられた。

 

10:5 わたしは身を翻して山を下り、あらかじめ作っておいた箱に板を納めた。それは今も、主がわたしに命じられたとおりそこにある。

 

  10:6 イスラエルの人々はその後、ベエロト・ベネ・ヤアカンをたってモセラに向かった。アロンはそこで死んで埋葬され、その子エルアザルが代わって祭司となった。

 

10:7 彼らはそこをたってグドゴダに向かい、更に、グドゴダをたって、川が幾つも流れる土地ヨトバタに向かった。

 

  10:8 そのとき、主はレビ族を選び分けて、主の契約の箱を担ぎ、主の御前に立って仕え、主の名によって祝福するようにされた。それは今日まで続いている。

 

10:9 それゆえレビ人には、兄弟たちと同じ嗣業の割り当てがない。あなたの神、主が言われたとおり、主御自身がその嗣業である。

 

  10:10 わたしは前と同じように、四十日四十夜、山にとどまっていたが、このときも主はわたしに耳を傾け、あなたを滅ぼそうとはされなかった。

 

10:11 主はわたしに言われた。「立って、民を先導して進みなさい。彼らは、わたしが先祖に与えると誓った土地に入り、それを得る。」

 

 

*神が求められること

 

  10:12 イスラエルよ。今、あなたの神、主があなたに求めておられることは何か。ただ、あなたの神、主を畏れてそのすべての道に従って歩み、主を愛し、心を尽くし、魂を尽くしてあなたの神、主に仕え、

 

10:13 わたしが今日あなたに命じる主の戒めと掟を守って、あなたが幸いを得ることではないか。

 

10:14 見よ、天とその天の天も、地と地にあるすべてのものも、あなたの神、主のものである。

 

10:15 主はあなたの先祖に心引かれて彼らを愛し、子孫であるあなたたちをすべての民の中から選んで、今日のようにしてくださった。

 

10:16 心の包皮を切り捨てよ。二度とかたくなになってはならない。

 

10:17 あなたたちの神、主は神々の中の神、主なる者の中の主、偉大にして勇ましく畏るべき神、人を偏り見ず、賄賂を取ることをせず、

 

10:18 孤児と寡婦の権利を守り、寄留者を愛して食物と衣服を与えられる。

 

10:19 あなたたちは寄留者を愛しなさい。あなたたちもエジプトの国で寄留者であった。

 

10:20 あなたの神、主を畏れ、主に仕え、主につき従ってその御名によって誓いなさい。

 

10:21 この方こそ、あなたの賛美、あなたの神であり、あなたの目撃したこれらの大いなる恐るべきことをあなたのために行われた方である。

 

 

10:22 あなたの先祖は七十人でエジプトに下ったが、今や、あなたの神、主はあなたを天の星のように数多くされた。

11章

 

 

主の御業

 

 11:1 あなたは、あなたの神、主を愛し、その命令、掟、法および戒めを常に守りなさい。

 

11:2 あなたたちは、あなたたちの神、主の訓練を知ることも見ることもない子孫とは違うことを、今日知らねばならない。その大いなる御業、強い御手と伸ばされた御腕、

 

11:3 エジプトの中でエジプトの王ファラオとその全土に対してなさったしるしと御業、

 

11:4 エジプト軍、その馬と戦車に対してなさったこと、すなわち彼らがあなたたちを追撃して来たとき、主が彼らの上に葦の海の水を溢れさせて滅ぼし、今日に至っていること、

 

11:5 あなたたちがここに来るまで主が荒れ野でなさったこと、

 

11:6 また、ルベンの孫で、エリアブの子であるダタンとアビラムになさったこと、すなわち、大地が口を開けて、彼らとその家、その天幕、および全イスラエルの中で彼らと行を共にした者を皆、呑み込んだことなど、

 

11:7 主のなさった大いなる御業をすべて、あなたたちは自分の目で見てきた。

 

 11:8 あなたたちは、わたしが今日命じるすべての戒めを守りなさい。こうして、あなたたちは勇ましくなり、川を渡って、得ようとしている土地に首尾よく入り、それを得ることができる。

 

11:9 こうして、主があなたたちの先祖に、彼らとその子孫に与えると誓われた土地、すなわち乳と蜜の流れる土地で、あなたたちは長く生きることができる。

 

11:10 あなたが入って行って得ようとしている土地は、あなたたちが出て来たエジプトの土地とは違う。そこでは種を蒔くと、野菜畑のように、自分の足で水をやる必要があった。

 

11:11 あなたたちが渡って行って得ようとする土地は、山も谷もある土地で、天から降る雨で潤されている。

 

11:12 それは、あなたの神、主が御心にかけ、あなたの神、主が年の初めから年の終わりまで、常に目を注いでおられる土地である。

 

 

 

*祝福と呪い

 

 11:13 もしわたしが今日あなたたちに命じる戒めに、あなたたちがひたすら聞き従い、あなたたちの神、主を愛し、心を尽くし、魂を尽くして仕えるならば、

 

11:14 わたしは、その季節季節に、あなたたちの土地に、秋の雨と春の雨を降らせる。あなたには穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油の収穫がある。

 

11:15 わたしはまた、あなたの家畜のために野に草を生えさせる。あなたは食べて満足する。

 

11:16 あなたたちは、心変わりして主を離れ、他の神々に仕えそれにひれ伏さぬよう、注意しなさい。

 

11:17 さもないと、主の怒りがあなたたちに向かって燃え上がり、天を閉ざされるであろう。雨は降らず、大地は実りをもたらさず、あなたたちは主が与えられる良い土地から直ちに滅び去る。

 

11:18 あなたたちはこれらのわたしの言葉を心に留め、魂に刻み、これをしるしとして手に結び、覚えとして額に付け、

 

11:19 子供たちにもそれを教え、家に座っているときも道を歩くときも、寝ているときも起きているときも、語り聞かせ

 

11:20 あなたの家の戸口の柱にも門にも書き記しなさい。

 

11:21 こうして、主が先祖に与えると誓われた土地にあって、あなたたちとあなたたちの子孫の日数は天が地を覆う日数と同様、いつまでも続くであろう。

 

 11:22 もし、わたしがあなたたちに行うようにと命じるこのすべての戒めをよく守り、あなたたちの神、主を愛してそのすべての道に従って歩み、主につき従うならば、

 

11:23 主はあなたたちの前からこれらの国々をすべて追い払われ、あなたたちは自分よりも大きく強い国々を追い払うことができる。

 

11:24 あなたたちが足の裏で踏み込む所は、すべて、あなたたちのものとなり、荒れ野からレバノン山まで、ユーフラテス川から西の海まであなたたちの領地となる。

 

11:25 あなたたちに立ち向かいうる者は一人もいない。あなたたちが言われたように足を踏み入れる土地の至るところに、あなたたちの神、主は、あなたたちに対する脅威とおののきを起こされる。

 

 11:26 見よ、わたしは今日、あなたたちの前に祝福と呪いを置く。

 

11:27 あなたたちは、今日、わたしが命じるあなたたちの神、主の戒めに聞き従うならば祝福を、

 

11:28 もし、あなたたちの神、主の戒めに聞き従わず、今日、わたしが命じる道をそれて、あなたたちとは無縁であった他の神々に従うならば、呪いを受ける。

 

11:29 あなたが入って得ようとしている土地に、あなたの神、主が導き入れられるとき、ゲリジム山に祝福を、エバル山に呪いを置きなさい。

 

11:30 この二つの山は、ヨルダン川の西のアラバに住むカナン人の領内を貫く街道の、更に西方にあって、ギルガルの前方、モレの樫の木の近くにある。

 

11:31 あなたたちはヨルダン川を渡って、あなたたちの神、主が与えられる土地に入って、それを得ようとしているが、それを得て、そこに住むときには、

 

11:32 今日、わたしがあなたたちに授けるすべての掟と法を忠実に守らねばならない。

 

 

12章

 

 *礼拝の場所

 

 

 12:1 これから述べる掟と法は、あなたの先祖の神、主があなたに与えて得させられる土地で、あなたたちが地上に生きている限り忠実に守るべきものである。

 

12:2 あなたたちの追い払おうとしている国々の民が高い山や丘の上、茂った木の下で神々に仕えてきた場所は、一つ残らず徹底的に破壊しなさい。

 

12:3 祭壇を壊し、石柱を砕き、アシェラ像を火にくべ、神々の彫像を切り倒して、彼らの名をその場所から消し去りなさい。

 

12:4 あなたたちの神、主に対しては国々の民と同じようにしてはならない。

 

12:5 必ず、あなたたちの神、主がその名を置くために全部族の中から選ばれる場所、すなわち主の住まいを尋ね、そこへ行きなさい。

 

12:6 焼き尽くす献げ物、いけにえ、十分の一の献げ物、収穫物の献納物、満願の献げ物、随意の献げ物、牛や羊の初子などをそこに携えて行き、

 

12:7 あなたたちの神、主の御前で家族と共に食べ、あなたたちの手の働きをすべて喜び祝いなさい。あなたの神、主はあなたを祝福されているからである。

 

 12:8 あなたたちは、我々が今日、ここでそうしているように、それぞれ自分が正しいと見なすことを決して行ってはならない。

 

12:9 あなたの神、主が与えられる安住の地、嗣業の土地に、あなたたちはまだ入っていないが、

 

12:10 ヨルダン川を渡り、あなたたちの神、主が受け継がせられる土地に住み、周囲の敵から守られ、安らかに住むようになったならば、

 

12:11 あなたたちの神、主がその名を置くために選ばれる場所に、わたしの命じるすべてのもの、すなわち焼き尽くす献げ物、いけにえ、十分の一の献げ物、収穫物の献納物、および主に対して誓いを立てたすべての最良の満願の献げ物を携えて行き、

 

12:12 あなたたちの神、主の御前で、息子、娘、男女の奴隷、町の中に住むレビ人と共に、喜び祝いなさい。レビ人には嗣業の割り当てがないからである。

 

 

*犠牲の肉と血

 

 12:13 あなたは、自分の好む場所で焼き尽くす献げ物をささげないように注意しなさい。

 

12:14 ただ、主があなたの一部族の中に選ばれる場所で焼き尽くす献げ物をささげ、わたしが命じることをすべて行わなければならない。

 

12:15 ただし、どの町においてもあなたの神、主が与える祝福に従って、欲しいだけ獣を屠り、その肉を食べることができる。かもしかや雄鹿を食べる場合のように汚れている者も清い者も食べることができる。

 

12:16 ただし、その血は食べてはならず、水のように地面に注ぎ出さねばならない。

 

12:17 あなたは穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油などの十分の一の献げ物、牛や羊の初子、あなたが誓いを立てた満願の献げ物、随意の献げ物、収穫物の献納物などを自分の町の中で食べてはならず、

 

12:18 ただ、あなたの神、主の御前で、あなたの神、主の選ばれる場所で、息子、娘、男女の奴隷、町の中に住むレビ人と共に食べ、主の御前であなたの手の働きすべてを喜び祝いなさい。

 

12:19 あなたは、地上に生きている限り、レビ人を見捨てることがないように注意しなさい。

 

 12:20 約束されたとおり、あなたの神、主があなたの領土を広げられるとき、肉が食べたいと言うなら、欲しいだけ肉を食べることができる。

 

12:21 あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所が遠く離れているならば、わたしが命じたとおりに、主が与えられた牛や羊を屠り、自分の町で、欲しいだけ食べることができる。

 

12:22 かもしかや雄鹿を食べる場合のように食べることができる。汚れている者も清い者もその肉を食べることができる。

 

12:23 ただ、その血は断じて食べてはならない。血は命であり、命を肉と共に食べてはならないからである。

 

12:24 血は食べることなく、水のように地面に注ぎ出さねばならない。

 

12:25 それを食べてはならない。こうして主が正しいと見なされることを行うなら、あなたも子孫も幸いを得るであろう。

 

12:26 ただ、あなたは、ささげるべき聖なる献げ物と満願の献げ物を携えて、主の選ばれる場所に行かねばならない。

 

12:27 焼き尽くす献げ物の場合は、肉も血もあなたの神、主の祭壇にささげる。その他のいけにえは血をあなたの神、主の祭壇の側面に注ぎ、肉は食べることができる。

 

12:28 わたしが命じるこれらのことをすべて聞いて守りなさい。こうして、あなたの神、主が良しとし、正しいと見なされることを行うなら、あなたも子孫もとこしえに幸いを得る。

 

 

*異教の礼拝に対する警告

 

 

 12:29 あなたが行って追い払おうとしている国々の民を、あなたの神、主が絶やされ、あなたがその領土を得て、そこに住むようになるならば、

 

12:30 注意して、彼らがあなたの前から滅ぼされた後、彼らに従って罠に陥らないようにしなさい。すなわち、「これらの国々の民はどのように神々に仕えていたのだろう。わたしも同じようにしよう」と言って、彼らの神々を尋ね求めることのないようにしなさい。

 

 

12:31 あなたの神、主に対しては彼らと同じことをしてはならない。彼らは主がいとわれ、憎まれるあらゆることを神々に行い、その息子、娘さえも火に投じて神々にささげたのである。

13章

 

  13:1 あなたたちは、わたしが命じることをすべて忠実に守りなさい。これに何一つ加えたり、減らすことがあってはならない。

 

 

*他の神々の礼拝に対する警告

 

  13:2 預言者や夢占いをする者があなたたちの中に現れ、しるしや奇跡を示して、

 

13:3 そのしるしや奇跡が言ったとおり実現したとき、「あなたの知らなかった他の神々に従い、これに仕えようではないか」と誘われても、

 

13:4 その預言者や夢占いをする者の言葉に耳を貸してはならない。あなたたちの神、主はあなたたちを試し、心を尽くし、魂を尽くして、あなたたちの神、主を愛するかどうかを知ろうとされるからである。

 

13:5 あなたたちは、あなたたちの神、主に従い、これを畏れ、その戒めを守り、御声を聞き、これに仕え、これにつき従わねばならない。

 

13:6 その預言者や夢占いをする者は処刑されねばならない。彼らは、あなたたちをエジプトの国から導き出し、奴隷の家から救い出してくださったあなたたちの神、主に背くように勧め、あなたの神、主が歩むようにと命じられる道から迷わせようとするからである。あなたはこうして、あなたの中から悪を取り除かねばならない。

 

  13:7 同じ母の子である兄弟、息子、娘、愛する妻、あるいは親友に、「あなたも先祖も知らなかった他の神々に従い、これに仕えようではないか」とひそかに誘われても、

 

13:8 その神々が近隣諸国の民の神々であっても、地の果てから果てに至る遠い国々の神々であっても、

 

13:9 誘惑する者に同調して耳を貸したり、憐れみの目を注いで同情したり、かばったりしてはならない。

 

13:10 このような者は必ず殺さねばならない。彼を殺すには、まずあなたが手を下し、次に、民が皆それに続く。

 

13:11 あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出したあなたの神、主から離して迷わせようとしたのだから、彼を石で打ち殺さねばならない。

 

13:12 全イスラエルはこれを聞いて、恐れを抱き、あなたの中でこのような悪事は二度と繰り返されることはないであろう。

 

13:13 あなたの神、主があなたに与えて住まわせるどこかの町のうわさとして、

 

13:14 あなたの中からならず者が現れて、「お前たちの知らなかった他の神々に従い、これに仕えようではないか」と言って、その町の住民を迷わせているということを聞いたならば、

 

13:15 それを尋ね、探り、よく問いたださねばならない。それが確かな事実であり、そのようないとうべきことがあなたたちの中で行われたのであれば、

 

13:16 その町の住民を剣にかけて殺し、町もそこにあるすべてのものも滅ぼし尽くし、家畜も剣にかけねばならない。

 

13:17 分捕り品をすべて広場の中央に集め、分捕り品もろとも町全体を焼き払い、あなたの神、主に対する完全に燃やし尽くす献げ物としなければならない。その町はとこしえに廃虚の丘となって、再び建てられることはない。

 

13:18 主が激しい怒りをやめ、あなたに憐れみを垂れ、先祖たちに誓われたとおり、憐れみをもってあなたの数を増やされるように、その滅ぼし尽くすべきものは何一つ手もとにとどめてはならない。

 

 

13:19 あなたの神、主の御声に聞き従い、わたしが今日命じるすべての戒めを守り、あなたの神、主が正しいと見なされることを行いなさい。

14章

 

*禁止されている行為

14:1 あなたたちは、あなたたちの神、主の子らである。死者を悼むために体を傷つけたり、額をそり上げてはならない。

 

14:2 あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。主は地の面のすべての民の中からあなたを選んで、御自分の宝の民とされた。

 

 

*清い動物と汚れた動物

 

  14:3 すべていとうべきものは食べてはならない。

 

14:4 食べてよい動物は次のとおりである。牛、羊、山羊、

 

14:5 雄鹿、かもしか、子鹿、野山羊、羚羊、大かもしか、ガゼル。

 

14:6 その他ひづめが分かれ、完全に二つに割れており、しかも反すうする動物は食べることができる。

 

14:7 ただし、反すうするだけか、あるいは、ひづめが分かれただけの動物は食べてはならない。らくだ、野兎、岩狸。これらは反すうするが、ひづめが分かれていないから汚れたものである。

 

14:8 いのしし。これはひづめが分かれているが、反すうしないから汚れたものである。これらの動物の肉を食べてはならない。死骸に触れてはならない。

 

  14:9 水中の魚類のうち、ひれ、うろこのあるものはすべて食べてよい。

 

14:10 しかしひれやうろこのないものは、一切食べてはならない。それは汚れたものである。

 

  14:11 清い鳥はすべて食べてよい。

 

14:12 しかし、次の鳥は食べてはならない。

  禿鷲、ひげ鷲、黒禿鷲、

 

14:13 赤鳶、隼、鳶の類、

 

14:14 烏の類、

 

14:15 鷲みみずく、小みみずく、虎ふずく、鷹の類、

 

14:16 森ふくろう、大このはずく、小きんめふくろう、

 

14:17 このはずく、みさご、魚みみずく、

 

14:18 こうのとり、青鷺の類、やつがしら鳥、こうもり。

 

  14:19 羽のある昆虫はすべて汚れたものであり、食べてはならない。

 

14:20 清い鳥はすべて食べてよい。

 

14:21 死んだ動物は一切食べてはならない。町の中にいる寄留者に与えて食べさせるか、外国人に売りなさい。あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。あなたは子山羊をその母の乳で煮てはならない。

 

 

*収穫の十分に位置に関する規定

 

  14:22 あなたは、毎年、畑に種を蒔いて得る収穫物の中から、必ず十分の一を取り分けねばならない。

 

14:23 あなたの神、主の御前で、すなわち主がその名を置くために選ばれる場所で、あなたは、穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油の十分の一と、牛、羊の初子を食べ、常にあなたの神、主を畏れることを学ばねばならない。

 

14:24 あなたの神、主があなたを祝福されても、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所が遠く離れ、その道のりが長いため、収穫物を携えて行くことができないならば、

 

14:25 それを銀に換えて、しっかりと持ち、あなたの神、主の選ばれる場所に携え、

 

14:26 銀で望みのもの、すなわち、牛、羊、ぶどう酒、濃い酒、その他何でも必要なものを買い、あなたの神、主の御前で家族と共に食べ、喜び祝いなさい。

 

14:27 あなたの町の中に住むレビ人を見捨ててはならない。レビ人にはあなたのうちに嗣業の割り当てがないからである。

 

14:28 三年目ごとに、その年の収穫物の十分の一を取り分け、町の中に蓄えておき

 

 

14:29 あなたのうちに嗣業の割り当てのないレビ人や、町の中にいる寄留者、孤児、寡婦がそれを食べて満ち足りることができるようにしなさい。そうすれば、あなたの行うすべての手の業について、あなたの神、主はあなたを祝福するであろう。

15章 

 

*負債の免除

 

  15:1 七年目ごとに負債を免除しなさい。

15:2 負債免除のしかたは次のとおりである。だれでも隣人に貸した者は皆、負債を免除しなければならない。同胞である隣人から取り立ててはならない。主が負債の免除の布告をされたからである。

15:3 外国人からは取り立ててもよいが、同胞である場合は負債を免除しなければならない。

  15:4 あなたの神、主は、あなたに嗣業として与える土地において、必ずあなたを祝福されるから、貧しい者はいなくなるが、

15:5 そのために、あなたはあなたの神、主の御声に必ず聞き従い、今日あなたに命じるこの戒めをすべて忠実に守りなさい。

15:6 あなたに告げたとおり、あなたの神、主はあなたを祝福されるから、多くの国民に貸すようになるが、借りることはないであろう。多くの国民を支配するようになるが、支配されることはないであろう。

  15:7 あなたの神、主が与えられる土地で、どこかの町に貧しい同胞が一人でもいるならば、その貧しい同胞に対し

15:8 彼に手を大きく開いて、必要とするものを十分に貸し与えなさい。

て心をかたくなにせず、手を閉ざすことなく、

15:9 「七年目の負債免除の年が近づいた」と、よこしまな考えを持って、貧しい同胞を見捨て、物を断ることのないように注意しなさい。その同胞があなたを主に訴えるならば、あなたは罪に問われよう。

15:10 彼に必ず与えなさい。また与えるとき、心に未練があってはならない。このことのために、あなたの神、主はあなたの手の働きすべてを祝福してくださる。

15:11 この国から貧しい者がいなくなることはないであろう。それゆえ、わたしはあなたに命じる。この国に住む同胞のうち、生活に苦しむ貧しい者に手を大きく開きなさい。

 

 

*奴隷の解放

 

 

  15:12 同胞のヘブライ人の男あるいは女が、あなたのところに売られて来て、六年間奴隷として仕えたならば、七年目には自由の身としてあなたのもとを去らせねばならない。

15:13 自由の身としてあなたのもとを去らせるときは、何も持たずに去らせてはならない。

15:14 あなたの羊の群れと麦打ち場と酒ぶねから惜しみなく贈り物を与えなさい。それはあなたの神、主が祝福されたものだから、彼に与えなさい。

15:15 エジプトの国で奴隷であったあなたを、あなたの神、主が救い出されたことを思い起こしなさい。それゆえ、わたしは今日、このことを命じるのである。

15:16 もしその奴隷があなたとあなたの家族を愛し、あなたと共にいることを喜び、「わたしはあなたのもとから出て行きたくありません」と言うならば、

15:17 あなたは錐を取り、彼の耳たぶを戸につけて刺し通さなければならない。こうして、彼は終生あなたの奴隷となるであろう。女奴隷の場合にも同様にせねばならない。

15:18 自由の身としてあなたのもとを去らせるときは、厳しくしてはならない。彼は六年間、雇い人の賃金の二倍も働いたからである。あなたの神、主はあなたの行うすべてのことを祝福される。

 

 

*初子の規定

 

 

  15:19 牛や羊の雄の初子は、みなあなたの神、主に奉献しなければならない。牛の初子を仕事に使ってはならない。羊の初子の毛を刈ってはならない。

15:20 あなたの神、主の御前で、年ごとに、主が選ばれる聖所で、家族と共にそれを食べなさい。

15:21 初子の足や目、あるいはほかのどこかに大きな傷があれば、あなたの神、主にいけにえとして屠ってはならない。

15:22 かもしかや雄鹿の場合と同様に、それは汚れている者も、清い者も皆、共に町の中で食べることができる。

 

15:23 ただし、その血を食べてはならず、水のように地面に注ぎ出さねばならない。

16章

 

*三大祝祭日

 

 16:1 アビブの月を守り、あなたの神、主の過越祭を祝いなさい。アビブの月のある夜、あなたの神、主があなたをエジプトから導き出されたからである。

 

16:2 あなたは、主がその名を置くために選ばれる場所で、羊あるいは牛を過越のいけにえとしてあなたの神、主に屠りなさい。

 

16:3 その際、酵母入りのパンを食べてはならない。七日間、酵母を入れない苦しみのパンを食べなさい。あなたはエジプトの国から急いで出たからである。こうして、あなたはエジプトの国から出た日を生涯思い起こさねばならない。

 

16:4 七日間、国中どこにも酵母があってはならない。祭りの初日の夕方屠った肉を、翌朝まで残してはならない。

 

16:5 過越のいけにえを屠ることができるのは、あなたの神、主が与えられる町のうちのどこででもよいのではなく、

 

16:6 ただ、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所でなければならない。夕方、太陽の沈むころ、あなたがエジプトを出た時刻に過越のいけにえを屠りなさい。

 

16:7 それをあなたの神、主が選ばれる場所で煮て食べ、翌朝自分の天幕に帰りなさい。

 

16:8 六日間酵母を入れないパンを食べ、七日目にはあなたの神、主のために聖なる集まりを行い、いかなる仕事もしてはならない。

 

 16:9 あなたは七週を数えねばならない。穀物に鎌を入れる時から始めて七週を数える。

 

16:10 そして、あなたの神、主のために七週祭を行い、あなたの神、主より受けた祝福に応じて、十分に、あなたがささげうるだけの収穫の献げ物をしなさい。

 

16:11 こうしてあなたは、あなたの神、主の御前で、すなわちあなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所で、息子、娘、男女の奴隷、町にいるレビ人、また、あなたのもとにいる寄留者、孤児、寡婦などと共に喜び祝いなさい。

 

16:12 あなたがエジプトで奴隷であったことを思い起こし、これらの掟を忠実に守りなさい。

 

 16:13 麦打ち場と酒ぶねからの収穫が済んだとき、あなたは七日間、仮庵祭を行いなさい。

 

16:14 息子、娘、男女の奴隷、あなたの町にいるレビ人、寄留者、孤児、寡婦などと共にこの祭りを喜び祝いなさい。

 

16:15 七日間、主の選ばれる場所であなたの神、主のために祭りを行いなさい。あなたの神、主があなたの収穫と手の業をすべて祝福される。あなたはただそれを喜び祝うのである。

 

 16:16 男子はすべて、年に三度、すなわち除酵祭、七週祭、仮庵祭に、あなたの神、主の御前、主の選ばれる場所に出ねばならない。ただし、何も持たずに主の御前に出てはならない。

 

16:17 あなたの神、主より受けた祝福に応じて、それぞれ、献げ物を携えなさい。

 

*正しい裁判

 

 16:18 あなたの神、主が部族ごとに与えられるすべての町に、裁判人と役人を置き、正しい裁きをもって民を裁かせなさい。

 

16:19 裁きを曲げず、偏り見ず、賄賂を受け取ってはならない。賄賂は賢い者の目をくらませ、正しい者の言い分をゆがめるからである。

 

16:20 ただ正しいことのみを追求しなさい。そうすれば命を得、あなたの神、主が与えられる土地を得ることができる。

 

*正しい礼拝

 

 16:21 あなたは、あなたの神、主の祭壇を築いて、そのそばに、アシェラ像をはじめいかなる木の柱も据えてはならない。

 

16:22 また、あなたの神、主が憎まれる石柱を立ててはならない。

17章

 

 17:1 いかなる欠陥であれ傷のある牛や羊を、あなたの神、主にいけにえとしてささげてはならない。それは、あなたの神、主のいとわれることである。

 

  17:2 あなたの神、主が与えられるどこかの町で、あなたの中に、男にせよ女にせよ、あなたの神、主が悪と見なされることを行って、契約を破り、

 

 17:3 他の神々に仕え、その神々や太陽、月、天の万象などわたしが命じたことのないものにひれ伏す者がいるならば、

 

 17:4 その知らせを受け、それを聞いたときには、よく調べなさい。もし、それが確かな事実であり、イスラエルの中でこうした、いとうべきことが行われたのであれば、

 

 17:5 この悪事を行った当の男ないし女を町の門に引き出し、その男ないし女を石で打ちなさい。彼らは死なねばならない。

 

 17:6 死刑に処せられるには、二人ないし三人の証言を必要とする。一人の証人の証言で死刑に処せられてはならない。

 

 17:7 死刑の執行に当たっては、まず証人が手を下し、次に民が全員手を下す。あなたはこうして、あなたの中から悪を取り除かねばならない。

 

 

*上告について

 

  17:8 あなたの町で、流血、もめ事、傷害などの訴えを裁くのが極めて難しいならば、直ちにあなたの神、主が選ばれる場所に上り、

 

 17:9 レビ人である祭司およびその時、任に就いている裁判人のもとに行って尋ねなさい。彼らが判決を告げるであろう。

 

 17:10 あなたは、彼らが主の選ばれる場所から告げる判決に従い、彼らの指示するとおりに忠実に実行しなければならない。

 

 17:11 あなたは彼らの示す指示と下す判決に従い、彼らが告げる言葉に背いて、右にも左にもそれてはならない。

 

 17:12 あなたの神、主に仕えてそこに立つ祭司あるいは裁判人を無視して、勝手にふるまう者があれば、その者を死刑に処し、イスラエルの中から悪を取り除かねばならない。

 

 17:13 民は皆、これを聞くと、恐れを抱き、もはや勝手にふるまうことはないであろう。

 

*王に関する規定

 

  17:14 あなたが、あなたの神、主の与えられる土地に入って、それを得て、そこに住むようになり、「周囲のすべての国々と同様、わたしを治める王を立てよう」と言うならば、

 

 17:15 必ず、あなたの神、主が選ばれる者を王としなさい。同胞の中からあなたを治める王を立て、同胞でない外国人をあなたの上に立てることはできない。

 

 17:16 王は馬を増やしてはならない。馬を増やすために、民をエジプトへ送り返すことがあってはならない。「あなたたちは二度とこの道を戻ってはならない」と主は言われた。

 

 17:17 王は大勢の妻をめとって、心を迷わしてはならない。銀や金を大量に蓄えてはならない。

 

 17:18 彼が王位についたならば、レビ人である祭司のもとにある原本からこの律法の写しを作り、

 

 17:19 それを自分の傍らに置き、生きている限り読み返し、神なる主を畏れることを学び、この律法のすべての言葉とこれらの掟を忠実に守らねばならない。

 

 

 17:20 そうすれば王は同胞を見下して高ぶることなく、この戒めから右にも左にもそれることなく、王もその子らもイスラエルの中で王位を長く保つことができる。

18章

  

*レビ人および祭司に関する規定

 

 

 18:1 レビ人である祭司、レビ族のすべての者には、イスラエル人と同じ嗣業の割り当てがない。彼らは、燃やして主にささげる献げ物を自分の嗣業の分として食べることができる。

 

18:2 同胞の中で彼には嗣業の土地がない。主の言われたとおり、主が彼の嗣業である。

 

  18:3 祭司が民から、牛にせよ羊にせよ、それをいけにえとしてささげる者から受け取る分は次のとおりである。肩と両頬と胃の部分は祭司に与えられる。

 

18:4 穀物、ぶどう酒、オリーブ油の初物および羊の毛の初物も祭司に与えられる。

 

18:5 あなたの神、主が全部族の中から彼を選び、彼とその子らを永久に主の名によって仕える者とされたからである。

 

  18:6 レビ人は、現在寄留しているイスラエル中のどの町からでも、望むがままに主の選ばれる場所に移り、

 

18:7 主の御前に立つ者となっている自分の兄弟である他のレビ人と同じように、その神、主の名によって仕えることができる。

 

18:8 彼は先祖の財産を売って得たものを別として、他のレビ人と同じ分を食べることができる。

 

 

 

*異教の習慣への警告

 

 

  18:9 あなたが、あなたの神、主の与えられる土地に入ったならば、その国々のいとうべき習慣を見習ってはならない。

 

18:10 あなたの間に、自分の息子、娘に火の中を通らせる者、占い師、卜者、易者、呪術師、

 

18:11 呪文を唱える者、口寄せ、霊媒、死者に伺いを立てる者などがいてはならない。

 

18:12 これらのことを行う者をすべて、主はいとわれる。これらのいとうべき行いのゆえに、あなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるであろう。

 

18:13 あなたは、あなたの神、主と共にあって全き者でなければならない。

 

18:14 あなたが追い払おうとしているこれらの国々の民は、卜者や占い師に尋ねるが、あなたの神、主はあなたがそうすることをお許しにならない。

 

 

*預言者を立てる約束

 

 

 18:15 あなたの神、主はあなたの中から、あなたの同胞の中から、わたしのような預言者を立てられる。あなたたちは彼に聞き従わねばならない。

 

18:16 このことはすべて、あなたがホレブで、集会の日に、「二度とわたしの神、主の声を聞き、この大いなる火を見て、死ぬことのないようにしてください」とあなたの神、主に求めたことによっている。

 

18:17 主はそのときわたしに言われた。「彼らの言うことはもっともである。

 

18:18 わたしは彼らのために、同胞の中からあなたのような預言者を立ててその口にわたしの言葉を授ける。彼はわたしが命じることをすべて彼らに告げるであろう。

 

18:19 彼がわたしの名によってわたしの言葉を語るのに、聞き従わない者があるならば、わたしはその責任を追及する。

 

18:20 ただし、その預言者がわたしの命じていないことを、勝手にわたしの名によって語り、あるいは、他の神々の名によって語るならば、その預言者は死なねばならない。」

 

18:21 あなたは心の中で、「どうして我々は、その言葉が主の語られた言葉ではないということを知りうるだろうか」と言うであろう。

 

 

18:22 その預言者が主の御名によって語っても、そのことが起こらず、実現しなければ、それは主が語られたものではない。預言者が勝手に語ったのであるから、恐れることはない。

19章

 

*逃れの町

 

 

  19:1 あなたの神、主が国々の民を絶やされ、あなたの神、主があなたにその土地を与えられ、あなたがそれを得て、彼らの町々、家々に住むようになったならば、

 

 19:2 あなたの神、主があなたに与えて得させられる土地のうちに三つの町を選び分けなさい。

 

 19:3 そして道のりを測り、あなたの神、主があなたに受け継がせられる領土を三つに分け、人を殺した者がだれでもそこに逃げられるようにしなさい。

 

 19:4 意図してでなく、積年の恨みによるのでもないのに、隣人を殺してしまった者が逃れて生き延びうるのは、次のような場合である。

 

 19:5 すなわち、隣人と柴刈りに森の中に入り、木を切ろうと斧を手にして振り上げたとき、柄から斧の頭が抜けてその隣人に当たり、死なせたような場合である。彼はこれらの町の一つに逃れて生き延びることができる。

 

 19:6 復讐する者が激昂して人を殺した者を追跡し、道のりが遠すぎるために、追いついて彼を打ち殺すことはあってはならない。その人は、積年の恨みによって殺したのではないから、殺される理由はない。

 

 19:7 わたしはそれゆえ、三つの町を選び分けるようにあなたに命じる。

 

  19:8 -9わたしが、今日、あなたに命じるこの戒めをすべて忠実に守って、あなたの神、主を愛し、生涯その道に従って歩むならば、あなたの神、主は、先祖に誓われたようにあなたの領土を広げ、先祖に与えると約束された土地をことごとくあなたに与えられる。そのときには、この三つの町のほかに、更に三つの町を加えなさい。

 

 19:10 あなたの神、主があなたの嗣業として与えられる土地に罪なき者の血が流され、その責任があなたに及ぶことがないようにするためである。

 

 19:11 しかし、もしある者が隣人を憎み、待ち伏せして襲いかかって打ち殺し、これらの町の一つに逃れたならば、

 

 19:12 その犯人を出した町の長老たちは、人を遣わして彼を捕らえ、復讐する者の手に引き渡して殺させねばならない。

 

 19:13 彼に憐れみをかけてはならない。罪なき者の血を流した罪をイスラエルから除き去れば、あなたは幸いを得る。

 

 

*地境の移動

 

 

 19:14 あなたの神、主があなたに与えて得させられる土地で、すなわちあなたが受け継ぐ嗣業の土地で、最初の人々が定めたあなたの隣人との地境を動かしてはならない。

 

 

 

*裁判の証人

 

 

  19:15 いかなる犯罪であれ、およそ人の犯す罪について、一人の証人によって立証されることはない。二人ないし三人の証人の証言によって、その事は立証されねばならない。

 

 19:16 不法な証人が立って、相手の不正を証言するときは、

 

 19:17 係争中の両者は主の前に出、そのとき任に就いている祭司と裁判人の前に出ねばならない。

 

 19:18 裁判人は詳しく調査し、もしその証人が偽証人であり、同胞に対して偽証したということになれば、

 

 19:19 彼が同胞に対してたくらんだ事を彼自身に報い、あなたの中から悪を取り除かねばならない。

 

 19:20 ほかの者たちは聞いて恐れを抱き、このような悪事をあなたの中で二度と繰り返すことはないであろう。

 

 19:21 あなたは憐れみをかけてはならない。命には命、目には目、歯には歯、手には手、足には足を報いなければならない。

 

 

20章

 

*戦争について

 

 20:1 あなたが敵に向かって出陣するとき、馬と戦車、また味方より多数の軍勢を見ても恐れてはならない。あなたをエジプトの国から導き上られたあなたの神、主が共におられるからである。

 

 20:2 いよいよ戦いの場に臨んだならば、祭司は進み出て、民に告げ、

 

 20:3 次のように言わねばならない。「イスラエルよ、聞け。あなたたちは、今日、敵との戦いに臨む。心ひるむな。恐れるな。慌てるな。彼らの前にうろたえるな。

 

 20:4 あなたたちの神、主が共に進み、敵と戦って勝利を賜るからである。」

 

  20:5 役人たちは民に勧めなさい。「新しい家を建てて、まだ奉献式を済ませていない者はいないか。その人は家に帰りなさい。万一、戦死して、ほかの者が奉献式をするようなことにならないように。

 

 20:6 ぶどう畑を作り、まだ最初の収穫をしていない者はいないか。その人は家に帰りなさい。万一、戦死して、ほかの者が最初の収穫をするようなことにならないように。

 

 20:7 婚約しただけで、まだ結婚していない者はいないか。その人は家に帰りなさい。万一、戦死して、ほかの者が彼女と結婚するようなことにならないように。」

 

 20:8 役人たちは更に民に勧めて言いなさい。「恐れて心ひるんでいる者はいないか。その人は家に帰りなさい。彼の心と同じように同胞の心が挫けるといけないから。」

 

 20:9 役人たちが民への勧めを終えたならば、各部隊の長は民の指揮を取りなさい。

 

  20:10 ある町を攻撃しようとして、そこに近づくならば、まず、降伏を勧告しなさい。

 

 20:11 もしその町がそれを受諾し、城門を開くならば、その全住民を強制労働に服させ、あなたに仕えさせねばならない。

 

 20:12 しかし、もしも降伏せず、抗戦するならば、町を包囲しなさい。

 

 20:13 あなたの神、主はその町をあなたの手に渡されるから、あなたは男子をことごとく剣にかけて撃たねばならない。

 

 20:14 ただし、女、子供、家畜、および町にあるものはすべてあなたの分捕り品として奪い取ることができる。あなたは、あなたの神、主が与えられた敵の分捕り品を自由に用いることができる。

 

 20:15 このようになしうるのは、遠く離れた町々に対してであって、次に挙げる国々に属する町々に対してではない。

 

 20:16 あなたの神、主が嗣業として与えられる諸国の民に属する町々で息のある者は、一人も生かしておいてはならない。

 

 20:17 ヘト人、アモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人は、あなたの神、主が命じられたように必ず滅ぼし尽くさねばならない。

 

 20:18 それは、彼らがその神々に行ってきた、あらゆるいとうべき行為をあなたたちに教えてそれを行わせ、あなたたちがあなたたちの神、主に罪を犯すことのないためである。

 

  20:19 あなたが町を攻略しようとして、長期にわたって包囲するとき、斧を振るってその町の木を切り尽くしてはならない。木の実は食糧になるから、それを切り倒してはならない。一体、野の木はあなたの前から城壁に囲まれた町に逃げ込む人間なのか。

 

 

 20:20 ただ食用にならないことが分かっている木を切り尽くし、切った木を用いて塁を築き、あなたに抗戦する町を攻め落としなさい。

21章

 

野で殺された人

 

 

  21:1 あなたの神、主があなたに与えて、得させられる土地で、殺されて野に倒れている人が発見され、その犯人がだれか分からないならば、

 

 21:2 長老および裁判人たちが現場に赴き、その死体から周囲の町々への距離を測らねばならない。

 

 21:3 死体に最も近い町の長老たちは、労役に使われたことのない雌牛、すなわち軛を負わされたことの

ない若い雌牛を選び、

 

  21:4 長老たちは、その雌牛を水の尽きることのない川の、耕したことも種を蒔いたこともない岸辺に連れて行き、その川で雌牛の首を折らねばならない。

 

 21:5 それから、レビの子孫である祭司たちが進み出る。あなたの神、主が御自分に仕えさせ、また主の御名によって祝福を与えるために、お選びになったのは彼らであり、争いごとや傷害事件は、すべて彼らの指示に従わねばならないのである。

 

 21:6 死体に最も近い町の長老たちは皆、川で首を折られた雌牛の上で手を洗い、

 

 21:7 証言して言わねばならない。「我々の手はこの流血事件とかかわりがなく、目は何も見ていません。

 

 21:8 主よ、あなたが救い出されたあなたの民、イスラエルの罪を贖い、あなたの民、イスラエルのうちに罪なき者の血を流した罪をとどめないでください。」こうして、彼らの血を流した罪は贖われる。

 

 21:9 あなたは主が正しいと見なされることを行うなら、罪なき者の血を流した罪を取り除くことができる。

 

 

 

捕虜の女性との結婚

 

 

  21:10 あなたが敵に向かって出陣し、あなたの神、主が敵をあなたの手に渡され、捕虜を捕らえたとき、

 

 21:11 その中に美しい女性がいて、心引かれ、妻にしようとするならば、

 

 21:12 自分の家に連れて行きなさい。彼女は髪を下ろし、つめを切り、

 

 21:13 捕虜の衣服を脱いで、あなたの家に住み、自分の両親のために、一か月の間嘆かねばならない。その後、あなたは彼女のところに入ってその夫となり、彼女はあなたの妻となる。

 

 21:14 もし彼女があなたの気に入らなくなった場合、彼女の意のままに去らせねばならない。決して金で売ってはならない。既に彼女を辱めたのであるから、奴隷のように扱ってはならない。

 

 

 

長子権について

 

 

 21:15 ある人に二人の妻があり、一方は愛され、他方は疎んじられた。愛された妻も疎んじられた妻も彼の子を産み、疎んじられた妻の子が長子であるならば、

 

 21:16 その人が息子たちに財産を継がせるとき、その長子である疎んじられた妻の子を差し置いて、愛している妻の子を長子として扱うことはできない。

 

 21:17 疎んじられた妻の子を長子として認め、自分の全財産の中から二倍の分け前を与えねばならない。この子が父の力の初穂であり、長子権はこの子のものだからである。

 

 

 

反抗する息子

 

 

  21:18 ある人にわがままで、反抗する息子があり、父の言うことも母の言うことも聞かず、戒めても聞き従わないならば、

 21:19 両親は彼を取り押さえ、その地域の城門にいる町の長老のもとに突き出して、

 

 21:20 町の長老に、「わたしたちのこの息子はわがままで、反抗し、わたしたちの言うことを聞きません。放蕩にふけり、大酒飲みです」と言いなさい。

 

 21:21 町の住民は皆で石を投げつけて彼を殺す。あなたはこうして、あなたの中から悪を取り除かねばならない。全イスラエルはこのことを聞いて、恐れを抱くであろう。

 

 

 

木にかけられた死体

 

 

  21:22 ある人が死刑に当たる罪を犯して処刑され、あなたがその人を木にかけるならば、

 

 

 21:23 死体を木にかけたまま夜を過ごすことなく、必ずその日のうちに埋めねばならない。木にかけられた死体は、神に呪われたものだからである。あなたは、あなたの神、主が嗣業として与えられる土地を汚してはならない。

22章

 

同胞を助けること

 

 22:1 同胞の牛または羊が迷っているのを見て、見ない振りをしてはならない。必ず同胞のもとに連れ返さねばならない。

 

22:2 もしも同胞が近くの人でなく、だれであるかも分からない場合は、それを家に連れ帰り、同胞が捜しに来るまで手もとに置き、捜しに来たとき、その人に返しなさい。

 

22:3 ろばであれ、外套であれ、その他すべて同胞がなくしたものを、あなたが見つけたときは、同じようにしなさい。見ない振りをすることは許されない。

 

22:4 同胞のろばまたは牛が道に倒れているのを見て、見ない振りをしてはならない。その人に力を貸して、必ず助け起こさねばならない。

 

 

ふさわしくない服装

 

  22:5 女は男の着物を身に着けてはならない。男は女の着物を着てはならない。このようなことをする者をすべて、あなたの神、主はいとわれる。

 

 

母鳥と雛鳥

 

  22:6 道端の木の上または地面に鳥の巣を見つけ、その中に雛か卵があって、母鳥がその雛か卵を抱いているときは、母鳥をその母鳥の産んだものと共に取ってはならない。

 

 22:7 必ず母鳥を追い払い、母鳥が産んだものだけを取らねばならない。そうすれば、あなたは幸いを得、長く生きることができる。

 

 

屋根の欄干

 

  22:8 家を新築するならば、屋根に欄干を付けねばならない。そうすれば、人が屋根から落ちても、あなたの家が血を流した罪に問われることはない。

 

 

混ぜ合わせてはならないもの

 

  22:9 ぶどう畑にそれと別の種を蒔いてはならない。あなたの蒔く種の実りも、ぶどう畑本来の収穫も共に汚れたものとならないためである。

 

 22:10 牛とろばとを組にして耕してはならない。

 

 22:11 毛糸と亜麻糸とを織り合わせた着物を着てはならない。

 

 

衣服の房

 

  22:12 身にまとう衣服の四隅には房を付けねばならない。

 

 

処女の証拠

 

  22:13 人が妻をめとり、彼女のところに入った後にこれを嫌い、

 

 22:14 虚偽の非難をして、彼女の悪口を流し、「わたしはこの女をめとって近づいたが、処女の証拠がなかった」と言うならば、

 

 22:15 その娘の両親は娘の処女の証拠を携えて、町の門にいる長老たちに差し出し、

 

 22:16 娘の父は長老たちに、「わたしは娘をこの男と結婚させましたが、彼は娘を嫌い、

 

 22:17 娘に処女の証拠がなかったと言って、虚偽の非難をしました。しかし、これが娘の処女の証拠です」と証言し、布を町の長老たちの前に広げねばならない。

 

 22:18 町の長老たちは男を捕まえて鞭で打ち、

 

 22:19 イスラエルのおとめについて悪口を流したのであるから、彼に銀百シェケルの罰金を科し、それを娘の父親に渡さねばならない。彼女は彼の妻としてとどまり、彼は生涯、彼女を離縁することはできない。

 

 22:20 しかし、もしその娘に処女の証拠がなかったという非難が確かであるならば、

 

 22:21 娘を父親の家の戸口に引き出し、町の人たちは彼女を石で打ち殺さねばならない。彼女は父の家で姦淫を行って、イスラエルの中で愚かなことをしたからである。あなたはあなたの中から悪を取り除かねばならない。

 

 

姦淫について

 

  22:22 男が人妻と寝ているところを見つけられたならば、女と寝た男もその女も共に殺して、イスラエルの中から悪を取り除かねばならない。

 

  22:23 ある男と婚約している処女の娘がいて、別の男が町で彼女と出会い、床を共にしたならば、

 

 22:24 その二人を町の門に引き出し、石で打ち殺さねばならない。その娘は町の中で助けを求めず、男は隣人の妻を辱めたからである。あなたはこうして、あなたの中から悪を取り除かねばならない。

 

 22:25 もしある男が別の男と婚約している娘と野で出会い、これを力ずくで犯し共に寝た場合は、共に寝た男だけを殺さねばならない。

 

 22:26 その娘には何もしてはならない。娘には死刑に当たる罪はない。これは、ある人がその隣人を襲い、殺害した場合と同じような事件である。

 

 22:27 男が野で彼女に出会い、婚約している娘は助けを求めたが、助ける者がいなかったからである。

 

  22:28 ある男がまだ婚約していない処女の娘に出会い、これを捕らえ、共に寝たところを見つけられたならば、

 

 22:29 共に寝た男はその娘の父親に銀五十シェケルを支払って、彼女を妻としなければならない。彼女を辱めたのであるから、生涯彼女を離縁することはできない。

 

 

23章

 

  23:1 だれも父の妻をめとって、父の衣の裾をあらわにしてはならない。

 

 

 会衆に加わる資格

  

  23:2 睾丸のつぶれた者、陰茎を切断されている者は主の会衆に加わることはできない。

 

 23:3 混血の人は主の会衆に加わることはできない。十代目になっても主の会衆に加わることはできない。

 

 23:4 アンモン人とモアブ人は主の会衆に加わることはできない。十代目になっても、決して主の会衆に加わることはできない。

 

 23:5 それは、かつてあなたたちがエジプトから出て来たとき、彼らがパンと水を用意して旅路で歓迎せず、アラム・ナハライムのペトルからベオルの子バラムを雇って、あなたを呪わせようとしたからである。

 

 23:6 あなたの神、主はバラムに耳を傾けず、あなたの神、主はあなたのために呪いを祝福に代えられた。あなたの神、主があなたを愛されたからにほかならない。

 

 23:7 あなたは生涯いつまでも彼らの繁栄や幸福を求めてはならない。

 

 23:8 エドム人をいとってはならない。彼らはあなたの兄弟である。エジプト人をいとってはならない。あなたはその国に寄留していたからである。

 

 23:9 彼らに生まれる三代目の子孫は主の会衆に加わることができる。

 

 

 陣営を清く保つこと

  

  23:10 あなたが敵に向かって陣を張るならば、注意して、すべての汚れから身を守らねばならない。

 

 23:11 夜、夢精によって汚れた者は、陣営の外に出て行き、中に入らず、

 

 23:12 夕方になって水で体を洗い、日没に陣営に戻ることができる。

 

 23:13 陣営の外に一つの場所を設け、用を足すときは、そこに行きなさい。

 

 23:14 武器のほかに杭を用意し、外でかがむときには、それで穴を掘り、再びそれで排泄物を覆いなさい。

 

 23:15 あなたの神、主はあなたを救い、敵をあなたに渡すために、陣営の中を歩まれる。陣営は聖なるものである。主があなたの中に何か恥ずべきものを御覧になって、あなたから離れ去ることのないようにしなさい。

 

 

 逃亡奴隷の保護

  

  23:16 主人のもとを逃れてあなたのもとに来た奴隷を、その主人に引き渡してはならない。

 

 23:17 あなたの間に、すなわちあなたのどこかの町の彼が選ぶ場所に、望むがままにあなたと共に住まわせなさい。彼を虐げてはならない。

 

 

 神殿で禁じられていること

  

  23:18 イスラエルの女子は一人も神殿娼婦になってはならない。また、イスラエルの男子は一人も神殿男娼になってはならない。

 

 23:19 いかなる誓願のためであっても、遊女のもうけや犬の稼ぎをあなたの神、主の宮に携えてはならない。いずれもあなたの神、主のいとわれるものだからである。

 

 

 利子

  

  23:20 同胞には利子を付けて貸してはならない。銀の利子も、食物の利子も、その他利子が付くいかなるものの利子も付けてはならない。

 

 23:21 外国人には利子を付けて貸してもよいが、同胞には利子を付けて貸してはならない。それは、あなたが入って得る土地で、あなたの神、主があなたの手の働きすべてに祝福を与えられるためである。

 

 

 誓願

  

  23:22 あなたの神、主に誓願を立てる場合は、遅らせることなく、それを果たしなさい。あなたの神、主は必ずそれをあなたに求め、あなたの罪とされるからである。

 

 23:23 誓願を中止した場合は、罪を負わない。

 

 23:24 唇に出したことはそれを守り、口で約束した誓願は、あなたの神、主に誓願したとおりに実行しなさい。

 

 

人の畑のもの

  

  23:25 隣人のぶどう畑に入るときは、思う存分満足するまでぶどうを食べてもよいが、籠に入れてはならない。

 

 

 23:26 隣人の麦畑に入るときは、手で穂を摘んでもよいが、その麦畑で鎌を使ってはならない。

24章 

 

*再婚について

  

 24:1 人が妻をめとり、その夫となってから、妻に何か恥ずべきことを見いだし、気に入らなくなったときは、離縁状を書いて彼女の手に渡し、家を去らせる。

 

24:2 その女が家を出て行き、別の人の妻となり、

 

24:3 次の夫も彼女を嫌って離縁状を書き、それを手に渡して家を去らせるか、あるいは彼女をめとって妻とした次の夫が死んだならば、

 

24:4 彼女は汚されているのだから、彼女を去らせた最初の夫は、彼女を再び妻にすることはできない。これは主の御前にいとうべきことである。あなたの神、主が嗣業として与えられる土地を罪で汚してはならない。

 

 

*人道上の規定

 

 24:5 人が新妻をめとったならば、兵役に服さず、いかなる公務も課せられず、一年間は自分の家のためにすべてを免除される。彼は、めとった妻を喜ばせねばならない。

 

  24:6 挽き臼あるいはその上石を質に取ってはならない。命そのものを質に取ることになるからである。

 

  24:7 同胞であるイスラエルの人々の一人を誘拐して、これを奴隷のように扱うか、人に売るのを見つけたならば、誘拐したその者を殺し、あなたの中から悪を取り除かねばならない。

 

  24:8 重い皮膚病については、細心の注意を払い、すべてレビ人である祭司が指示するとおりに行いなさい。わたしが彼らに命じたとおり忠実に守りなさい。

 

24:9 エジプトから出た後の旅路で、あなたの神、主がミリアムになさったことを思い起こしなさい。

 

  24:10 あなたが隣人に何らかの貸し付けをするときは、担保を取るために、その家に入ってはならない。

 

24:11 外にいて、あなたが貸す相手の人があなたのところに担保を持って出て来るのを待ちなさい。

 

24:12 もし、その人が貧しい場合には、その担保を取ったまま床に就いてはならない。

 

24:13 日没には必ず担保を返しなさい。そうすれば、その人は自分の上着を掛けて寝ることができ、あなたを祝福するであろう。あなたはあなたの神、主の御前に報いを受けるであろう。

 

  24:14 同胞であれ、あなたの国であなたの町に寄留している者であれ、貧しく乏しい雇い人を搾取してはならない。

 

24:15 賃金はその日のうちに、日没前に支払わねばならない。彼は貧しく、その賃金を当てにしているからである。彼があなたを主に訴えて、罪を負うことがないようにしなさい。

 

  24:16 父は子のゆえに死に定められず、子は父のゆえに死に定められない。人は、それぞれ自分の罪のゆえに死に定められる。

 

  24:17 寄留者や孤児の権利をゆがめてはならない。寡婦の着物を質に取ってはならない。

 

24:18 あなたはエジプトで奴隷であったが、あなたの神、主が救い出してくださったことを思い起こしなさい。わたしはそれゆえ、あなたにこのことを行うように命じるのである。

 

  24:19 畑で穀物を刈り入れるとき、一束畑に忘れても、取りに戻ってはならない。それは寄留者、孤児、寡婦のものとしなさい。こうしてあなたの手の業すべてについて、あなたの神、主はあなたを祝福される。

 

24:20 オリーブの実を打ち落とすときは、後で枝をくまなく捜してはならない。それは寄留者、孤児、寡婦のものとしなさい。

 

24:21 ぶどうの取り入れをするときは、後で摘み尽くしてはならない。それは寄留者、孤児、寡婦のものとしなさい。

 

 

24:22 あなたは、エジプトの国で奴隷であったことを思い起こしなさい。わたしはそれゆえ、あなたにこのことを行うように命じるのである。

25章 

 

*鞭打ち

 

  25:1 二人の間に争いが生じ、彼らが法廷に出頭するならば、正しい者を無罪とし、悪い者を有罪とする判決が下されねばならない。

 

25:2 もし有罪の者が鞭打ちの刑に定められる場合、裁判人は彼をうつ伏せにし、自分の前で罪状に応じた数だけ打たせねばならない。

 

25:3 四十回までは打ってもよいが、それ以上はいけない。それ以上鞭打たれて、同胞があなたの前で卑しめられないためである。

 

 

 

 脱穀する牛の保護

 

 25:4 脱穀している牛に口籠を掛けてはならない。

 

 

*家名の存続

 

 25:5 兄弟が共に暮らしていて、そのうちの一人が子供を残さずに死んだならば、死んだ者の妻は家族以外の他の者に嫁いではならない。亡夫の兄弟が彼女のところに入り、めとって妻として、兄弟の義務を果たし、

 

25:6 彼女の産んだ長子に死んだ兄弟の名を継がせ、その名がイスラエルの中から絶えないようにしなければならない。

 

25:7 もし、その人が義理の姉妹をめとろうとしない場合、彼女は町の門に行って長老たちに訴えて、こう言うべきである。「わたしの義理の兄弟は、その兄弟の名をイスラエルの中に残すのを拒んで、わたしのために兄弟の義務を果たそうとしません。」

 

25:8 町の長老たちは彼を呼び出して、説得しなければならない。もし彼が、「わたしは彼女をめとりたくない」と言い張るならば、

 

25:9 義理の姉妹は、長老たちの前で彼に近づいて、彼の靴をその足から脱がせ、その顔に唾を吐き、彼に答えて、「自分の兄弟の家を興さない者はこのようにされる」と言うべきである。

 

25:10 彼はイスラエルの間で、「靴を脱がされた者の家」と呼ばれるであろう。

 

 

*組み打ちの場合

 

  25:11 二人の男が互いに相争っているとき、一方の妻が近づき、夫が打たれるのを救おうとして、手を伸ばし、相手の急所をつかんだならば、

 

25:12 その手は切り落とされねばならない。憐れみをかけてはならない。

 

 

*正しい秤

 

  25:13 あなたは袋に大小二つの重りを入れておいてはならない。

 

25:14 あなたの家に大小二つの升を置いてはならない。

 

25:15 あなたが全く正確な重りと全く正確な升を使うならば、あなたの神、主が与えられる土地で長く生きることができるが、

 

25:16 このようなことをし、不正を行う者をすべて、あなたの神、主はいとわれる。

 

 

 *アマレクを滅せ

 

  25:17 あなたたちがエジプトを出たとき、旅路でアマレクがしたことを思い起こしなさい。

 

25:18 彼は道であなたと出会い、あなたが疲れきっているとき、あなたのしんがりにいた落伍者をすべて攻め滅ぼし、神を畏れることがなかった。

 

 

25:19 あなたの神、主があなたに嗣業の土地として得させるために与えられる土地で、あなたの神、主が周囲のすべての敵からあなたを守って安らぎを与えられるとき、忘れずに、アマレクの記憶を天の下からぬぐい去らねばならない。

26章

 

 

信仰の告白

  

 

   26:1 あなたの神、主が嗣業の土地として得させるために与えられる土地にあなたが入り、そこに住むときには、

 

26:2 あなたの神、主が与えられる土地から取れるあらゆる地の実りの初物を取って籠に入れ、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所に行きなさい。

 

26:3 あなたは、そのとき任に就いている祭司のもとに行き、「今日、わたしはあなたの神、主の御前に報告いたします。わたしは、主がわたしたちに与えると先祖たちに誓われた土地に入りました」と言いなさい。

 

26:4 祭司はあなたの手から籠を受け取って、あなたの神、主の祭壇の前に供える。

 

26:5 あなたはあなたの神、主の前で次のように告白しなさい。「わたしの先祖は、滅びゆく一アラム人であり、わずかな人を伴ってエジプトに下り、そこに寄留しました。しかしそこで、強くて数の多い、大いなる国民になりました。

 

26:6 エジプト人はこのわたしたちを虐げ、苦しめ、重労働を課しました。

 

26:7 わたしたちが先祖の神、主に助けを求めると、主はわたしたちの声を聞き、わたしたちの受けた苦しみと労苦と虐げを御覧になり、

 

26:8 力ある御手と御腕を伸ばし、大いなる恐るべきこととしるしと奇跡をもってわたしたちをエジプトから導き出し、

 

26:9 この所に導き入れて乳と蜜の流れるこの土地を与えられました。

 

26:10 わたしは、主が与えられた地の実りの初物を、今、ここに持って参りました。」あなたはそれから、あなたの神、主の前にそれを供え、あなたの神、主の前にひれ伏し、

 

26:11 あなたの神、主があなたとあなたの家族に与えられたすべての賜物を、レビ人およびあなたの中に住んでいる寄留者と共に喜び祝いなさい。

 

26:12 十分の一の納期である三年目ごとに、収穫物の十分の一を全部納め終わり、レビ人、寄留者、孤児、寡婦に施し、彼らが町の中でそれを食べて満ち足りたとき、

 

26:13 あなたの神、主の前で次のように言いなさい。「わたしは、聖なる献げ物を残らず家から取り出し、すべてあなたが命じられた戒めに従って、レビ人、寄留者、孤児、寡婦に施し、あなたの戒めからはずれたり、それを忘れたりしませんでした。

 

26:14 それを喪中に食べたり、汚れているときに取り出したり、死者に供えたりしたことはありません。わたしの神、主の御声に聞き従い、すべてあなたが命じられたとおりに行いました。

 

26:15 天にあるあなたの聖なる住まいから見下ろして、あなたの民イスラエルを祝福し、あなたが先祖に誓われたとおりに、わたしたちに授けられた地、乳と蜜の流れる土地を祝福してください。」

 

 

神の民

 

 

  26:16 今日、あなたの神、主はあなたに、これらの掟と法を行うように命じられる。あなたは心を尽くし、魂を尽くして、それを忠実に守りなさい。

 

26:17 今日、あなたは誓約した。「主を自分の神とし、その道に従って歩み、掟と戒めと法を守り、御声に聞き従います」と。

 

26:18 主もまた、今日、あなたに誓約された。「既に約束したとおり、あなたは宝の民となり、すべての戒めを守るであろう。

 

26:19 造ったあらゆる国民にはるかにまさるものとし、あなたに賛美と名声と誉れを与え、既に約束したとおり、あなたをあなたの神、主の聖なる民にする」と。

 

 

27章

 

 

石に掟を書き記せ

 

 

  27:1 モーセは、イスラエルの長老たちと共に民にこう命じた。今日、わたしが命じるすべての戒めを守りなさい。

 

27:2 ヨルダン川を渡り、あなたの神、主が与えられる土地に入る日には、大きな石を幾つか立て、しっくいを塗り、

 

27:3 あなたが川を渡ったとき、その上にこの律法の言葉をすべて書き記しなさい。こうしてあなたは、あなたの先祖の神、主が約束されたとおり、あなたの神、主が与えられる乳と蜜の流れる土地に入ることができる。

 

27:4 あなたたちがヨルダン川を渡ったならば、わたしが今日命じるこれらの石をエバル山に立て、しっくいを塗り、

 

27:5 またそこに、あなたの神、主のために祭壇を築きなさい。それは石の祭壇で、鉄の道具を当ててはならない。

 

27:6 自然のままの石であなたの神、主の祭壇を築き、その上であなたの神、主に焼き尽くす献げ物をささげなさい。

 

27:7 また、和解の献げ物を屠ってそれにあずかり、あなたの神、主の御前で喜び祝いなさい。

 

27:8 あなたは石の上にこの律法の言葉をすべてはっきりと書き記しなさい。

 

 

 

呪いの掟

 

 

   27:9 モーセは、レビ人である祭司と共に全イスラエルに向かって告げた。

 

  イスラエルよ、静かにして聞きなさい。あなたは今日、あなたの神、主の民とされた。

 

27:10 あなたの神、主の御声に聞き従い、今日わたしが命じる戒めと掟を行わねばならない。

 

  27:11 その日、モーセは民にこう命じた。

 

27:12 あなたたちがヨルダン川を渡ったならば、民を祝福するために、シメオン、レビ、ユダ、イサカル、ヨセフ、ベニヤミンはゲリジム山に立ち、

 

27:13 また呪うために、ルベン、ガド、アシェル、ゼブルン、ダン、ナフタリはエバル山に立ちなさい。

 

  27:14 レビ人は、大声でイスラエルの人すべてに向かって宣言しなければならない。

  

  27:15 「職人の手の業にすぎぬ彫像や鋳像は主のいとわれるものであり、これを造り、ひそかに安置する者は呪われる。」それに答えて、民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

  

  27:16 「父母を軽んずる者は、呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:17 「隣人との地境を動かす者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:18 「盲人を道に迷わせる者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:19 「寄留者、孤児、寡婦の権利をゆがめる者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:20 「父の妻と寝る者は呪われる。父の衣の裾をあらわにするからである。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:21 「どんな獣とも寝る者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:22 「異母姉妹であれ、異父姉妹であれ、自分の姉妹と寝る者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:23 「妻の母と寝る者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:24 「隣人をひそかに打ち殺す者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:25 「賄賂を取って、人を打ち殺して罪のない人の血を流す者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

  27:26 「この律法の言葉を守り行わない者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

 

 

28章

 

 

神の祝福

 

  28:1 もし、あなたがあなたの神、主の御声によく聞き従い、今日わたしが命じる戒めをことごとく忠実に守るならば、あなたの神、主は、あなたを地上のあらゆる国民にはるかにまさったものとしてくださる。

 

28:2 あなたがあなたの神、主の御声に聞き従うならば、これらの祝福はすべてあなたに臨み、実現するであろう。

 

28:3 あなたは町にいても祝福され、野にいても祝福される。

 

28:4 あなたの身から生まれる子も土地の実りも、家畜の産むもの、すなわち牛の子や羊の子も祝福され、

 

28:5 籠もこね鉢も祝福される。

 

28:6 あなたは入るときも祝福され、出て行くときも祝福される。

 

28:7 主は、あなたに立ち向かう敵を目の前で撃ち破られる。敵は一つの道から攻めて来るが、あなたの前に敗れて七つの道に逃げ去る。

 

28:8 主は、あなたのために、あなたの穀倉に対しても、あなたの手の働きすべてに対しても祝福を定められ、あなたの神、主が与えられる土地であなたを祝福される。

 

28:9 もし、あなたがあなたの神、主の戒めを守り、その道に従って歩むならば、主はお誓いになったとおり、あなたを聖なる民とされる。

 

28:10 地上のすべての民は、あなたに主の御名が付けられるのを見て、あなたに畏れを抱く。

 

28:11 主は、あなたに与えると先祖に誓われた土地で、あなたの身から生まれる子、家畜の産むもの、土地の実りを豊かに増し加え、

 

28:12 恵みの倉である天を開いて、季節ごとにあなたの土地に雨を降らせ、あなたの手の業すべてを祝福される。あなたはそれゆえ、多くの国民に貸すようになるが、あなたが貸してもらうことはないであろう。

 

28:13 わたしが今日、忠実に守るように命じるあなたの神、主の戒めにあなたが聞き従うならば、主はあなたを頭とし、決して尾とはされない。あなたは常に上に立ち、決して下になることはないであろう。

 

28:14 あなたは、今日わたしが命じるすべての言葉から離れて左右にそれ、他の神々に従い仕えてはならない。

 

 

 

 神の呪い

 

 

  28:15 しかし、もしあなたの神、主の御声に聞き従わず、今日わたしが命じるすべての戒めと掟を忠実に守らないならば、これらの呪いはことごとくあなたに臨み、実現するであろう。

 

28:16 あなたは町にいても呪われ、野にいても呪われる。

 

28:17 籠もこね鉢も呪われ、

 

28:18 あなたの身から生まれる子も土地の実りも、牛の子も羊の子も呪われる。

 

28:19 あなたは入るときも呪われ、出て行くときも呪われる。

 

  28:20 あなたが悪い行いを重ねて、わたしを捨てるならば、あなたの行う手の働きすべてに対して、主は呪いと混乱と懲らしめを送り、あなたは速やかに滅ぼされ、消えうせるであろう。

 

28:21 主は、疫病をあなたにまといつかせ、あなたが得ようと入って行く土地であなたを絶やされる。

 

28:22 主は、肺病、熱病、高熱病、悪性熱病、干ばつ、黒穂病、赤さび病をもってあなたを打ち、それらはあなたを追い、あなたを滅ぼすであろう。

 

28:23 頭上の天は赤銅となり、あなたの下の地は鉄となる。

 

28:24 主はあなたの地の雨を埃とされ、天から砂粒を降らせて、あなたを滅ぼされる。

 

28:25 主は敵の前であなたを撃ち破らせられる。あなたは一つの道から敵を攻めるが、その前に敗れて七つの道に逃げ去る。あなたは地上のすべての王国にとって恐るべき見せしめとなる。

 

28:26 あなたの死体は、すべての空の鳥、地の獣の餌食となり、それを脅して追い払う者もいない。

 

  28:27 主は、エジプトのはれ物、潰瘍、できもの、皮癬などであなたを打たれ、あなたはいやされることはない。

 

28:28 主はまた、あなたを打って、気を狂わせ、盲目にし、精神を錯乱させられる。

 

28:29 盲人が暗闇で手探りするように、あなたは真昼に手探りするようになる。あなたは何をしても成功せず、常に蹂躙され、かすめ取られてだれ一人助ける者はない。

 

28:30 あなたは婚約しても、他の男がその女性と寝る。あなたは家を建てても、住むことはできない。ぶどう畑を作っても、その実の初物を味うことはできない。

 

28:31 あなたの牛が目の前で屠られても、あなたは食べることができず、ろばが目の前で奪い取られても、返してはもらえない。羊の群れが敵に連れ去られても、だれ一人あなたを助ける者はない。

 

28:32 あなたの息子や娘が他国の民に連れ去られるのを見て、その目は終日彼らを慕って衰えるが、なすすべはない。

 

28:33 あなたの土地の実りも労苦の作もすべて、あなたの知らない民が食べ、あなたはただ蹂躙され、常に踏み砕かれるだけである。

 

28:34 あなたはそのような有様を目の当たりにして、気が狂う。

 

28:35 主は悪いはれ物を両膝や腿に生じさせ、あなたはいやされることはない。それはあなたの足の裏から頭のてっぺんまで増え広がる。

 

  28:36 主は、あなたをあなたの立てた王と共に、あなたも先祖も知らない国に行かせられる。あなたはそこで、木や石で造られた他の神々に仕えるようになる。

 

28:37 主があなたを追いやられるすべての民の間で、あなたは驚き、物笑いの種、嘲りの的となる。

 

28:38 畑に多くの種を携え出ても、いなごに食い尽くされて、わずかの収穫しか得られない。

 

28:39 ぶどう畑を作って手を入れても、虫に実を食われてしまい、収穫はなく、ぶどう酒を飲むことはできない。

 

28:40 オリーブの木があなたの領地の至るところにあっても、実は落ちてしまい、体に塗る油は採れない。

 

28:41 あなたに息子や娘が生まれても、捕らわれて行き、あなたのものではなくなる。

 

28:42 あなたのどの木も土地の実りも、害虫に取り上げられる。

 

28:43 あなたの中に寄留する者は徐々にあなたをしのぐようになり、あなたは次第に低落する。

 

28:44 彼があなたに貸すことはあっても、あなたが彼に貸すことはない。彼はあなたの頭となり、あなたはその尾となる。

 

  28:45 これらの呪いは、ことごとくあなたに臨み、付きまとい、実現して、ついにあなたを滅びに至らせる。あなたの神、主の御声に聞き従わず、命じられた戒めと掟とを守らなかったからである。

 

28:46 これらのことは、あなたとあなたの子孫に対していつまでもしるしとなり、警告となるであろう。

 

  28:47 あなたが、すべてに豊かでありながら、心からの喜びと幸せに溢れてあなたの神、主に仕えないので、

 

28:48 あなたは主の差し向けられる敵に仕え、飢えと渇きに悩まされ、裸にされて、すべてに事欠くようになる。敵はあなたに鉄の首枷をはめ、ついに滅びに至らせる。

 

28:49 主は遠く地の果てから一つの国民を、その言葉を聞いたこともない国民を、鷲が飛びかかるようにあなたに差し向けられる。

 

28:50 その民は尊大で、老人を顧みず、幼い子を憐れまず、

 

28:51 家畜の産むものや土地の実りを食い尽くし、ついにあなたは死に絶える。あなたのために穀物も新しいぶどう酒もオリーブ油も、牛の子も羊の子も、何一つ残さず、ついにあなたを滅ぼす。

 

28:52 彼らはすべての町であなたを攻め囲み、あなたが全土に築いて頼みとしてきた高くて堅固な城壁をついには崩してしまう。彼らは、あなたの神、主があなたに与えられた全土のすべての町を攻め囲む。

 

28:53 あなたは敵に包囲され、追いつめられた困窮のゆえに、あなたの神、主が与えられた、あなたの身から生まれた子、息子、娘らの肉をさえ食べるようになる。

 

28:54 あなたのうちで実に大切に扱われ、ぜいたくに過ごしてきた男が、自分の兄弟、愛する妻、生き残った子らに対して物惜しみをし、

 

28:55 その中のだれにも自分の子の肉を与えず、残らず食べてしまう。あなたのすべての町が敵に包囲され、追いつめられた困窮のゆえである。

 

28:56 あなたのうちで大切に扱われ、ぜいたくに過ごしてきた淑女で、あまりぜいたくに過ごし、大切に扱われたため、足の裏を地に付けようともしなかった者でさえ、愛する夫や息子、娘に対して物惜しみをし、

 

28:57 自分の足の間から出る後産や自分の産んだ子供を、欠乏の極みにひそかに食べる。あなたの町が敵に包囲され、追いつめられた困窮のゆえである。

 

  28:58 もし、この書に記されているこの律法の言葉をすべて忠実に守らず、この尊く畏るべき御名、あなたの神、主を畏れないならば、

 

28:59 主はあなたとあなたの子孫に激しい災害をくだされる。災害は大きく、久しく続き、病気も重く、久しく続く。

 

28:60 主はまた、あなたが恐れていたエジプトのあらゆる病気を再びあなたにうつされる。それはあなたにまといつくであろう。

 

28:61 主は更に、この律法の書に記されていない病気や災害をことごとくあなたに臨ませ、あなたを滅びに至らせる。

 

28:62 あなたたちは空の星のように多かったが、あなたの神、主の御声に聞き従わなかったから、わずかな者しか生き残らない。

 

28:63 主は、かつてあなたたちを幸いにして、人数を増やすことを喜ばれたように、今は滅ぼし絶やすことを喜ばれる。あなたたちは、あなたが入って行って得る土地から引き抜かれる。

 

28:64 主は地の果てから果てに至るまで、すべての民の間にあなたを散らされる。あなたも先祖も知らなかった、木や石で造られた他の神々に仕えるようになり、

 

28:65 これら諸国民の間にあって一息つくことも、足の裏を休めることもできない。主は、その所であなたの心を揺れ動かし、目を衰えさせ気力を失わせられる。

 

28:66 あなたの命は危険にさらされ、夜も昼もおびえて、明日の命も信じられなくなる。

 

28:67 あなたは心に恐怖を抱き、その有様を目の当たりにして、朝には、「夕になればよいのに」と願い、夕には、「朝になればよいのに」と願う。

 

28:68 「あなたは二度と見ることはない」とかつてわたしが言った道を通って、主はあなたを船でエジプトに送り返される。そこでは、あなたたちが自分の身を男女の奴隷として敵に売ろうとしても、買ってくれる者はいない。

 

 

 

 モアブで結ばれた契約

 

 

  28:69 これから述べるのは、主が、ホレブで彼らと結ばれた契約とは別にモアブの地でモーセに命じられてイスラエルの人々と結ばせた契約の言葉である。

29章

 

 29:1 モーセは、全イスラエルを呼び集めて言った。あなたたちは、主がエジプトの国で、ファラオおよびそのすべての家臣、またその全領土に対してなさったことを見た。

 

29:2 あなたはその目であの大いなる試みとしるしと大いなる奇跡を見た。

 

29:3 主はしかし、今日まで、それを悟る心、見る目、聞く耳をあなたたちにお与えにならなかった。

 

29:4 わたしは四十年の間、荒れ野であなたたちを導いたが、あなたたちのまとう着物は古びず、足に履いた靴もすり減らなかった。

 

29:5 あなたたちはパンを食べず、ぶどう酒も濃い酒も飲まなかった。それは、わたしがあなたたちの神、主であることを、悟らせるためであった。

 

29:6 あなたたちがこの所に来たとき、ヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグは我々を迎え撃つために出て来たが、我々は彼らを撃ち、

 

29:7 彼らの国を占領して、ルベン人、ガド人、マナセの半部族の嗣業の土地とした。

 

29:8 あなたたちはそれゆえ、この契約の言葉を忠実に守りなさい。そうすれば、あなたたちのすることはすべて成功する。

 

  29:9 今日、あなたたちは、全員あなたたちの神、主の御前に立っている。部族の長、長老、役人、イスラエルのすべての男子、

 

29:10 その妻子、宿営内の寄留者、薪を集める者から水をくむ者に至るまでいる。

 

29:11 それは、あなたがあなたの神、主の契約に入り、あなたの神、主が今日あなたと結ばれる呪いの誓いを交わすためであり、

 

29:12 今日、主があなたを立てて御自分の民とし、自らあなたの神となられるためである。主がかつてあなたに告げ、先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓われたとおりである。

 

  29:13 わたしはあなたたちとだけ、呪いの誓いを伴うこの契約を結ぶのではなく、

 

29:14 今日、ここで、我々の神、主の御前に我々と共に立っている者とも、今日、ここに我々と共にいない者とも結ぶのである。

 

  29:15 我々がエジプトの国にとどまっていたことも、国々の間を通って来たことも、あなたたちは、自ら通って来たので、よく知っている。

 

29:16 あなたたちは、彼らが木や石、銀や金で造られた憎むべき偶像を持っているのを見て来た。

 

29:17 今日、心変わりして、我々の神、主に背き、これらの国々の神々のもとに行って仕えるような男、女、家族、部族があなたたちの間にあってはならない。あなたたちの中に、毒草や苦よもぎを生ずる根があってはならない。

 

29:18 もし、この呪いの誓いの言葉を聞いても、祝福されていると思い込み、「わたしは自分のかたくなな思いに従って歩んでも、大丈夫だ」と言うならば、潤っている者も渇いている者と共に滅びる。

 

29:19 主はその者を決して赦そうとはされない。そのときこそ、主の怒りとねたみが燃え上がり、この書に記されている呪いの誓いがすべてその者にのしかかり、主はその名を天の下から消し去られる。

 

29:20 主は、この律法の書に記されている契約のすべての呪いの誓いに従ってその者をイスラエルの全部族の中からえり分けて、災いをくだされる。

 

  29:21 後の世代、あなたたちの後に来る子孫も遠くの地から来る外国人も、主がこの国にくだされた災害と病を見て言うであろう。

 

29:22 また、全土は硫黄と塩で焼けただれ、種は蒔かれず、芽は出ず、草一本生えず、主が激しく怒って覆されたソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムの惨状と同じなので、

 

29:23 国々の民はこぞって言うであろう。「なぜ主は、この国にこのようなことをなさったのか。どうしてこのように激しく怒りを燃やされたのか。」

 

29:24 それに対して、人々は言うであろう。「彼らの先祖の神、主がエジプトの国から彼らを導き出されたとき結ばれた契約を、彼らが捨て、

 

29:25 他の神々のもとに行って仕え、彼らの知らなかった、分け与えられたこともない神々にひれ伏したからである。

 

29:26 主の怒りはそれゆえ、この国に向かって燃え、この書に記されている呪いがことごとく臨んだのである。

 

29:27 主は激しい怒りと大いなる憤りをもって彼らを大地から抜き取り、他国に投げ捨てられ今日のようにされた。」

 

 

  29:28 隠されている事柄は、我らの神、主のもとにある。しかし、啓示されたことは、我々と我々の子孫のもとにとこしえに託されており、この律法の言葉をすべて行うことである。

30章

 

 30:1 わたしがあなたの前に置いた祝福と呪い、これらのことがすべてあなたに臨み、あなたが、あなたの神、主によって追いやられたすべての国々で、それを思い起こし、

 

30:2 あなたの神、主のもとに立ち帰り、わたしが今日命じるとおり、あなたの子らと共に、心を尽くし、魂を尽くして御声に聞き従うならば、

 

30:3 あなたの神、主はあなたの運命を回復し、あなたを憐れみ、あなたの神、主が追い散らされたすべての民の中から再び集めてくださる。

 

30:4 たとえ天の果てに追いやられたとしても、あなたの神、主はあなたを集め、そこから連れ戻される。

 

30:5 あなたの神、主は、かつてあなたの先祖のものであった土地にあなたを導き入れ、これを得させ、幸いにし、あなたの数を先祖よりも増やされる。

 

30:6 あなたの神、主はあなたとあなたの子孫の心に割礼を施し、心を尽くし、魂を尽くして、あなたの神、主を愛して命を得ることができるようにしてくださる。

 

30:7 あなたの敵とあなたを憎み迫害する者にはあなたの神、主はこれらの呪いの誓いをことごとく降りかからせられる。

 

30:8 あなたは立ち帰って主の御声に聞き従い、わたしが今日命じる戒めをすべて行うようになる。

 

30:9 あなたの神、主は、あなたの手の業すべてに豊かな恵みを与え、あなたの身から生まれる子、家畜の産むもの、土地の実りを増し加えてくださる。主はあなたの先祖たちの繁栄を喜びとされたように、再びあなたの繁栄を喜びとされる。

 

30:10 あなたが、あなたの神、主の御声に従って、この律法の書に記されている戒めと掟を守り、心を尽くし、魂を尽くして、あなたの神、主に立ち帰るからである。

 

  30:11 わたしが今日あなたに命じるこの戒めは難しすぎるものでもなく、遠く及ばぬものでもない。

 

30:12 それは天にあるものではないから、「だれかが天に昇り、わたしたちのためにそれを取って来て聞かせてくれれば、それを行うことができるのだが」と言うには及ばない。

 

30:13 海のかなたにあるものでもないから、「だれかが海のかなたに渡り、わたしたちのためにそれを取って来て聞かせてくれれば、それを行うことができるのだが」と言うには及ばない。

 

30:14 御言葉はあなたのごく近くにあり、あなたの口と心にあるのだから、それを行うことができる。

 

  30:15 見よ、わたしは今日、命と幸い、死と災いをあなたの前に置く。

 

30:16 わたしが今日命じるとおり、あなたの神、主を愛し、その道に従って歩み、その戒めと掟と法を守るならば、あなたは命を得、かつ増える。あなたの神、主は、あなたが入って行って得る土地で、あなたを祝福される。

 

30:17 もしあなたが心変わりして聞き従わず、惑わされて他の神々にひれ伏し仕えるならば、

 

30:18 わたしは今日、あなたたちに宣言する。あなたたちは必ず滅びる。ヨルダン川を渡り、入って行って得る土地で、長く生きることはない。

 

30:19 わたしは今日、天と地をあなたたちに対する証人として呼び出し、生と死、祝福と呪いをあなたの前に置く。あなたは命を選び、あなたもあなたの子孫も命を得るようにし、

 

 

30:20 あなたの神、主を愛し、御声を聞き、主につき従いなさい。それが、まさしくあなたの命であり、あなたは長く生きて、主があなたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた土地に住むことができる。

31章

 

 

ヨシュアの任命

 

 

  31:1 モーセは全イスラエルの前に歩み出て、これらの言葉を告げた後、

 

31:2 こう言った。「わたしは今日、既に百二十歳であり、もはや自分の務めを果たすことはできない。主はわたしに対して、『あなたはこのヨルダン川を渡ることができない』と言われた。

 

31:3 あなたの神、主御自身があなたに先立って渡り、あなたの前からこれらの国々を滅ぼして、それを得させてくださる。主が約束されたとおり、ヨシュアがあなたに先立って渡る。

 

31:4 主は、アモリ人の王であるシホンとオグおよび彼らの国にされたように、彼らを滅ぼされる。

 

31:5 主が彼らをあなたたちに引き渡されるから、わたしが命じたすべての戒めに従って彼らに行いなさい。

 

31:6 強く、また雄々しくあれ。恐れてはならない。彼らのゆえにうろたえてはならない。あなたの神、主は、あなたと共に歩まれる。あなたを見放すことも、見捨てられることもない。」

 

31:7 モーセはそれからヨシュアを呼び寄せ、全イスラエルの前で彼に言った。「強く、また雄々しくあれ。あなたこそ、主が先祖たちに与えると誓われた土地にこの民を導き入れる者である。あなたが彼らにそれを受け継がせる。

 

31:8 主御自身があなたに先立って行き、主御自身があなたと共におられる。主はあなたを見放すことも、見捨てられることもない。恐れてはならない。おののいてはならない。」

 

 

七年ごとの律法の朗読

 

  31:9 モーセはこの律法を書き記すと、それを主の契約の箱を担ぐレビ人である祭司およびイスラエルの全長老に与えた。

 

31:10 モーセは彼らに命じて言った。「七年目の終わり、つまり負債免除の年の定めの時、仮庵祭に、

 

31:11 主の選ばれる場所にあなたの神、主の御顔を拝するために全イスラエルが集まるとき、あなたはこの律法を全イスラエルの前で読み聞かせねばならない。

 

31:12 民を、男も女も子供も、町のうちに寄留する者も集めなさい。彼らが聞いて学び、あなたたちの神、主を畏れ、この律法の言葉をすべて忠実に守るためであり、

 

31:13 これをまだ知らない彼らの子供たちも聞いて学び、あなたたちがヨルダン川を渡り、入って行って得る土地で、彼らも生きている限り、あなたたちの神、主を畏れるようになるためである。」

 

 

神の最後の指示

 

  31:14 主はモーセに言われた。

 

  「あなたの死ぬ日は近づいた。ヨシュアを呼び寄せ、共に臨在の幕屋の中に立ちなさい。わたしは彼に任務を授ける。」モーセがヨシュアと共に臨在の幕屋の中に立つと、

 

31:15 主は雲の柱のうちに幕屋に現れられた。雲の柱は幕屋の入り口にとどまった。

 

  31:16 主はモーセに言われた。「あなたは間もなく先祖と共に眠る。するとこの民は直ちに、入って行く土地で、その中の外国の神々を求めて姦淫を行い、わたしを捨てて、わたしが民と結んだ契約を破るであろう。

 

31:17 その日、この民に対してわたしの怒りは燃え、わたしは彼らを捨て、わたしの顔を隠す。民は焼き尽くされることになり、多くの災いと苦難に襲われる。その日民は、『これらの災いに襲われるのは、わたしのうちに神がおられないからではないか』と言う。

 

31:18 わたしはそれでも、その日、必ずわたしの顔を隠す。彼らが他の神々に向かうことにより行ったすべての悪のゆえである。

 

31:19 あなたたちは今、次の歌を書き留め、イスラエルの人々に教え、それを彼らの口に置き、この歌をイスラエルの人々に対するわたしの証言としなさい。

 

31:20 わたしがその先祖に誓った乳と蜜の流れる土地に彼を導き入れるとき、彼は食べて満ち足り、肥え太り、他の神々に向かい、これに仕え、わたしを侮ってわたしの契約を破るであろう。

 

31:21 そして多くの災いと苦難に襲われるとき、この歌は、その子孫が忘れずに唱え続けることにより、民に対する証言となるであろう。わたしは、わたしが誓った土地へ彼らを導き入れる前から、既に彼らが今日、思い図っていることを知っていたのである。」

 

  31:22 モーセは、その日、この歌を書き記してイスラエルの人々に教えた。

 

  31:23 主はヌンの子ヨシュアに命じて言われた。「強く、また雄々しくあれ。あなたこそ、わたしが彼らに誓った土地にイスラエルの人々を導き入れる者である。わたしはいつもあなたと共にいる。」

 

  31:24 モーセは、この律法の言葉を余すところなく書物に書き終えると、

 

31:25 主の契約の箱を担ぐレビ人に命じた。

 

31:26 「この律法の書を取り、あなたたちの神、主の契約の箱の傍らに置き、あなたに対する証言としてそこにあるようにしなさい。

 

31:27 わたしはあなたがかたくなで背く者であることを知っている。わたしが今日、まだ共に生きているときでさえ、あなたたちは主に背いている。わたしが死んだ後は、なおさらであろう。

 

31:28 あなたたちの部族の長老と役人をすべてわたしのもとに集めなさい。わたしはこれらの言葉を彼らに語り聞かせ、天と地を彼らに対する証人とする。

 

31:29 わたしには分かっている。わたしの死んだ後、あなたたちは必ず堕落して、わたしの命じた道からそれる。そして後の日に、災いがあなたたちにふりかかる。あなたたちが主が悪と見なされることを行い、その手の業によって主を怒らせるからである。」

 

 

モーセの歌

  

 

  31:30 モーセは、イスラエルの全会衆にこの歌の言葉を余すところなく語り聞かせた。

32章

 

 

   32:1 天よ、耳を傾けよ、わたしは語ろう。地よ、聞け、わたしの語る言葉を。

 

  32:2 わたしの教えは雨のように降り注ぎ/わたしの言葉は露のように滴る。若草の上に降る小雨のように/青草の上に降り注ぐ夕立のように。

 

 

  32:3 わたしは主の御名を唱える。御力をわたしたちの神に帰せよ。

 

  32:4 主は岩、その御業は完全で/その道はことごとく正しい。真実の神で偽りなく/正しくてまっすぐな方。

 

  32:5 不正を好む曲がった世代はしかし、神を離れ/その傷ゆえに、もはや神の子らではない。

 

  32:6 愚かで知恵のない民よ/これが主に向かって報いることか。彼は造り主なる父/あなたを造り、堅く立てられた方。

 

  32:7 遠い昔の日々を思い起こし/代々の年を顧みよ。あなたの父に問えば、告げてくれるだろう。長老に尋ねれば、話してくれるだろう。

 

 32:8 いと高き神が国々に嗣業の土地を分け/人の子らを割りふられたとき/神の子らの数に従い/国々の境を設けられた。

 

 32:9 主に割り当てられたのはその民/ヤコブが主に定められた嗣業。

 

 32:10 主は荒れ野で彼を見いだし/獣のほえる不毛の地でこれを見つけ/これを囲い、いたわり/御自分のひとみのように守られた。

 

 32:11 鷲が巣を揺り動かし/雛の上を飛びかけり/羽を広げて捕らえ/翼に乗せて運ぶように

 

 32:12 ただ主のみ、その民を導き/外国の神は彼と共にいなかった。

 

 32:13 主はこれを丘陵の地に導き上り/野の作物で養い/岩から野蜜を/硬い岩から油を得させられた。

 

 32:14 彼らは、牛の凝乳、羊の乳/雄羊の脂身/バシャンの雄牛と雄山羊/極上の小麦を与えられ/深紅のぶどう酒、泡立つ酒を飲んだ。

 

 32:15 エシュルンはしかし、肥えると足でけった。お前は肥え太ると、かたくなになり/造り主なる神を捨て、救いの岩を侮った。

 

 32:16 彼らは他の神々に心を寄せ/主にねたみを起こさせ/いとうべきことを行って、主を怒らせた。

 

 32:17 彼らは神ならぬ悪霊に犠牲をささげ/新しく現れ、先祖も知らなかった/無縁の神々に犠牲をささげた。

 

  32:18 お前は自分を産み出した岩を思わず/産みの苦しみをされた神を忘れた。

 

 

  32:19 主はこれを見て/御自分の息子、娘への憤りのゆえに/彼らを退けて、

 

 32:20 言われた。わたしは、わたしの顔を隠して/彼らの行く末を見届けよう。彼らは逆らう世代/真実のない子らだ。

 

 32:21 彼らは神ならぬものをもって/わたしのねたみを引き起こし/むなしいものをもって/わたしの怒りを燃えたたせた。それゆえ、わたしは民ならぬ者をもって/彼らのねたみを引き起こし/愚かな国をもって/彼らの怒りを燃えたたせる。

 

 32:22 わが怒りの火は燃え上がり/陰府の底にまで及び/地とその実りをなめ尽くし/山々の基を焼き払う。

 

 32:23 わたしは、彼らに災いを加え/わたしの矢を彼らに向かって射尽くすであろう。

 

 32:24 彼らは飢えてやせ衰え/熱病と激しい病魔のために弱る。わたしは野獣の牙を/地を這うものの猛毒と共に彼らに送る。

 

 32:25 外では剣が命を奪い/家には恐れがあって/若い男と女、乳飲み子と白髪の者を共に襲う。

 

 32:26 わたしは言ったであろう。「彼らを跡形もなくし/人々から彼らの記憶を消してしまおう」と。

 

 32:27 もし、敵が高ぶり、苦しめる者が誤解して/「我々の手が勝ちを得た/これを成し遂げたのは主ではない」と言うのを/わたしが恐れなかったならば。

 

 

  32:28 彼らは思慮に欠けた国民/彼らには洞察する力がない。

 

  32:29 もし、彼らに知恵があれば、悟ったであろうに。自分の行く末も分かったであろうに。

 

 32:30 もし、岩なる神が彼らを売らず/主が渡されなかったなら/どうして一人で千人を追い/二人で万人を破りえたであろうか。

 

 32:31 しかし、彼らの岩は我々の岩に及ばない。我々の敵もそのことは認めている。

 

 32:32 彼らのぶどうの木は、ソドムのぶどうの木で/ゴモラの畑で育ったもの。そのぶどうは毒ぶどう/その房は苦い。

 

 32:33 そのぶどう酒は、蛇の毒/コブラの猛毒。

 

 32:34 これは、わたしのもとに蓄えてあり/わたしの倉に封じ込めてあるではないか。

 

 32:35 わたしが報復し、報いをする/彼らの足がよろめく時まで。彼らの災いの日は近い。彼らの終わりは速やかに来る。

 

 

  32:36 主は御自分の民の裁きを行い/僕らを力づけられる。主が見られるからである/彼らの力がうせ去り/未成年者も成人した者もいなくなったのを。

 

 32:37 主は言われる。「どこにいるのか、彼らの神々は。どこにあるのか、彼らが身を寄せる岩は。

 

 32:38 彼らはいけにえの脂肪を食らい/注がれた酒を飲んだではないか。さあ、その神々に助けてもらえ/お前たちの避け所となってもらえ。

 

 32:39 しかし見よ、わたしこそ、わたしこそそれである。わたしのほかに神はない。わたしは殺し、また生かす。わたしは傷つけ、またいやす。わが手を逃れうる者は、一人もない。

 

 32:40 わたしは手を天に上げて誓う。『わたしの永遠の命にかけて

 

 32:41 きらめく剣を研ぎ、手に裁きを握るとき/わたしは苦しめる者に報復し/わたしを憎む者に報いる。

 

 32:42 わたしの矢を血に酔わせ/わたしの剣に肉を食らわせる。殺された者と捕らえられた者の血を飲ませ/髪を伸ばした敵の首領の肉を食らわせる。』」

 

 

  32:43 国々よ、主の民に喜びの声をあげよ。主はその僕らの血に報復し/苦しめる者に報復して、その民の土地を贖われる。

 

 32:44 モーセは、ヌンの子ホシェアと共に来て、この歌の言葉をすべて民に語り聞かせた。

 

 

モーセの最後の勧告

 

 

  32:45 モーセは全イスラエルにこれらの言葉をすべて語り終えてから、

 

  32:46 こう言った。「あなたたちは、今日わたしがあなたたちに対して証言するすべての言葉を心に留め、子供たちに命じて、この律法の言葉をすべて忠実に守らせなさい。

 

  32:47 それは、あなたたちにとって決してむなしい言葉ではなく、あなたたちの命である。この言葉によって、あなたたちはヨルダン川を渡って得る土地で長く生きることができる。」

 

 

 

 ネボ山に登れ

 

 

  32:48 その同じ日に、主はモーセに仰せになった。

 

  32:49 「エリコの向かいにあるモアブ領のアバリム山地のネボ山に登り、わたしがイスラエルの人々に所有地として与えるカナンの土地を見渡しなさい。

 

  32:50 あなたは登って行くその山で死に、先祖の列に加えられる。兄弟アロンがホル山で死に、先祖の列に加えられたように。

 

 32:51 あなたたちは、ツィンの荒れ野にあるカデシュのメリバの泉で、イスラエルの人々の中でわたしに背き、イスラエルの人々の間でわたしの聖なることを示さなかったからである。

 

 

 32:52 あなたはそれゆえ、わたしがイスラエルの人々に与える土地をはるかに望み見るが、そこに入ることはできない。」

33章

 

 

モーセの祝福

 

 

  33:1 これは神の人モーセが生涯を終えるに先立って、イスラエルの人々に与えた祝福の言葉である。

 

  33:2 主はシナイより来り/セイルから人々の上に輝き昇り/パランの山から顕現される。主は千よろずの聖なる者を従えて来られる。その右の手には燃える炎がある。

 

 

  33:3 あなたは民らを慈しみ/すべての聖なる者をあなたの御手におかれる。彼らはあなたの足もとにひれ伏し/あなたの御告げを受ける。

 

  33:4 モーセは我らに教えを授け/ヤコブの会衆の受け継ぐべきものとした。

 

  33:5 民の長たちがイスラエルの諸族と共に集うとき/主はエシュルンの王として臨まれる。

 

  33:6 ルベンを生かし、滅ぼさないでください。たとえその数が少なくなるとしても。

 

 

  33:7 この言葉を彼はユダのために言った。主よ、ユダの声に耳を傾け/その民のもとに彼を来させてください。御手をもって彼のために戦い/苦しめる者からの助けとなってください。

 

 

  33:8 レビのために彼は言った。あなたのトンミムとウリムを/あなたの慈しみに生きる者に授けてください。あなたがマサで試し、メリバの泉で争ったとき

 

  33:9 彼は自分の父母について/「わたしは彼らを顧みない」と言い/兄弟を認めず、自分の子さえ無視し/あなたの仰せに従い、契約を守ったからです。

 

  33:10 彼らはあなたの裁きをヤコブに/あなたの教えをイスラエルに示し/御前に香をたき/祭壇に完全に焼き尽くす献げ物をささげます。

 

  33:11 主よ、彼の力を祝福し/その手の業を受け入れてください。彼に立ち向かう者の腰を打ち砕き/彼を憎む者が再び立てぬようにしてください。

 

 

  33:12 ベニヤミンのために彼は言った。主に愛される者はその傍らに安んじて住み/終日、神に身を寄せて/その御守りのもとに住まう。

 

 

  33:13 ヨセフのために彼は言った。主の祝福がその土地にあるように。天からは露の賜物/下は横たわる淵の賜物

 

  33:14 太陽がはぐくむ賜物/月ごとに生み出される賜物

 

  33:15 いにしえの山々のもたらす最上の物/とこしえの丘の賜物

 

  33:16 地とそれに満ちるものの賜物/柴の中に住まわれる方の慈しみ。それらすべての恵みがヨセフの頭に/兄弟たちから選ばれた者の頭に臨むように。

 

  33:17 彼は威光に満ちた雄牛の初子/彼の角は野牛の角。彼は諸国の民を角で突き倒し/地の果てにまで進み行く。見よ、エフライムの幾万の軍勢を。見よ、マナセの幾千の軍勢を。

 

 

  33:18 ゼブルンのために彼は言った。喜べ、ゼブルンよ、海に漕ぎ出すときに。喜べ、イサカルよ、あなたの天幕の中で。

 

  33:19 彼らは諸国の民を山に招き/そこで正しいいけにえをささげる。彼らは海の富、砂に隠れた宝を手に入れる。

 

 

  33:20 ガドのために彼は言った。たたえよ、ガドの土地を広げられる方を。ガドは雌獅子のように待ち伏せ/獲物の腕や頭を引き裂く。

 

  33:21 彼は自分のために最上のものを選び出した。指揮者の取り分がそこにあったからだ。民の長たちは相集い/主は恵みの御業を行い/イスラエルのために裁きを行われた。

 

 

  33:22 ダンのために彼は言った。ダンは獅子の子/バシャンの野から躍り出る。

 

 

  33:23 ナフタリのために彼は言った。ナフタリは主の恵みに満ち足り/その祝福に満たされ/湖とその南を手に入れる。

 

 

  33:24 アシェルのため彼は言った。アシェルは子らのうちで最も祝福される。兄弟に愛され、その足を油に浸す。

 

  33:25 あなたのかんぬきは鉄と青銅。あなたの力はとこしえに続く。

 

 

  33:26 エシュルンの神のような方はほかにはない。あなたを助けるために天を駆け/力に満ちて雲に乗られる。

 

  33:27 いにしえの神は難を避ける場所/とこしえの御腕がそれを支える。神はあなたの前から敵を追い散らし/「滅ぼし尽くせ」と言われた。

 

  33:28 イスラエルは安らかに住み/ヤコブの泉のみが絶えない/穀物と新しい酒に富み/天が露を滴らす土地に。

 

 

  33:29 イスラエルよ、あなたはいかに幸いなことか。あなたのように主に救われた民があろうか。主はあなたを助ける盾/剣が襲うときのあなたの力。敵はあなたに屈し/あなたは彼らの背を踏みつける。

34章

 

 

モーセの死

 

  34:1 モーセはモアブの平野からネボ山、すなわちエリコの向かいにあるピスガの山頂に登った。主はモーセに、すべての土地が見渡せるようにされた。ギレアドからダンまで、

 

 34:2 ナフタリの全土、エフライムとマナセの領土、西の海に至るユダの全土、

 

 34:3 ネゲブおよびなつめやしの茂る町エリコの谷からツォアルまでである。

 

 34:4 主はモーセに言われた。「これがあなたの子孫に与えるとわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓った土地である。わたしはあなたがそれを自分の目で見るようにした。あなたはしかし、そこに渡って行くことはできない。」

 

  34:5 主の僕モーセは、主の命令によってモアブの地で死んだ。

 

 34:6 主は、モーセをベト・ペオルの近くのモアブの地にある谷に葬られたが、今日に至るまで、だれも彼が葬られた場所を知らない。

 

 34:7 モーセは死んだとき百二十歳であったが、目はかすまず、活力もうせてはいなかった。

 

 34:8 イスラエルの人々はモアブの平野で三十日の間、モーセを悼んで泣き、モーセのために喪に服して、その期間は終わった。

 

  34:9 ヌンの子ヨシュアは知恵の霊に満ちていた。モーセが彼の上に手を置いたからである。イスラエルの人々は彼に聞き従い、主がモーセに命じられたとおり行った。

 

  34:10 イスラエルには、再びモーセのような預言者は現れなかった。主が顔と顔を合わせて彼を選び出されたのは、

 

 34:11 彼をエジプトの国に遣わして、ファラオとそのすべての家臣および全土に対してあらゆるしるしと奇跡を行わせるためであり、

 

 

 34:12 また、モーセが全イスラエルの目の前で、あらゆる力ある業とあらゆる大いなる恐るべき出来事を示すためであった。