『賢く生きよう』

 

 ーユダヤ人の知恵に学ぶー

 

 日本聖書協会新共同訳旧約聖書

 

 雅歌

 

8章

 

 8:1 あなたが、わたしの母の乳房を吸った/本当の兄だと思う人なら/わたしをとがめたりはしないでしょう/外であなたにお会いして/くちづけするわたしを見ても。

 

 8:2 わたしを育ててくれた母の家に/あなたをお連れして/香り高いぶどう酒を/ざくろの飲み物を差し上げます。

 

 8:3 あの人が左の腕をわたしの頭の下に伸べ/右の腕でわたしを抱いてくださればよいのに。

 

 8:4 エルサレムのおとめたちよ、誓ってください/愛がそれを望むまでは/愛を呼びさまさないと。

 

 ◆合唱

 

 8:5 荒れ野から上って来るおとめは誰か/恋人の腕に寄りかかって。

 

 ◆おとめの歌

 

 8:5 りんごの木の下で/わたしはあなたを呼びさましましょう。あなたの母もここであなたをみごもりました。あなたを産んだ方も/ここであなたをみごもりました。

 

 8:6 わたしを刻みつけてください/あなたの心に、印章として/あなたの腕に、印章として。

 

 ◆合唱

 

 8:6 愛は死のように強く/熱情は陰府のように酷い。火花を散らして燃える炎。

 

 8:7 大水も愛を消すことはできない/洪水もそれを押し流すことはできない。愛を支配しようと/財宝などを差し出す人があれば/その人は必ずさげすまれる。

 

 ◆合唱

 

 8:8 わたしたちの妹は幼くて、乳房はまだない。この妹が求愛されたら、どうすればよいのか。

 

 8:9 この子が城壁ならば、その上に銀の柵をめぐらし/この子が扉ならば/レバノン杉の板で覆うことにしよう。

 

 ◆おとめの歌

 

 8:10 わたしは城壁、わたしの乳房は二つの塔。あの人の目には、もう/満足を与えるものと見えています。

 

 ◆合唱

 

 8:11 ソロモンはぶどう畑を/バアル・ハモンに持っていて/ぶどうの世話を番人たちに任せました。番人たちはそれぞれの/ぶどうに代えて銀一千を納めます。

 

 8:12 「これがわたしのぶどう畑、ソロモン様。銀一千はあなたの取り分。銀二百は世話をした番人へ。」

 

 ◆若者の歌

 

 8:13 園に座っているおとめよ/友は皆、あなたの声に耳を傾けている。わたしにも聞かせておくれ。

 

 ◆おとめの歌

 

 

 8:14 恋しい人よ/急いでください、かもしかや子鹿のように/香り草の山々へ。

 

7章

 

◆合唱

 

 7:1 もう一度出ておいで、シュラムのおとめ/もう一度出ておいで、姿を見せておくれ。マハナイムの踊りをおどるシュラムのおとめに/なぜ、それほど見とれるのか。

 

 ◆若者の歌

 

 7:2 気高いおとめよ/サンダルをはいたあなたの足は美しい。ふっくらとしたももは/たくみの手に磨かれた彫り物。

 

 7:3 秘められたところは丸い杯/かぐわしい酒に満ちている。腹はゆりに囲まれた小麦の山。

 

 7:4 乳房は二匹の子鹿、双子のかもしか。

 

 7:5 首は象牙の塔。目はバト・ラビムの門の傍らにある/ヘシュボンの二つの池。鼻はレバノンの塔、ダマスコを見はるかす。

 

 7:6 高く起こした頭はカルメルの山。長い紫の髪、王はその房のとりこになった。

 

 7:7 喜びに満ちた愛よ/あなたはなんと美しく楽しいおとめか。

 

 7:8 あなたの立ち姿はなつめやし、乳房はその実の房。

 

 7:9 なつめやしの木に登り/甘い実の房をつかんでみたい。わたしの願いは/ぶどうの房のようなあなたの乳房/りんごの香りのようなあなたの息

 

 7:10 うまいぶどう酒のようなあなたの口。

 

 ◆おとめの歌

 

 7:10 それはわたしの恋しい人へ滑らかに流れ/眠っているあの人の唇に滴ります。

 

 7:11 わたしは恋しい人のもの/あの人はわたしを求めている。

 

 7:12 恋しい人よ、来てください。野に出ましょう/コフェルの花房のもとで夜を過ごしましょう。

 

 7:13 朝になったらぶどう畑に急ぎ/見ましょう、ぶどうの花は咲いたか、花盛りか/ざくろのつぼみも開いたか。それから、あなたにわたしの愛をささげます。

 

 

 7:14 恋なすは香り/そのみごとな実が戸口に並んでいます。新しい実も、古い実も/恋しい人よ、あなたのために取っておきました。

 

6章

 

◆おとめたちの歌 

 

 6:1 あなたの恋人はどこに行ってしまったの。だれにもまして美しいおとめよ/あなたの恋人はどこに行ってしまったの。一緒に探してあげましょう。

 

 ◆おとめの歌

 

 6:2 わたしの恋しい人は園に/香り草の花床に下りて行きました。園で群れを飼い、ゆりの花を手折っています。

 

 6:3 恋しいあの人はわたしのもの/わたしは恋しいあの人のもの/ゆりの中で群れを飼っているあの人のもの。

 

 ◆若者の歌

 

 6:4 恋人よ、あなたはティルツァのように美しく/エルサレムのように麗しく/旗を掲げた軍勢のように恐ろしい。

 

 6:5 わたしを混乱させるその目を/わたしからそらせておくれ。あなたの髪はギレアドを駆け下る山羊の群れ。

 

 6:6 歯は雌羊の群れ。毛を刈られ/洗い場から上って来る雌羊の群れ。対になってそろい、連れあいを失ったものはない。

 

 6:7 ベールの陰のこめかみはざくろの花。

 

 6:8 王妃が六十人、側女が八十人/若い娘の数は知れないが

 

 6:9 わたしの鳩、清らかなおとめはひとり。その母のただひとりの娘/産みの親のかけがえのない娘。彼女を見ておとめたちは祝福し/王妃も側女も彼女をたたえる。

 

 ◆合唱

 

 6:10 曙のように姿を現すおとめは誰か。満月のように美しく、太陽のように輝き/旗を掲げた軍勢のように恐ろしい。

 

 ◆おとめの歌

 

 6:11 わたしはくるみの園に下りて行きました。流れのほとりの緑の茂みに/ぶどうの花は咲いたか/ざくろのつぼみは開いたか、見ようとして。

 

 

 6:12 知らぬ間にわたしは/アミナディブの車に乗せられていました。

 

5章

 

◆若者の歌

 

 5:1 わたしの妹、花嫁よ、わたしの園にわたしは来た。香り草やミルラを摘み/蜜の滴るわたしの蜂の巣を吸い/わたしのぶどう酒と乳を飲もう。友よ食べよ、友よ飲め。愛する者よ、愛に酔え。

 

 ◆おとめの歌

 

 5:2 眠っていても/わたしの心は目覚めていました。恋しい人の声がする、戸をたたいています。「わたしの妹、恋人よ、開けておくれ。わたしの鳩、清らかなおとめよ。わたしの頭は露に/髪は夜の露にぬれてしまった。」

 

 5:3 衣を脱いでしまったのに/どうしてまた着られましょう。足を洗ってしまったのに/どうしてまた汚せましょう。

 

 5:4 恋しい人は透き間から手を差し伸べ/わたしの胸は高鳴りました。

 

 5:5 恋しい人に戸を開こうと起き上がりました。わたしの両手はミルラを滴らせ/ミルラの滴は指から取っ手にこぼれ落ちました。

 

 5:6 戸を開いたときには、恋しい人は去った後でした。恋しい人の言葉を追って/わたしの魂は出て行きます。求めても、あの人は見つかりません。呼び求めても、答えてくれません。

 

 5:7 街をめぐる夜警にわたしは見つかり/打たれて傷を負いました。城壁の見張りは、わたしの衣をはぎ取りました。

 

 5:8 エルサレムのおとめたちよ、誓ってください/もしわたしの恋しい人を見かけたら/わたしが恋の病にかかっていることを/その人に伝えると。

 

 ◆おとめたちの歌

 

 5:9 あなたの恋人はどんなにいいひと/だれにもまして美しいおとめよ。あなたの恋人はどんなにいいひと/こんな誓いをさせるとは。

 

 ◆おとめの歌

 

 5:10 わたしの恋しい人は/赤銅色に輝き、ひときわ目立つ。

 

 5:11 頭は金、純金で/髪はふさふさと、烏の羽のように黒い。

 

 5:12 目は水のほとりの鳩/乳で身を洗い、形よく座っている。

 

 5:13 頬は香り草の花床、かぐわしく茂っている。唇はゆりの花、ミルラのしずくを滴らせる。

 

 5:14 手はタルシシュの珠玉をはめた金の円筒/胸はサファイアをちりばめた象牙の板

 

 5:15 脚は純金の台に据えられた大理石の柱。姿はレバノンの山、レバノン杉のような若者。

 

 

 5:16 その口は甘美、なにもかもわたしを魅惑する。エルサレムのおとめたちよ/これがわたしの恋する人、これがわたしの慕う人。

 

4章

 

◆若者の歌

 

 4:1 恋人よ、あなたは美しい。あなたは美しく、その目は鳩のよう/ベールの奥にひそんでいる。髪はギレアドの山を駆け下る山羊の群れ。

 

 4:2 歯は雌羊の群れ。毛を刈られ/洗い場から上って来る雌羊の群れ。対になってそろい、連れあいを失ったものはない。

 

 4:3 唇は紅の糸。言葉がこぼれるときにはとりわけ愛らしい。ベールの陰のこめかみはざくろの花。

 

 4:4 首はみごとに積み上げられたダビデの塔。千の盾、勇士の小盾が掛けられている。

 

 4:5 乳房は二匹の小鹿。ゆりに囲まれ草をはむ双子のかもしか。

 

 4:6 夕べの風が騒ぎ、影が闇にまぎれる前に/ミルラの山に登ろう、乳香の丘にわたしは登ろう。

 

 4:7 恋人よ、あなたはなにもかも美しく/傷はひとつもない。

 

 4:8 花嫁よ、レバノンからおいで/おいで、レバノンから出ておいで。アマナの頂から、セニル、ヘルモンの頂から/獅子の隠れが、豹の住む山から下りておいで。

 

 4:9 わたしの妹、花嫁よ/あなたはわたしの心をときめかす。あなたのひと目も、首飾りのひとつの玉も/それだけで、わたしの心をときめかす。

 

 4:10 わたしの妹、花嫁よ、あなたの愛は美しく/ぶどう酒よりもあなたの愛は快い。あなたの香油は/どんな香り草よりもかぐわしい。

 

 4:11 花嫁よ、あなたの唇は蜜を滴らせ/舌には蜂蜜と乳がひそむ。あなたの衣はレバノンの香り。

 

 4:12 わたしの妹、花嫁は、閉ざされた園。閉ざされた園、封じられた泉。

 

 4:13 ほとりには、みごとな実を結ぶざくろの森/ナルドやコフェルの花房

 

 4:14 ナルドやサフラン、菖蒲やシナモン/乳香の木、ミルラやアロエ/さまざまな、すばらしい香り草。 

 

 4:15 園の泉は命の水を汲むところ/レバノンの山から流れて来る水を。

 

 ◆おとめの歌

 

 4:16 北風よ、目覚めよ。南風よ、吹け。わたしの園を吹き抜けて/香りを振りまいておくれ。恋しい人がこの園をわがものとして/このみごとな実を食べてくださるように。

 

 

 

 

3章

 

 3:1 夜ごと、ふしどに恋い慕う人を求めても/求めても、見つかりません。

 

 3:2 起き出して町をめぐり/通りや広場をめぐって/恋い慕う人を求めよう。求めても、あの人は見つかりません。

 

 3:3 わたしが町をめぐる夜警に見つかりました。「わたしの恋い慕う人を見かけましたか。」

 

 3:4 彼らに別れるとすぐに/恋い慕う人が見つかりました。つかまえました、もう離しません。母の家に/わたしを産んだ母の部屋にお連れします。

 

 3:5 エルサレムのおとめたちよ/野のかもしか、雌鹿にかけて誓ってください/愛がそれを望むまでは/愛を呼びさまさないと。

 

 ◆合唱

 

 3:6 荒れ野から上って来るおとめは誰か。煙の柱が近づいて来るかのよう。それは隊商のもたらすさまざまな香料/ミルラや乳香をたく煙。

 

 ◆合唱

 

 3:7 見よ、ソロモンの輿を。輿をになう六十人の勇士、イスラエルの精鋭。

 

 3:8 すべて、剣に秀でた戦士。夜襲に備えて、腰に剣。

 

 3:9 -10ソロモン王は天蓋を造らせた。レバノン杉を柱とし、銀の台座に金の玉座/エルサレムのおとめたちが愛をこめて/紫の布を張りめぐらした。

 

 

 3:11 いでよ、シオンのおとめたちよ/ソロモン王を仰ぎ見よ。その冠を見よ/王の婚礼の日に、喜びの日に/母君がいただかせた冠を。

 

2章

 

 2:1 わたしはシャロンのばら、野のゆり。

 

 ◆若者の歌

 

 2:2 おとめたちの中にいるわたしの恋人は/茨の中に咲きいでたゆりの花。

 

 ◆おとめの歌

 

 2:3 若者たちの中にいるわたしの恋しい人は/森の中に立つりんごの木。わたしはその木陰を慕って座り/甘い実を口にふくみました。

 

 2:4 その人はわたしを宴の家に伴い/わたしの上に愛の旗を掲げてくれました。

 

 2:5 ぶどうのお菓子でわたしを養い/りんごで力づけてください。わたしは恋に病んでいますから。

 

 2:6 あの人が左の腕をわたしの頭の下に伸べ/右の腕でわたしを抱いてくださればよいのに。

 

 2:7 エルサレムのおとめたちよ/野のかもしか、雌鹿にかけて誓ってください/愛がそれを望むまでは/愛を呼びさまさないと。

 

 2:8 恋しい人の声が聞こえます。山を越え、丘を跳んでやって来ます。

 

 2:9 恋しい人はかもしかのよう/若い雄鹿のようです。ごらんなさい、もう家の外に立って/窓からうかがい/格子の外からのぞいています。

 

 2:10 恋しい人は言います。「恋人よ、美しいひとよ/さあ、立って出ておいで。

 

 2:11 ごらん、冬は去り、雨の季節は終った。

 

 2:12 花は地に咲きいで、小鳥の歌うときが来た。この里にも山鳩の声が聞こえる。

 

 2:13 いちじくの実は熟し、ぶどうの花は香る。恋人よ、美しいひとよ/さあ、立って出ておいで。

 

 2:14 岩の裂け目、崖の穴にひそむわたしの鳩よ/姿を見せ、声を聞かせておくれ。お前の声は快く、お前の姿は愛らしい。」

 

 2:15 狐たちをつかまえてください/ぶどう畑を荒らす小狐を。わたしたちのぶどう畑は花盛りですから。

 

 2:16 恋しいあの人はわたしのもの/わたしはあの人のもの/ゆりの中で群れを飼っている人のもの。

 

 

 2:17 夕べの風が騒ぎ、影が闇にまぎれる前に/恋しい人よ、どうか/かもしかのように、若い雄鹿のように/深い山へ帰って来てください。

 

1章

 

 1:1 ソロモンの雅歌。

 

  1:2 どうかあの方が、その口のくちづけをもって/わたしにくちづけしてくださるように。

 

 ◆おとめの歌

 

  1:2 ぶどう酒にもましてあなたの愛は快く

 

 1:3 あなたの香油、流れるその香油のように/あなたの名はかぐわしい。おとめたちはあなたを慕っています。

 

 1:4 お誘いください、わたしを。急ぎましょう、王様/わたしをお部屋に伴ってください。

 

 ◆おとめたちの歌

 

 1:4 わたしたちもあなたと共に喜び祝います。ぶどう酒にもまさるあなたの愛をたたえます。人は皆、ひたすらあなたをお慕いします。

 

 ◆おとめの歌

 

 1:5 エルサレムのおとめたちよ/わたしは黒いけれども愛らしい。ケダルの天幕、ソロモンの幕屋のように。

 

 1:6 どうぞ、そんなに見ないでください/日焼けして黒くなったわたしを。兄弟たちに叱られて/ぶどう畑の見張りをさせられたのです。自分の畑は見張りもできないで。

 

 1:7 教えてください、わたしの恋い慕う人/あなたはどこで群れを飼い/真昼には、どこで群れを憩わせるのでしょう。牧童たちが飼う群れのそばで/顔を覆って待たなくてもすむように。

 

 ◆おとめたちの歌

 

 1:8 だれにもまして美しいおとめよ/どこかわからないのなら/群れの足跡をたどって羊飼いの小屋に行き/そこであなたの子山羊に草をはませていなさい。

 

 ◆若者の歌

 

 1:9 恋人よ、あなたをたとえよう/ファラオの車をひく馬に。

 

 1:10 房飾りのゆれる頬も/玉飾りをかけた首も愛らしい。

 

 1:11 あなたに作ってあげよう/銀を散らした金の飾りを。

 

 ◆おとめの歌

 

 1:12 王様を宴の座にいざなうほど/わたしのナルドは香りました。

 

 1:13 恋しい方はミルラの匂い袋/わたしの乳房のあいだで夜を過ごします。

 

 1:14 恋しい方は香り高いコフェルの花房/エン・ゲディのぶどう畑に咲いています。

 

 ◆若者の歌

 

 1:15 恋人よ、あなたは美しい。あなたは美しく、その目は鳩のよう。

 

 ◆おとめの歌

 

 1:16 恋しい人、美しいのはあなた/わたしの喜び。わたしたちの寝床は緑の茂み。

 

 1:17 レバノン杉が家の梁、糸杉が垂木。