シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書51章)

 



シラの子イエススの祈り

 

 

51:1 王である主よ、わたしはあなたに感謝します。 わたしの救い主である神、あなたをほめたたえ、 あなたの御名に感謝をささげます。

 

51:2 あなたは、わたしの守り手、助け手となり、 わたしの体を滅びから、 中傷の罠から、 偽りを行う者の唇から救い出してくださった。 あなたは、わたしの反対者の目の前で、 わたしの助け手となり、

 

51:3 あなたの豊かな慈しみと御名によって、 わたしを餌食にしようと仕掛けた罠から、 わたしの命をねらう者の手から、 わたしが耐えていた数多くの苦しみから、 救い出してくださった。

 

51:4 わたしを取り囲み、息を詰まらせるような炎から、 わたしがつけなかった火のただ中から、

 

51:5 陰府の奥底から、 汚れた舌と偽りの言葉から、

 

51:6 不義の舌が放つ矢から、救い出してくださった。 わたしの魂は死に近づき、 わたしの命は陰府の近くまで下りました。

 

51:7 わたしは四方から取り囲まれたが、 助けてくれる人はいませんでした。 人々の助けを求めたが、得られなかったのです。

 

51:8 主よ、わたしはあなたの慈しみと、 昔からのよき御業を思い出しました。 あなたは、あなたを待ち望む者を助け上げ、 悪人どもの手から救い出してくださいます。

 

51:9 わたしは地上から嘆願の声をあげ、 死からの救いを祈り求めました。

 

51:10 わたしは、わが主の父である 主を呼び求めました。 苦しみの日々に、高慢な者どもが力を振るうとき、 孤立無援なわたしを見捨てないでください。

 

51:11 わたしは絶え間なく御名を賛美します。 感謝をもって賛美の歌をうたいます。 わたしの祈りは聞き届けられたからです。

 

51:12 あなたはわたしを滅びから救い、 苦難の時に助け出してくださいました。 それゆえ、わたしはあなたに感謝をささげ、 あなたを賛美し、主の御名をほめたたえます。

 

 

知恵を追い求めて

 

 

51:13 わたしは、若くして放浪の旅に出る前に、 祈りの中で公然と知恵を求めた。

 

51:14 わたしは聖所の前で知恵を祈り求めた。 これからも最後まで知恵を求め続ける。

 

51:15 ぶどうの花が咲き、実が熟す時のように、 わたしの心は知恵を喜びとした。 わたしの足は正しく知恵の跡を踏み、 若いころからその跡をたどり続けた。

 

51:16 わたしはわずかに耳を傾けるだけで知恵を得、 多くの教訓を見いだした。

 

51:17 知恵によってわたしは向上した。 わたしは知恵を与えてくださる方をたたえる。

 

51:18 わたしは知恵の道を実践しようと心に決め、 善を求めた。それは裏切られることはない。

 

51:19 わたしの魂は熱心に知恵を求め、 細心の注意を払って律法を行った。 わたしは天に向かって両手を上げ、 知恵をまだ知らないことを嘆いた。

 

51:20 わたしは魂をひたすら知恵に向け、 身を清く保って、知恵を見いだした。 わたしは知恵とともに初めから理解する心を得た。 それゆえ、わたしは見捨てられることがない。

 

51:21 わたしは情熱を傾けて知恵を求め、 そのため、良き財産を得た。

 

51:22 主は報いとして滑らかな舌を与えてくださった。 わたしはそれを用いて主を賛美する。

 

51:23 わたしのそばに来なさい、無学な者たちよ、 学舎で時を過ごしなさい。

 

51:24 なぜ、いつまでもそのままの状態でいるのか。 お前たちの魂は激しく渇いているのに。

 

51:25 わたしは口を開いて語ってきた、 知恵を得るのに金はかからないと。

 

51:26 軛の下にお前の首を置き、 魂に教訓を教え込め。 知恵はすぐ身近にある。

 

51:27 目を開いて見よ。わずかな努力で、 わたしが多くの安らぎを見いだしたことを。

 

51:28 多くの銀を支払ってでも教訓を受けよ。 その教訓で多くの金が手に入る。

 

51:29 お前たちの魂が主の慈しみを喜びとし、 主を賛美することを恥じないように。

 

51:30 お前たちはなすべきことを、早めに果たしておけ。 主は、定められた時に報いてくださる。

 

 

 

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書50章)

 

 

大祭司シモン

 

 

50:1 オニアの子、大祭司シモンは、 生きている間に、主の家を修復し、 その存命中、聖所を補強した。

 

50:2 彼は聖所の中庭に高い石垣を、 神殿の境内に高い壁を築いた。

 

50:3 また、その存命中、貯水池を掘ったが、 その池は、あたかも海のように広かった。

 

50:4 彼は民が滅亡しないように心を砕き、 包囲攻撃に備えて、町を固めた。

 

50:5 聖所の前を歩むその姿、 主の家の垂れ幕を出て来る姿は、 なんと栄光に満ちていたことか。

 

50:6 彼は、雲間に輝く明けの明星、 祭りのときの満月、

 

50:7 いと高き方の聖所に輝く太陽、 きらめく雲に照り映える虹のようだ。

 

50:8 春先のバラの花、 泉のほとりの百合、 夏の日のレバノンの若草のようだ。

 

50:9 香炉にくべられた乳香、 金を打ち延べ、 あらゆる宝石をちりばめた器のようだ。

 

50:10 豊かに実るオリーブの木、 雲にそびえる糸杉のようだ。

 

50:11 彼が輝かしい衣をまとい、 華麗な衣装に身を包み、 聖なる祭壇に登ると、 聖所の境内は輝いた。

 

50:12 彼が祭司たちの手からいけにえを受け取り、 祭壇の炉の傍らに立つと、 その周りを兄弟たちが冠のように囲んだ。 それはあたかも、レバノンの若杉が、 しゅろの木に囲まれているようであった。

 

50:13 アロンの子らも皆、輝かしく装い、 主への供え物を両手に捧げ、 イスラエルの全会衆の前に立った。

 

50:14 シモンは祭壇での祭儀を終えると、 全能のいと高き方への供え物を調え、

 

50:15 杯に手を伸ばして、 ぶどうの汁をそこに注ぎ、 祭壇の台座に振りかけて、 万物の王、いと高き方への かぐわしい香りとした。

 

50:16 そのとき、アロンの子らは声をあげ、 銀のラッパを吹き鳴らし、 大音響をとどろかせて、 いと高き方が彼らを 思い出してくださるようにした。

 

50:17 そのとき、民は皆、 急いで地に顔を伏せ、 全能のいと高き神である 彼らの主を礼拝した。

 

50:18 合唱隊は声高く賛美の歌をうたい、 その響きはたぐいない、美しい調べとなった。

 

50:19 民はいと高き方である主に願い求め、 慈しみ深い方に祈りをささげた。 それは主への賛美が終わるまで続けられ、 こうして彼らは祭儀を終えた。

 

50:20 それから、シモンは降りて来て、 イスラエルの全会衆の上に両手を差し伸べ、 自らの唇をもって主の祝福を与え、 誇らかに主の御名を唱えた。

 

50:21 民は再びひれ伏し、 いと高き方の祝福を受けた。

 

 

勧めと祝福

 

 

50:22 さあ、万物の神をほめたたえよ。 神は至るところで大いなる業を行い、 母の胎にいる時からわたしたちを高め、 慈しみをもってわたしたちを恵まれるのだ。

 

50:23 神がわたしたちの心に喜びを与え、 わたしたちが生きている間、 平和がイスラエルにいつまでも続きますように。

 

50:24 わたしたちへの主の慈しみが確かなものとされ、 まだ生きている間にわたしたちを 主が救ってくださいますように。

 

 

忌み嫌われる国々

 

 

50:25 わたしの魂は二つの民を忌み嫌う。 三つ目は民とはいえない。

 

50:26 セイルの山地に住む者どもとペリシテ人、 そしてシケムに住む愚かな者どもである。

 

 

シラの子イエススの知恵

 

 

50:27 悟りと知識の教訓を この書物に書き記したのは、 シラ・エレアザルの子、 エルサレムに住むイエススである。 彼は知恵をその心から注ぎ出した。

 

50:28 この言葉に従って歩む者は幸いである。 これを心に留め置く者は知恵ある者となる。

 

50:29 これを行えば、すべてに対して力を得る。 主を畏れることこそ、 彼が歩んでいる道だからである。

 

〔主は信仰深い人々に知恵を与えられた。 主はとこしえにほめたたえられますように。 アーメン、アーメン。〕

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書49章)

 

 

ヨシア

 

 

49:1 ヨシヤの業績は、香料造りが丹念に 混ぜ合わせた香のようにかぐわしい。 それはだれの口にも蜜のように甘く、 酒の席での音楽のようだ。

 

49:2 彼は正しい道を歩んで民を悔い改めさせ、 忌まわしい不法な行いを根絶した。

 

49:3 彼は心をまっすぐに主に向け、 不法のはびこる時代にひたすら神を敬った。

 

 

ユダの最後の王たちとエレミヤ

 

 

49:4 ダビデとヒゼキヤとヨシヤを除き、 すべての王は罪に罪を重ねた。 彼らはいと高き方の律法を捨てたのだ。 こうしてユダの王室は絶えた。

 

49:5 彼らはその権力を他の人々に、 その栄光を異国の民に渡してしまった。

 

49:6 異国の民は聖所のある選ばれた町に火を放ち、 ちまたは荒れ廃れた。 エレミヤが預言したとおりである。

 

49:7 人々はエレミヤを虐げた。このエレミヤは、 抜き取り、苦しめ、滅ぼすために、 しかしまた、建て、植えるためにも、 母の胎にいるときから預言者として 聖別されていたのである。

 

49:8 エゼキエルは栄光の幻を見た。 神がケルビムの車輪の上で示されたものである。

 

49:9 神はまた敵を思い出し、激しい嵐を起こされた。 しかし正しい道を歩む者には恵みを与えられた。

 

 

十二預言者

 

 

49:10 十二人の預言者の骨が、 その墓から再び花を咲かせるように。 彼らはヤコブの民を慰め、 希望にあふれた信仰をもって救ったのだから。

 

 

ゼルバベルとイエシュア

 

 

49:11 ゼルバベルのすばらしさをどう言い表そうか。 彼は右手の指にはめた印章のようだ。

 

49:12 ヨツァダクの子イエシュアも同様である。 彼らはその存命中、主の家を建て、 主のために聖所を築いた。 永遠の栄光に備えるためであった。

 

 

ネヘミヤ

 

 

49:13 ネヘミヤの業績も偉大である。 彼は崩れた城壁を再び築き、 門やかんぬきを取り付け、 我々の家を建て直した。

 

 

エノク

 

 

49:14 この世に生を受けた者のうち だれ一人、エノクに並ぶ者はなかった。 彼は地上から天に移されたからだ。

 

 

ヨセフ

 

 

49:15 またヨセフほどの人物も出なかった。 彼は兄弟たちの導き手、 民のよりどころであった。 そして彼の遺骨は丁重に扱われた。

 

 

アダムとその子孫

 

 

49:16 セムとセトは人々の間であがめられた。 だが、アダムこそ、 造られたすべての生けるものの上に立つ者。

 

 

 

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書48章)

 

 

エリヤ

 

 

48:1 そして火のような預言者エリヤが登場した。 彼の言葉は松明のように燃えていた。

 

48:2 彼は人々に飢饉をもたらし、 その熱意をもって人々の数を減らした。

 

48:3 彼は主の言葉によって天を閉ざし、 三度、火を降らせた。

 

48:4 エリヤよ、あなたはその驚くべき業のゆえに、 どれほどほめたたえられたことだろうか。 あなたと等しく誇りうる者があろうか。

 

48:5 あなたはいと高き方の言葉によって 死者を死から、陰府から立ち上がらせた。

 

48:6 あなたは王たちを破滅に導き、 名士たちを安眠の床から引きずり降ろした。

 

48:7 あなたはシナイ山で非難の言葉を聞き、 また、ホレブの山で裁きの宣告を聞いて、

 

48:8 王たちに油を注いで報復させ、 預言者たちに油を注いで後継者とした。

 

48:9 あなたは火の旋風に包まれ、 火の馬の引く車に乗せられ天に上げられた。

 

48:10 あなたは、書き記されているとおり、 定められた時に備える者。 神の怒りが激しくなる前に、これを静め、 父の心を子に向けさせ、 ヤコブの諸部族を立て直す者。

 

48:11 あなたを見る者、 また、愛のうちに眠りについた者は幸いである。 確かに、わたしたちも生きるであろう。

 

 

エリシャ

 

 

48:12 エリヤが旋風の中に姿を隠したとき、 エリシャはエリヤの霊に満たされた。 彼は生涯、どんな支配者にも動ずることなく、 だれからも力で抑えつけられることはなかった。

 

48:13 彼にとって手に余ることは何もなく、 死後もその体は預言の力を失わなかった。

 

48:14 彼は生きている間、不思議な業を行い、 死後もなお驚くべき業を行った。

 

48:15 これらすべてにもかかわらず、民は悔い改めず、 罪から離れることはなかった。 彼らはついに祖国から連れ去られ、 地の至るところに散らされた。 後に残されたのは、少数の民と ダビデの家の支配者だけであった。

 

48:16 中には、神の御旨を行う者もいたが、 罪に罪を重ねた者もいた。

 

 

ヒゼキヤとイザヤ

 

 

48:17 ヒゼキヤはエルサレムの町を強固にし、 町の中へ水を引いた。 鉄の道具で切り立った岩をくりぬき、 用水池を造った。

 

48:18 彼の治世中センナケリブが攻め上り、 ラプサケを遣わした。この男は出かけて行って、 シオンに向かって手を振り上げ、 おごり高ぶって暴言を吐いた。

 

48:19 町の人々は心も手も震えおののき、 女が子を産むときのように、苦しんだ。

 

48:20 人々は主に向かって両手を広げ、 憐れみの主に呼び求めた。 聖なる方は天から直ちにその願いを聞き入れ、 イザヤの手によって彼らを救い出された。

 

48:21 こうして主はアッシリアの陣を打ち破り、 主の御使いは彼らをことごとく滅ぼした。

 

48:22 ヒゼキヤは主の御旨を行い、 先祖ダビデの道を堅く守った。 それは預言者イザヤが命じた道であった。 イザヤは偉大で、受けた啓示に忠実であった。

 

48:23 太陽が後戻りして王の寿命が延ばされたのは、 イザヤの時代であった。

 

48:24 イザヤは大いなる霊によって終末の時を見つめ、 嘆き悲しむシオンの人々を励ました。

 

48:25 彼は永遠に及ぶ未来の事、 隠された事を、それが起こる前に示した。

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書47章)

 

 

ナタン

 

 

47:1 サムエルに続いてナタンが登場し、 ダビデが治めていた時期に預言した。

 

ダビデ

 

 

47:2 和解の献げ物から脂肪が取り分けられるように、 ダビデもイスラエルの子らから選び分けられた。

 

47:3 彼は子山羊と戯れるように、獅子と戯れ、 小羊と戯れるように、熊と戯れた。

 

47:4 彼は若いとき、巨人を打ち倒して 民の恥を取り除き、 石投げを持った手を上げて、 ゴリアトの高慢を粉砕したのではなかったか。

 

47:5 彼はいと高き主に祈り求めて、 その右手に力を与えられ、 あの力ある戦士を倒し、 自分の民の勢力を高めることができたのだ。

 

47:6 こうして、数万の敵を倒したと言って 人々は彼を称賛し、 主を賛美しつつ彼をほめたたえ、 栄光の冠を彼に与えた。

 

47:7 彼は取り囲む敵を打ち滅ぼし、 刃向かうペリシテ人を完膚なきまでに倒した。 彼らの勢力は今日まで衰えたままである。

 

47:8 彼はいかなる業をなしたときも、 聖なるいと高き方を栄えある言葉で称賛し、 心を尽くして賛美の歌をうたい、 自分の創造主を愛した。

 

47:9 彼は祭壇の前に歌い手たちを立たせ、 美しい声で歌をうたわせた。 こうして彼らは毎日賛美の歌を うたうことになった。

 

47:10 彼は祭りを荘厳なものにし、 祭りの手順を完璧に整え、 人々に主の聖なる御名をたたえさせて、 暁とともに美しい声を聖所に響かせた。

 

47:11 主は彼のもろもろの罪を赦し、 その勢力を永遠に続くものとして高め、 彼に王国の契約と イスラエルにおける栄光の座を与えられた。

 

 

ソロモン

 

 

47:12 ダビデに続き、聡明な彼の息子が跡を継いだ。 ダビデのゆえに彼は平穏無事に暮らした。

 

47:13 ソロモンの治世は平和そのものであった。 神が彼のために四方の勢力を抑えられ、 ソロモンは主の名のために家を建てて、 永遠の聖所を備えた。

 

47:14 ソロモンよ、あなたは若いころ、なんと知恵に満ち、 大河のように洞察に富んでいたことか。

 

47:15 地はあなたの精神で覆われ、 あなたはなぞに富むたとえで地を満たした。

 

47:16 あなたの名声は遠い島々にまで達し、 平和のゆえにあなたは愛された。

 

47:17 あなたの歌、格言、たとえのゆえに、 あなたが与えた解釈のゆえに世界は驚嘆した。

 

47:18 神なる主の御名によって、 イスラエルの神と呼ばれる方によって、 あなたはあたかも錫のように金を集め、 あたかも鉛のように銀を増やした。

 

47:19 しかし、あなたは女たちの傍らに身を横たえ、 肉欲のとりこになった。

 

47:20 あなたは自分の栄誉に恥を塗り、 子孫を汚した。 そのため、子らの上に神の怒りを招き、 あなたの愚かさのゆえに彼らに苦しみを負わせた。

 

47:21 国は二つに分かれ、 エフライムから反逆の王国が始まったのである。

 

47:22 しかし、主は決して憐れみを惜しむことなく、 約束をたがえられることはなかった。 主は選ばれた者の子孫を滅ぼし尽くすことなく、 御自分を愛した者の子孫を取り除かれなかった。 すなわち、ヤコブに後継者を与え、 ダビデに彼から伸び続ける根を与えられたのだ。

 

 

レハブアムとヤロブアム

 

 

47:23 ソロモンは先祖たちと共に憩いについたが、 子らの中から一人を後継者として残した。 それは民のうちでも愚かで分別のないレハブアム。 彼はその政策のゆえに民の反逆を招いた。 ネバトの子ヤロブアムも イスラエルに罪を犯させ、 エフライムに罪の道をたどらせた。

 

47:24 人々はますます罪を重ね、 そのため、彼らは自分の地から移された。

 

47:25 彼らはあらゆる悪を追い求め、 ついには彼らの上に罰が下ったのである。

 

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書46章)

 

 

ヨシュア

 

 

46:1 ヌンの子ヨシュアは戦いにおいて勇者であり、 預言の職務においてはモーセの後継者であった。 ヨシュアはその名のとおり、 主に選ばれた人々の大いなる救いとなった。 彼は立ち向かってくる敵に報復し、 約束の地をイスラエルに受け継がせた。

 

46:2 両手を上げて剣を町々に向けたとき、 彼の姿はなんと栄光に満ちていたことか。

 

46:3 かつてだれがこのように雄々しく立ちえたか。 彼こそ、主の戦いの指揮官であった。

 

46:4 彼の手によって太陽は止まり、 一日が二日に延びたではないか。

 

46:5 敵が四方から押し寄せて来たとき、 彼は力あるいと高き方に呼び求めた。 偉大な主は彼の願いを聞き入れ、 激しく雹のつぶてを降らせられた。

 

46:6 彼は諸国の民を戦いで圧倒し、 向かってくる敵を「下り坂」で滅ぼした。 こうして、諸国の民は彼の軍力を知り、 自分たちが主を相手に戦っていることを知った。 まことにヨシュアは力ある主に従っていたのだ。

 

 

 

カレブ

 

 

46:7 モーセの時代にヨシュアは忠誠を示した。 ヨシュアとエフンネの子カレブは、 会衆を向こうに回して立ち、 民が罪を犯すのを防いで、 よこしまなつぶやきをやめさせた。

 

46:8 放浪していた六十万人のうち、 この二人だけが無事生き残り、 民を、受け継ぐべき地、 乳と蜜の流れる地へと導き入れたのだ。

 

46:9 主はまたカレブに力を与え、 その力は年老いるまで衰えることはなかった。 彼は山地を攻略し、 その子孫はこれを遺産として手に入れた。

 

46:10 こうしてすべてのイスラエルの子らは理解した。 主に従って歩むのは良いことであると。

 

 

 

 

士師たち

 

 

46:11 そして次にあの名だたる士師たちが続く。 彼らの心は偶像崇拝に陥ることなく、 主から離れることもなかった。 彼らの名が祝福され記憶されますように。

 

46:12 彼らの骨が、その墓から再び花を咲かせ、 その栄えある名が代々引き継がれて、 子孫の間に生き続けますように。

 

 

 

 

サムエル

 

 

46:13 サムエルは主に愛され、 主の預言者として王の位を立て、 御民を治める者たちに油を注いだ。

 

46:14 彼は主の律法によって会衆を裁き、 主はヤコブを顧みられた。

 

46:15 彼は忠実さのゆえに真の預言者と見なされ、 その言葉によって忠実な先見者と認められた。

 

46:16 敵が四方から押し寄せてきたとき、 彼は力ある主に呼び求め、 乳離れしていない小羊を供え物とした。

 

46:17 そこで主は天から雷鳴をとどろかせ、 大音響の中で、御声を聞かせられ、

 

46:18 ティルスの指揮官たちと ペリシテ人の全支配者を滅ぼし尽くされた。

 

46:19 サムエルは永遠の眠りにつく前に、 主とその油を注がれた者の前で証言した。 「わたしは人の財産を、 履物一足でさえ取ったことはない」と。 そのとき、彼に異論を唱える者はいなかった。

 

46:20 彼は眠りについた後でさえ預言した。 すなわち、王にその最期を予告し、 また地の底から声をあげ、 民の不法を取り除くように告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書45章)

 

 

モーセ

 

 

神はヤコブから慈悲深い人を起こされた。 彼はすべての人々から好意を持たれ、

 

 

45:1 神と人々に愛されていた。 モーセがその人であり、 彼は祝福のうちに覚えられている。

 

45:2 神は御使いに等しい栄光をモーセに与えて、 彼を大いなる者、敵どもの恐怖の的とされた。

 

45:3 モーセの執り成しの言葉により、 神はさまざまなしるしを行い、 王たちの前で彼の名声を高めた。 彼を通して民に命令を与え、 また御自身の栄光の一端を彼に示された。

 

45:4 モーセの忠実と柔和のゆえに神は彼を聖別し、 すべての人の中から彼を選び出された。

 

45:5 神はモーセに御声を聞かせ、 黒雲の中に彼を導き、 顔と顔を合わせて掟を与えられた。 それは、命と知識をもたらす律法であり、 ヤコブに契約を、 イスラエルに御自分の定めを、 教えるものであった。

 

 

アロン

 

 

45:6 神はアロンをモーセに等しい 聖なる者に高められた。 彼はレビ族の生まれ、モーセの兄であった。

 

45:7 神は彼と永遠の契約を結び、 民の祭司としての権限を彼に与えられた。 神は彼を美しく装わせて、祝福し、 輝かしい衣をまとわせられた。

 

45:8 神は華麗な衣装を身に着けさせ、 権威の象徴として冠をかぶらせ、 亜麻布のズボン、長い服、 エフォドをまとわせられた。

 

45:9 衣の裾の回りにはざくろの飾りと たくさんの金の鈴が付けられた。 彼が歩くたびに鈴が鳴り響き、 聖所にこだました。 それは、神が民を思い起こすためであった。

 

45:10 その聖なる衣服には、金、青、 紫の刺しゅうが職人によって施され、 真実を明らかにする 裁きの言葉が織り込まれていた。

 

45:11 それは職人が緋色の糸で織り上げたもの。 そこに付けられた多くの宝石は、 細工師によって 印章のように刻まれ、 金の台座にはめ込まれていた。 記念として刻み込まれた文字は、 イスラエルの部族の数に対応していた。

 

45:12 黄金の額当てがターバンの上に付けられ、 それには聖別の印が刻印されていた。 それは誇らしい豪華な傑作、 目をみはらせる飾り、

 

45:13 これほど美しいものはアロン以前にはなかった。 ほかの者は決してこれを身に着けることはなく、 ただ彼の子供と子孫だけが、 これを代々身に着ける。

 

45:14 彼は焼き尽くすいけにえの献げ物を 絶えることなく、日に二度ささげる。

 

45:15 モーセは両手に聖なる油を満たし、 それをアロンに注いだ。 これはアロンとその子孫に対して、 天の在るかぎり続く永遠の契約となった。 こうして彼は主の祭りをつかさどり、 祭司の務めを果たして、 御名によってその民を祝福する。

 

45:16 神は彼をすべての生けるものの中から選ばれた。 それは、主に供え物と かぐわしい香りを記念として献げ、 民の贖いの儀式を行わせるためであった。

 

45:17 神はアロンに掟を託し、 律法を解釈する権限をお与えになった。 それはヤコブに主の御旨を教え、 イスラエルを律法の光で照らすためであった。

 

45:18 ある時、アロンの一族以外の者がねたみを起こし、 荒れ野で彼に逆らって立った。 ダタンとアビラムの一党であり、 怒りに狂ったコラの徒党であった。

 

45:19 主はそれを見て、快しとせず、 激しい憤りをもって彼らを滅ぼし尽くされた。 主は彼らに対して不思議な業を行い、 燃え盛る炎で彼らを焼き尽くされた。

 

45:20 こうして主はアロンに栄誉を増し加え、 代々受け継がれるものを彼に与えられた。 それは収穫の初穂の分け前であり、 神はまず彼の食物を十分に用意されたのだ。

 

45:21 それゆえ祭司たちは 主にいけにえとして献げられた物を食べる。 それは主がアロンとその子孫に与えられたもの。

 

45:22 だが、民の土地には アロンの受け継ぐ分はなく 民の間で彼には何の分け前もない。 主は言われる。「わたし自身がお前の分け前、 お前の受け継ぐべきもの」と。

 

 

ピネハス

 

 

45:23 主の栄光を担う第三の人物は エルアザルの子ピネハスであった。 彼は主を畏れ敬う熱心な人で、 民が背いたときには、 勇敢にも立ち上がり、 イスラエルのために罪の赦しを得た。

 

45:24 それゆえ、主は彼と平和の契約を結び、 彼を聖所と民の頭とされた。 こうして彼とその子孫は、 永遠に大祭司の職を継ぐ者となった。

 

45:25 ユダ族の出身のエッサイの子 ダビデと結ばれた契約では、 王の遺産は子から孫へと一人だけに受け継がれる。 しかしアロンの遺産はその子孫全体に及ぶ。

 

45:26 願わくは、主がお前たちの心に知恵を授け、 正義をもって主の民を裁かせてくださるように。 そうすれば民の繁栄がいつまでも続き、 その栄光は代々に輝く。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書44章)

 

 

 

先祖たちへの讃歌

 

 

44:1 誉れ高き人々をたたえよう、 我々の歴代の先祖たちを。

 

44:2 主は大いなる栄光を現し、 世の初めからその威光を示された。

 

44:3 先祖たちのある者は国々を支配し、 武勇によって名を輝かせた。 ある者は思慮に富んだ勧めを与え、 預言の言葉を語った。

 

44:4 ある者は英断と 法規の知識をもって民を導き、 知恵ある言葉で人々を教えた。

 

44:5 またある者は楽の音を究め、 詩歌を書き記した。

 

44:6 またある者は力に恵まれ富を得て、 自分の家で安らかな時を過ごした。

 

44:7 先祖たちは皆、その時代に誉れを受け、 生涯にわたって、人々の誇りであった。

 

44:8 しかし、先祖たちの中には、後世に名を残し、 輝かしく語り継がれている者のほかに、

 

44:9 忘れ去られた者もある。 彼らは、存在しなかったかのように消え去り、 あたかも生まれ出なかったかのようである。 彼らの子孫も同様であった。

 

44:10 しかし慈悲深い先祖たちの 正しい行いは忘れ去られることはなかった。

 

44:11 彼らの子らのもとに、 良き遺産、孫たちが残る。

 

44:12 彼らの子孫は契約を守り、 先祖たちに倣ってその子供たちも契約を守る。

 

44:13 彼らの子孫はとこしえに続き、 その栄光は消え去ることがない。

 

44:14 先祖たちのなきがらは安らかに葬られ、 その名はいつまでも生き続ける。

 

44:15 諸国の民はこの先祖たちの知恵を物語り、 神の民は先祖たちをほめたたえる。

 

 

エノク

 

 

44:16 エノクは主に喜ばれて天に移され、 後世の人々にとって悔い改めの模範となった。

 

 

ノア

 

 

44:17 ノアは全き義人であった。 神の怒りの時、ノアが人類を代表し、 洪水が起こった時、 彼により人類は地上に残ることができた。

 

44:18 神は永遠の契約をノアと交わされた。 すべての生あるものを洪水によって 消し去ることはしないと。

 

 

 

アブラハム、イサク、ヤコブ

 

 

44:19 アブラハムは諸国の民の偉大な父であり、 その名声には何のかげりもない。

 

44:20 彼はいと高き方の律法を守り、 神は彼と契約を交わされた。 彼は契約のしるしを体に受け、 試みに遭ったときも、忠実であり続けた。

 

44:21 それゆえ、神はアブラハムに 次のように約束された。 諸国の民は彼の子孫によって祝福を受ける。 彼の末は地の砂の数ほどに多くなり、 その子孫は空の星のように高く上げられる。 海から海に至り、 川から地の果てに及ぶ地を、 彼らは代々受け継ぐようになる。

 

44:22 神はイサクに対しても、 その父アブラハムのゆえに同じ事を約束された。 すべての人々への祝福と契約を、

 

44:23 神はヤコブの頭上に置かれた。 神はヤコブを数々の祝福をもって承認し、 受け継ぐべき地を彼に与えられた。 神はその地を分け、 十二部族にそれぞれ授けられた。

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書43章)

 

 

主の栄光

 

 

43:1 澄み渡る大空はなんと高く壮大であることか。 天の姿はなんと栄光に満ちていることか。

 

43:2 太陽は現れ、燦然と昇り行き、宣言する。 いと高き方の御業はなんと驚嘆すべきものかと。

 

43:3 真昼になると太陽は大地を干上がらせる。 だれがその灼熱に耐えられよう。

 

43:4 かまどの火を吹く人は、灼熱の中で働くが、 太陽はその三倍の熱で山々を焦がす。 火のような熱気を吹き出し、 照り輝く光線は目をくらます。

 

43:5 太陽を造られた主は偉大な方。 主の命令によってそれは決められた道を急ぐ。

 

43:6 月も定まった時に現れ、 季節を分け、いつまでも時を示し続ける。

 

43:7 月によって祝祭日は定められる。 月の光は周期の終わりに弱まっていく。

 

43:8 月々の名前は、空のこの月によって付けられ、 月は驚くばかりに形を変え、満ちていく。 それは天の軍勢の合図の光、 天の大空にあって照り輝く。

 

43:9 光り輝く星は、夜空の美しい装い。 主の高き所できらめく飾り。

 

43:10 聖なる方の命令で、星は定められた場所につき、 見張りの務めを決して怠ることはない。

 

43:11 虹を見て、その造り主をほめたたえよ。 その輝く様はひときわ美しい。

 

43:12 それは天に栄光の弧を描く。 これはいと高き方の手が引き絞ったもの。

 

43:13 主は命令を下して吹雪を起こし、 主の裁きを行う稲妻を走らせる。

 

43:14 そこで、倉は開かれ、 雲は鳥のように飛び立って行く。

 

43:15 主は大いなる力をもって雲を固め、 粉々に砕いて雹にされる。

 

43:17a 雷鳴のとどろきに大地はもだえ苦しみ、

 

43:16 主が現れると山々は震い動く。 主が望まれると南風が吹き、

 

43:17b つむじ風と北風が吹き荒れる。 舞い降りる鳥のように、主は雪をまき散らされ、 その落ちる様は飛び交ういなごの群れのようだ。

 

43:18 目はその美しい白さに驚き怪しみ、 心はその降りしきる様に恍惚となる。

 

43:19 主は塩のように霜を地上にまかれる。 それは凍って、鋭いとげのある花のようになる。

 

43:20 寒い北風が吹くと、 水の面は固い氷となる。 水のある所どこにでも吹きつければ、 水はあたかも胸当てを着けたようになる。

 

43:21 北風は山々を食い尽くし、荒れ野を焼き払い、 火のように若草を枯らしてしまう。

 

43:22 しかし、雨雲はすべてを速やかにいやし、 露は熱風を追い散らし、気分をさわやかにする。

 

43:23 主はその計らいによって地下の大海を静め、 島々をその中に据えられた。

 

43:24 海を旅する者たちは、海の危険について語り、 我々はそれを聞いて驚く。

 

43:25 そこには、不思議な驚くべき主の御業がある。 あらゆる種類の生き物や海の怪物がいる。

 

43:26 主の使いは、主の力によって務めを果たし、 主の言葉によって万物は秩序立てられている。

 

43:27 いかに多くを語っても、決して語り尽くせない。 「主はすべてだ。」このひと言に尽きる。

 

43:28 主の栄光をたたえる力をどこに見いだせよう。 主は御自分のすべての御業にまさって偉大だから。

 

43:29 主は恐るべき方、極めて偉大な方。 その力は驚嘆すべきもの。

 

43:30 主の栄光をたたえ、力を尽くして主をあがめよ。 主はなお、あらゆる賛美にまさる方。 全力を傾けて主をあがめよ。 うむことなく賛美せよ。 これで十分だということはないのだから。

 

43:31 だれが主を見たか、だれが主を語りえようか。 だれがふさわしく主をたたええようか。

 

43:32 以上のことよりまだ多くの偉大な秘義がある。 我々は、御業のほんの一部を見たにすぎない。

 

43:33 主は万物を創造し、 信仰深い人に知恵を与えられた。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書42章)

 

 

恥じる必要のない事柄

 

 

 しかし、以下の事柄は恥じる必要がない。 他人の思惑を気にして罪を犯してはならない。

 

42:2 いと高き方の律法と契約、 不信仰な者への正しい裁きを恥じるな。

 

42:3 仕事仲間や旅の道連れと勘定を清算すること、 他の相続人と遺産を分け合うことを恥じるな。

 

42:4 秤と分銅とが正確なこと、 収益高の多いこと、少ないこと、

 

42:5 商売をして得た利益を恥じるな。 子供を厳しくしつけること、 悪い召し使いのわき腹を血が出るほどに 打ちたたくことを恥じるな。

 

42:6 妻が信用できないときは物に封をするのが良い。 人の出入りが多い所では物に鍵をかけよ。

 

42:7 物を預ける場合には、数と重さを確認し、 収支はすべて書き留めておけ。

 

 

 

父親と娘

 

 

42:8 物分かりの悪い者や愚かな者、 みだらなふるまいをする年寄りを、 たしなめることを恥じるな。 そして、お前は真に教訓を身につけた者となれ。 そうすれば、すべての人から称賛を得るであろう。

 

42:9 娘は父親にとって、人知れぬ不眠のもと。 娘への心配で彼は夜も眠れない。 若いときには、婚期を逃しはしないか、 結婚すればしたで、夫に嫌われはしないかと。

 

42:10 またおとめのときには、父の家にいるうちに 辱めを受けて、子供を宿しはしないかと。 夫を持てば持ったで、過ちを犯しはしないか、 結婚してからは、子ができないのではないかと。

 

42:11 わがままな娘には厳しい監督が必要だ。 さもないと、お前は敵の笑いものになり、 町中のうわさの種、野次馬の群がるもととなり、 公衆の面前で恥をかくことになる。

 

 

女に気をつけよ

 

 

42:12 どんな人の美貌にも見とれてはならない。 また、女たちの間に座を占めるな。

 

42:13 衣類からしみ虫が出て来るように、 女からは女の邪悪も出て来る。

 

42:14 男の悪行は、女の善行よりましだ。 女は恥知らずで不名誉をもたらす。

 

 

主の業

 

 

42:15 わたしは今、主の業を思い浮かべ、 わたしの見たことを詳しく語ろう。 主の言葉によって御業は成り、 〔御旨のままに定めが実現した。〕

 

42:16 光り輝く太陽は万物に目を注ぎ、 主の業はその栄光に満ちている。

 

42:17 主はすべての驚くべき御業を語ることを、 天使たちにさえお許しにならなかった。 全能の主は、万物を揺るぎなく据えられた。 万物を主の栄光で満たし固められた。

 

42:18 主は地下の海も人の心も究め尽くし、 その見事な仕組みを知り尽くしておられる。 いと高き方はすべてのことに精通し、 時の徴に目を留められる。

 

42:19 主は、過去と未来を告げ知らせ、 隠されたものの形跡を明るみに出される。

 

42:20 いかなる思いも、主は見逃さず、 一言半句も主は聞き逃されない。

 

42:21 主は、御自分の知恵による壮大な業を秩序立て、 永遠から永遠にわたって変わらぬ方であられる。 主には、付け加えるものも取り去るものもなく 主はいかなる助言者も必要とされない。

 

42:22 主のすべての業はなんと見事なものであろうか。 目に映る小さな火花に至るまで。

 

42:23 これらすべてのものは永遠に活動を続け、 すべての必要を満たし、すべてに応じる。

 

42:24 すべてのものは対をなし、一方は他に対応する。 主は不完全なものを何一つ造られなかった。

 

42:25 一方は他の長所を更に強める。 だれが主の栄光を見て飽き足りたといえようか。

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書41章)

 

 

 

 

41:1 死よ、お前のことを思うのは、 なんと苦痛に満ちたことか、 裕福で平穏無事に暮らしている者にとって、 また、心を悩まさず、すべてがうまくいき、 まだ楽しみを味わえる力を持つ者にとっては。

 

41:2 死よ、お前の宣告はなんとありがたいことか、 生活に困り、力衰えた者にとって、 また、老け込んで、あらゆることに心を悩まし、 頑固になり、忍耐を失った者にとっては。

 

41:3 死の宣告を恐れるな。 先に死んだ人と、後から来る人のことを考えよ。

 

41:4 この宣告は生あるものすべてに主から下される。 なぜお前は、いと高き方の御旨に逆らうのか。 お前が十年、百年、または千年生きたとしても、 陰府では、寿命の長さは問題とされない。

 

 

不信仰な者

 

 

41:5 罪人の子らは忌み嫌われる。 彼らは不信仰な者の巣窟で育てられる。

 

41:6 罪人の子らは財産をつぶし、 その子孫は絶えず非難を被る。

 

41:7 不信仰な父親を、その子らは責める。 父親のせいで彼らが非難されるから。

 

41:8 不信仰な者たちよ、お前たちは禍いだ。 いと高き方の律法を捨てたからだ。

 

41:9 〔お前たちの子孫が増えるのは、滅びるため、〕 お前たちが生まれたのは、呪われるため、 お前たちが死ぬのは、呪いを受けるためなのだ。

 

41:10 土から出たものは、みな土に帰るように、 不信仰な者たちは、呪いから滅びへと至る。

 

 

名前

 

 

41:11 人は、肉体の死を嘆き悲しむが、 罪人たちの名は悪しきものとして抹殺される。

 

41:12 名を重んじよ。それは後々まで残り、 金の詰まった幾千の大きな宝箱にもまさる。

 

41:13 幸せな日々には限りがある。 しかし、名は永久に残る。

 

41:14 子らよ、穏やかな心で教訓を守れ。 隠された知恵と埋もれた宝、 それが何の役に立つのか。

 

41:15 自分の知恵を隠す人よりは、 自分の愚かさを隠す人の方がましだ。

 

41:16 それゆえ、わたしの忠告に従え。 いつも卑下すればよいというものではない。 皆がすべてのことを善意で受け取るとは かぎらないからだ。

 

 

恥ずべき事柄

 

 

41:17 みだらなふるまいを、父や母の前で、 偽りを、支配者や王侯の前で恥じよ。

 

41:18 犯罪を、裁判官や行政官の前で、 不法を、会衆や民の前で、 不正を仲間や友人の前で恥じよ。

 

41:19 盗みを、近所の人々の前で恥じよ。 神の真理と契約の前で恥じよ。 食卓にひじをつくような行儀の悪さ、 物をもらったり、与えたりするときの 無礼な態度を恥じよ。

 

41:20 挨拶されたのに知らぬ顔をすること、 娼婦にみだらな目を向けることを恥じよ。

 

41:21 身内の頼みを拒絶すること、 他人の取り分、他人に渡す分を着服すること、 人妻に言い寄ることを恥じよ。

 

41:22 他人の召し使いに手を出すことを恥じよ。 彼女の寝床に近寄ってはならない。 友人に非難の言葉を浴びせることを恥じよ。 施しをした後で小言を言ってはならない。

 

 

 

42:1 耳にしたことをそのまま口にしたり、 秘密を漏らしたりすることを恥じよ。 そうすれば、真に恥を知る者となり、 人望を集めるであろう。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書40章)

 

 

人間に共通する惨めさ

 

 

40:1 つらい労苦は、人間だれしも避けられないもの。 重い軛がアダムの子孫にのしかかっている。 母の胎を出た日から、 万物の母なる大地のもとへと戻るその日まで。

 

40:2 人の悩みや心の恐れは 死の日を思っての不安。

 

40:3 華麗な王座に座している者から、 塵と灰の中にはいつくばっている者に至るまで、

 

40:4 紫色の衣装をまとい、王冠をいただく者から、 粗布にくるまった者に至るまで、

 

40:5 怒りとねたみ、困惑と動揺、 死の恐れ、憤り、それに争いが付き物だ。 床の中で憩うときも、 夜眠るときも、それらは人の思いをかき乱す。

 

40:6 休息はあってもなきに等しく、 たとえ寝ても、昼間のように疲れ果て、 戦いを前にして逃げ出した兵士のように、 悪夢にうなされる。

 

40:7 捕まったと思った途端に目が覚め、 何も怖がることはなかったのに、といぶかる。

 

40:8 人間から動物に至るまで、生あるものはすべて、 ――罪人は更に七倍受けるのだが――

 

40:9 死と流血、争いと剣、 災難と飢饉、破滅と鞭打ちとを受ける。

 

40:10 これらはみな不法な者たちのために用意された。 あの洪水が起こったのも彼らのせいである。

 

40:11 土から出たものはすべて土に帰り、 水から出たものはすべて海に戻る。

 

 

 

悪のもたらす結果

 

 

40:12 わいろと不正はすべてぬぐい去られ、 信実な行為は永遠に続く。

 

40:13 不正な者が得た富は、渓流のように干上がり、 雨の中でとどろく雷鳴のように消えていく。

 

40:14 施しをする人は喜びに満たされ、 掟に背く者は滅びに終わる。

 

40:15 不信仰な者のひこばえは若枝を増やさず、 その汚れた根は切り立つ岩にしがみついている。

 

40:16 あらゆる水辺や川岸の葦は、 どんな草よりも先に引き抜かれる。

 

40:17 しかし慈しみは、祝福に満ちた楽園のようなもの。 施しは永遠に残る。

 

40:18 自立した生活も、雇われの生活も楽しい。 だが、いずれにもまさるのは、宝を見つけること。

 

40:19 子をもうけても、町を築いても、名声を高める。 だが、いずれにもまさるのは、 非のうちどころのない妻である。

 

40:20 酒も音楽も心を陽気にさせる。 だが、いずれにもまさるのは、知恵を愛すること。

 

40:21 笛も竪琴も快い調べを奏でる。 だが、いずれにもまさるのは、楽しい会話。

 

40:22 愛らしさや美しさを、人の目は慕い焦がれる。 だが、いずれにもまさるのは、野に生える若草。

 

40:23 友人や仲間との出会いはいつも楽しい。 だが、いずれにもまさるのは、 妻が夫と共にいることである。

 

40:24 兄弟や援助者は、不幸の時に頼るもの、 だが、いずれにもまさる助けは、施しである。

 

40:25 金も銀も人の足もとを固めてくれる。 だが、いずれにもまさる支えは、良い助言である。

 

40:26 富と力は、人の心を自信にあふれさせる。 だが、いずれにもまさるのは、主を畏れること。 主への畏れがあれば、何物にも事欠かず、 ほかに助けを求める必要はない。

 

40:27 主を畏れることは、祝福された楽園のようだ。 どんな栄誉にもまさって、その人を覆い守る。

 

 

 

物乞い

 

 

40:28 子よ、物乞いをして一生を送るな。 そうするくらいなら、死んだ方がましである。

 

40:29 他人の食卓をもの欲しげに眺める者、 その生き方はまことの人生とは言い難い。 人の食べ物で暮らすなら、彼の性根は腐れきる。 良識と教養を備えた人は、 そのような生き方を避ける。

 

40:30 破廉恥な者は、物乞いの気楽さを口にするが、 やがて、その腹の中で滅びの火が燃えるのだ。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書39章)

 

 

職人と学者

 

 

39:1 彼はいにしえのすべての人の知恵を詳しく調べ、 預言の書の研究にいそしみ、

 

39:2 高名な人々の話を心に留め、 たとえ話の複雑な道へと分け入り、

 

39:3 格言の隠れた意味を詳しく調べ、 たとえ話のなぞをじっくり考える。

 

39:4 彼は身分の高い人々に仕え、 為政者たちの前にも出入りする。 見知らぬ人々の国を旅し、 人間の持つ、善い面、悪い面を体験する。

 

39:5 彼は早起きして、 自分を造られた主に向かうように心がけ、 いと高き方にひたすら願う。 声を出して祈り、 罪の赦しをひたすら願う。

 

39:6 偉大なる主の御心ならば、 彼は悟りの霊に満たされる。 彼は知恵の言葉を注ぎ出し、 祈りをもって主を賛美する。

 

39:7 彼は正しい判断と知識を身につけ、 主の奥義を思い巡らす。

 

39:8 彼は学んだ教訓を輝かし、 主の契約の律法を誇りとする。

 

39:9 多くの人々は彼の悟りを褒めそやし、 彼は永遠に忘れ去られることはない。 彼についての記憶は消え去らず、 その名は代々に生きる。

 

39:10 諸国民は彼の知恵を語り、 集会は彼の誉れを告げる。

 

39:11 長生きすれば、千人にまさる名を残し、 たとえ早く死んでも満たされる。

 

 

 

主とその御業への讃美

 

 

39:12 思いを巡らし、更に語ろう。 わたしの心は、満月のように満ちている。

 

39:13 わたしの語ることを聞け、敬虔な子らよ、 流れのほとりに育つばらのように、若枝を出せ。

 

39:14 乳香のように香りを放ち、 ゆりのように花を咲かせ、 声をあげて、共に賛美の歌をうたえ。 すべての御業のゆえに主をほめたたえよ。

 

39:15 主の御名をあがめ、ひれ伏せ。 賛美の声をあげ、竪琴を弾き、 主を大いにほめたたえよ。 賛美して、こう言おう。

 

39:16 「主の御業は、すべてすばらしく、 命じられたすべてのことは、 時が来れば実現する。」

 

39:17 軽々しく、こう言ってはならない。 「これは何か」「これは何のためか」と。 いずれの問いにも時が来れば答えが与えられる。 御言葉によって水は盛り上がり、 その口から出る言葉によって水はためられた。

 

39:18 主が命じられると、すべて御心のままに実現し、 その救いの力を弱める者はだれもいない。

 

39:19 すべての人の業は主の前にあり、 主の目から逃れるものは何もない。

 

39:20 主は永遠から永遠まで目を注がれ、 主にとって驚くべきものは何もない。

 

39:21 軽々しく、こう言ってはならない。 「これは何か」「これは何のためか」と。 それぞれ目的があって造られたのだから。

 

39:22 主の祝福は川のようにあふれ、 乾いた大地を洪水のように潤す。

 

39:23 真水を塩水に変えたように、 主の怒りは諸国の民の遺産となる。

 

39:24 主の道は敬虔な人たちには平らであり、 不法の者たちにはつまずきとなる。

 

39:25 良いものは、初めから良い人々のために造られ、 悪いものは、罪人たちのために造られた。

 

39:26 人間が生きていくうえで何よりも必要なものは、 水と火、鉄と塩、 小麦粉、牛乳、蜂蜜、 ぶどうの汁、オリーブ油、それに衣類。

 

39:27 これらすべては、信仰深い人には良いもの、 罪人たちには悪いものとなる。

 

39:28 刑罰の道具として造られた風がある。 それらの風は怒りを発し、その鞭を激しく振る。 終末の時に、その力を存分に発揮し 造り主の怒りを静める。

 

39:29 火と雹、飢饉と死、 これらすべては刑罰のために造られた。

 

39:30 きばをむき出す野獣、さそり、蝮、 不信仰な者たちを滅ぼす罰の剣。

 

39:31 彼らは主の命令に喜んで服従し、 いざという時のため、地上で待ち構えており、 時が来ると、命令に背くことはない。

 

39:32 わたしは初めから、以上のことを確信し、 思い巡らした後、こう書き残した。

 

39:33 「主の御業はすべて良く、時が来れば、 主は必要なことをすべて満たされる。」

 

39:34 「これはあれよりも悪い」と言ってはならない。 どんなものも時が来ればその良さが証明される。

 

39:35 さあ、心から、声高らかに賛美の歌をうたえ。 主の御名をほめたたえよ。

 

 

 

 

 

 (外典:ベン・シラ 集会の書38章)

 

医者と薬

 

38:1 医者をその仕事のゆえに敬え。 主が医者を造られたのだから。

 

38:2 いやしの業はいと高き方から授かり、 それによって、王からは褒美を受ける。

 

38:3 医者はその博識によって高い身分を与えられ、 権勢ある人々の前で驚嘆される。

 

38:4 主は大地から薬を造られた。 分別ある人は薬を軽んじたりはしない。

 

38:5 一本の木によって水が甘くなり、 木に備わる力が、明らかにされたではないか。

 

38:6 主は自ら人々にいやしの知識を授け、 その驚嘆すべき業のゆえにあがめられる。

 

38:7 医者は薬によって人をいやし、痛みを取り除く。

 

38:8 薬屋は薬を調合する。 主の業は決して終わることなく、 健康は主から全地の人々に与えられる。

 

38:9 子よ、病気になったら放置せず、 主に祈れ。そうすれば、主は治してくださる。

 

38:10 過ちを犯すな。手を汚すな。 あらゆる罪から心を清めよ。

 

38:11 良い香りの献げ物と、 質の良い小麦粉を供え物として献げよ。 余裕のあるかぎり十分に、供え物に油を注げ。

 

38:12 その上で、医者にも助けを求めよ。 主が医者を造られたのだから。 彼を去らせるな。お前には彼が必要なのだ。

 

38:13 医者の手によって病気が治る時もある。

 

38:14 医者もまた主に祈り求めているのだ。 病人の苦しみを和らげ、 命を永らえさせる治療に成功することを。

 

38:15 創造者に対して罪を犯す者は、 病気になって医者にかかるがよい。

 

 

死者への哀悼

 

38:16 子よ、死者のために涙を流せ。 お前は大きな苦痛を味わっているのだ。 悲しみの歌をうたえ。 彼にふさわしい礼を尽くし、なきがらを包め。 また、埋葬をおろそかにするな。

 

38:17 悲痛の涙を流し、胸を打って嘆き悲しめ。 彼の名にふさわしく喪に服せ。 人からとやかく言われぬように一両日喪に服し、 その後、心痛がいやされるため弔問を受けよ。

 

38:18 なぜなら、悲しみから死が生じ、 心の悲しみが力を奪うから。

 

38:19 苦悩に身を置くかぎり、悲しみは付きまとい、 貧しい者の生活は、呪いに満ちたものとなる。

 

38:20 悲しみに心を奪われてはならない。 人生の終わりであったとあきらめ、 悲しみを払いのけよ。

 

38:21 忘れてはいけない。その人は戻らないのだ。 嘆いても彼のためにはならず、 自分の体を損なうだけだ。

 

38:22 彼の運命であったと考えよ、 お前も同じ定めにあるのだから。 「昨日はわたし、今日はお前の番だ。」

 

38:23 死者を墓に休ませたなら、もう彼を思い出すな。 彼の霊が去ったなら、気を楽にせよ。

 

 

職人と学者

 

38:24 学者の知恵は、余暇があって初めて得られる。 実務に煩わされない人は、知恵ある者となる。

 

38:25 どうして知恵ある者となれようか、 鋤を握り、突き棒の扱いを自慢する者が。 また、牛を追い立て、仕事に忙しく、 話題は子牛のことばかりという者が。

 

38:26 彼は畝作りに没頭し、 夜も寝ないで若い雌牛にえさを与えている。

 

38:27 職人や職人頭も同じだ。 彼らは昼夜を分かたず仕事に励む。 印章を彫り込む人々、 さまざまな下絵書きに没頭する者も同じだ。 彼は本物そっくりに表現しようと精魂を傾け、 夜も寝ないで仕事を仕上げる。

 

38:28 鉄床のそばに座るかじ屋も同じだ。 彼は鉄の細工物を一心に見つめる。 熱風で体はやけどを負うが、 炉の熱にあてられながら、懸命に仕事をする。 彼の耳には、金づちのやかましい音が鳴り響き、 目は器の形に注がれる。 彼は仕事を完成させようと精魂を込め、 夜も寝ないで見事に仕上げる。

 

38:29 仕事場に腰を据える陶器職人も同じだ。 彼は足でろくろを回す。 常に仕事に熱中し、 その作品を数える。

 

38:30 彼は足で粘土をこねて、固さを除き、 手でそれを形づくる。 上塗りをかけて仕上げるのに精魂を込め、 夜も寝ないで、窯を掃除する。

 

38:31 これらの人々は皆自分の腕に頼り、 それぞれ、自分の仕事には熟練している。

 

38:32 彼らなしに、町は成り立たず、 住み着く人も、行き来する人もいない。 しかし、彼らは民の会議では意見を求められず、

 

38:33 集会においても責任ある地位には昇れない。 裁判官の座にもつけず、 法律にかかわる決まりも理解していない。 教訓や法律を説き明かすこともできず、 格言にも精通していない。

 

38:34 彼らは造られたこの世界の調和を固く保つ。 彼らの願いは、仕事を全うすることにある。 しかしながら、心を傾けて、 いと高き方の律法を研究する人がいる。
  

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書37章)

 

 

 

友人

 

 

37:1 友人は皆こう言う。「わたしも君の親友だ。」 しかし、名ばかりの友人もいる。

 

37:2 仲間や友人が敵に回ってしまうのは、 死ぬほどの悲しみではなかろうか。

 

37:3 ああ、邪悪な思いよ、お前はどこから紛れ込み、 大地を裏切りで覆うことになったのか。

 

37:4 友人がうまくいっているときは調子を合わせ、 不運のときには、顔を背ける仲間もいる。

 

37:5 自分の腹を満たすためだけに 苦労を共にしているような仲間は、 いざ戦いとなれば、盾を取って身を隠す。

 

37:6 友人をお前の心に留め、 裕福なときにも彼を忘れてはならない。

 

 

 

助言者

 

 

37:7 助言者は皆、自分の助言を推奨する。 しかし、自分の利益のために助言する者もいる。

 

37:8 助言者には気をつけよ。 まず、彼が何を得たいと思っているかを見破れ。 自分の利益のために助言するのだろうから。 さもないと、お前はどんな貧乏くじを 引き当てるか分からない。

 

37:9 彼は言う。「あなたの行く手は明るい」と。 そして、お前に何が起こるかを、 わきに立って眺めている。

 

37:10 お前を疑ってかかる者には相談するな。 お前をねたむ者には、胸の内を明かすな。

 

37:11 女のことでは、妻に、 戦争については、臆病者に相談するな。 取り引きについては、商人に、 売り込みについては、買い手に、 また、謝礼については、けちな者に、 親切については、薄情者に相談するな。 仕事については、怠け者に、 仕事の完成については、臨時雇いの者に、 また、困難な仕事については、 骨惜しみをする召し使いに相談するな。 このような連中のどんな助言にも心を留めるな。

 

37:12 むしろ、掟を守っているとお前が考える 信仰深い人とつきあえ。 彼はお前と気持を一つにし、 お前が失敗したとき、思いやりを示してくれる。

 

37:13 何よりも心に浮かんだ考えを大切にせよ。 これ以上に頼りになるものはないのだから。

 

37:14 高い所から見張る七人の監視役にまさって、 人の魂は、時として、その人自身に語りかける。

 

37:15 これらすべてにまして、いと高き方に求めよ。 お前が、真理の道を正しく歩めることを。

 

 

 

知恵と悟り

 

 

37:16 すべての仕事は言葉をもって始まり、 考察は、あらゆる行動に先立つ。

 

37:17 心にはいろいろな事柄が刻まれており、

 

37:18 四つのものとなって現れ出る。 善と悪、生と死がそれである。 そして、これらを常に決定するものは舌である。

 

37:19 多くの人々を教え導くほど賢くても、 自分のことについては全くだめな人もいる。

 

37:20 巧みに言葉を操って、嫌われる者もいる。 こういうやからは、食べ物にも事欠く。

 

37:21 主から恵みが与えられなかったので、 すべての知恵に欠けているのだ。

 

37:22 知恵ある人は自分自身の生活を豊かにし、 悟りは人の体に実を結ぶ。

 

37:23 知恵ある人は自分の同胞を教え導き、 悟りは確かな実を結ぶ。

 

37:24 知恵ある人はあふれるほどの称賛を受け、 会う人皆から幸せだと言われる。

 

37:25 人の命の日数は数えられるが、 イスラエルの日々は限りがない。

 

37:26 知恵ある人は同胞から誉れを受け、 その名はいつまでも残る。

 

 

 

食い意地

 

 

37:27 子よ、生きているかぎり、自分自身を究明し、 自分に何が有害かを見極め、それを避けよ。

 

 

37:28 すべてが、すべての人の益になるわけでなく、 すべての人が、同じものを喜ぶわけでもない。

 

37:29 どんなごちそうであっても食い意地を張るな。 食べ物の上に身を乗り出すな。

 

37:30 食べ過ぎれば病気になり、 むやみに食べると吐き気を催す。

 

37:31 多くの人が大食して死を招いた。 用心する人は寿命を延ばす。

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書36章)

 

 

イスラエルのための祈り

 

 

36:1 万物の神である主よ、 わたしたちを憐れんでください。

 

36:2 すべての異邦人にあなたへの畏れを 抱かせてください。

 

36:3 御手を異邦の民に向けて上げ、 御力を目の当たりに見せてやってください。

 

36:4 わたしたちにとって、あなたが聖であることを 彼らに示されたように、 彼らに対しても、あなたが偉大であることを、 わたしたちに示してください。

 

36:5 主よ、わたしたちが悟ったように、 あなたのほかに神はおられないことを、 彼らにも悟らせてください。

 

36:6 しるしを新たにし、不思議な業を繰り返して

 

36:7 あなたの手、右の腕に栄光を現してください。

 

36:8 憤りを起こし、怒りを注ぎ、

 

36:9 反対者を滅ぼし、敵対者を破滅させてください。

 

36:10 あなたが定められた時を思い出し、 その時を速めてください。 人々があなたの力ある業を、 語るようにしてください。

 

36:11 生き残った者は、燃え盛る怒りに呑み込まれ、 御民を虐げた者たちは、滅びるように。

 

36:12 敵の支配者たちの頭を打ち砕いてください。 彼らは、「我々と肩を並べる者はだれもいない」 と言っているのです。

 

36:13 ヤコブのすべての部族を集め、

 

36:16 昔のように、彼らに遺産をお与えください。

 

36:17 主よ、憐れんでください。 御名によって呼ばれる民、 あなたの長子とされたイスラエルを。

 

36:18 慈しみを示してください。 あなたの聖所がある町に、 あなたが安息の場所とされたエルサレムに。

 

36:19 どうか、シオンをあなたへの賛美の歌で 満たしてください。 また、神殿をあなたの栄光で満たしてください。

 

36:20 初めに創造された民に、あなたの約束を果たし 御名によって語られた預言を成就してください。

 

36:21 あなたを待ち望む人々にふさわしい報いを与え、 預言者たちの正しいことを立証してください。

 

36:22 主よ、御民に対する慈しみによって、 僕らの祈りを聞き入れてください。 そうすれば、 あなたが永遠の神、主であることを 地上のすべての人は認めるようになるでしょう。

 

 

 

賢い選択

 

 

36:23 どんな食物も腹には入る。 だが、食物にもよしあしがある。

 

36:24 舌が獣の肉の味を見分けるように、 鋭敏な心は偽りの教えを見破る。

 

36:25 ねじけた心は悩みを引き起こす。 経験豊かな人は、それに的確に対処する。

 

36:26 女は、どのような男にも、身を任せるが、 男は、あの娘よりはこの娘をと、えり好む。

 

36:27 顔形の美しい女は人を喜ばせる。 これにまさって人が願い求めるものはない。

 

36:28 女の話しぶりが優しく、穏やかであるなら、 その夫はどんな男よりも運が良い。

 

36:29 妻をめとった者は、財産造りを始めたのだ。 ふさわしい助け手、支えの柱を得たのである。

 

36:30 垣根がないと、地所は荒らされ、 妻を持たないと、ため息つきつつ 放浪することになる。

 

36:31 身一つで、町から町へと渡り歩く無頼の徒を、 だれが信用するだろうか。 ねぐらを持たず、 日が暮れたらその場所に寝るような者を。

 

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書35章)

 

 

 

 

受け入れられるいけにえ

 

 

35:1 律法を守ることは、多くの供え物に匹敵し、

 

35:2 掟に心を留めることは、和解の献げ物に、

 

35:3 他人の親切に報いることは、穀物の献げ物に、

 

35:4 施しをすることは、感謝の献げ物に匹敵する。

 

35:5 主に喜ばれるには、悪事に手を染めず、 贖いを受けるには、不義に手を染めないことだ。

 

35:6 献げ物を携えずに、主の御前に出てはならない。

 

35:7 これらすべては掟が命じていることだから。

 

35:8 正しい人の供え物は、祭壇に脂肪を滴らせ、 その香ばしい香りはいと高き方の御前に昇る。

 

35:9 正しい人のいけにえは、主に受け入れられ、 記念の供え物は、忘れ去られることはない。

 

35:10 あふれる心で主を賛美し、 お前の労働の初穂を出し惜しみしてはならない。

 

35:11 どのような献げ物も、喜びにあふれた顔で供え、 喜んで十分の一を奉納せよ。

 

35:12 いと高き方から、豊かに受けたのだから、 あふれる心で、できるかぎりのものを献げよ。

 

35:13 主は必ず報いてくださる方であり、 七倍にしてお前に報われる。

 

 

 

苦しみ悩む人への神の憐れみ

 

 

35:14 主にわいろを贈ろうなどとするな。 お受け取りにはならないから。

 

35:15 不正ないけにえを頼みとするな。 主は裁く方であり、 人を偏り見られることはないからだ。

 

35:16 貧しいからといって主はえこひいきされないが、 虐げられている者の祈りを聞き入れられる。

 

35:17 主はみなしごの願いを無視されず、 やもめの訴える苦情を顧みられる。

 

35:18 やもめの涙は頬を伝って流れているではないか。

 

35:19 その叫びは、涙を流させた者を責めている。

 

35:20 御旨に従って主に仕える人は受け入れられ、 その祈りは雲にまで届く。

 

35:21 謙虚な人の祈りは、雲を突き抜けて行き、 それが主に届くまで、彼は慰めを得ない。 彼は祈り続ける。いと高き方が彼を訪れ、

 

35:22 正しい人々のために裁きをなし、 正義を行われるときまで。 主はためらうことなく行動し、 悪人どもを我慢なさらない。 主は必ず無慈悲な者の腰を打ち砕き、

 

35:23 異邦の民に報復される。 また、多くの傲慢な者たちを滅ぼし尽くし、 不正な者たちの笏を打ち砕かれる。

 

35:24 主は、行いに従ってその人に報い、 思いに従ってその働きに報われる。

 

35:25 御自分の民のために裁きを行い、 その憐れみをもって彼らを喜びで満たされる。

 

35:26 主の憐れみは苦しみ悩むときに折よく与えられ、 それは日照りが続いたときの雨雲のようである。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書34章)

 

 

 

夢見ることのむなしさ

 

 

34:1 良識のない者はむなしく根拠のない望みを抱く。 夢は愚かな者たちを空想へと駆り立てる。

 

34:2 夢を得ようとする者は、 影を捕まえようとしたり、 風を追いかける者と同じだ。

 

34:3 夢の中で見るものは映像にすぎず、 鏡に映った自分の顔のようなもの。

 

34:4 汚れたものからどうして清いものが、 偽りからどうして真実が、取り出せようか。

 

34:5 占い、前兆、夢のたぐいは、無意味なもの。 陣痛の中で思い描く、女の妄想のようなもの。

 

34:6 いと高き方が配慮して送ったのでないかぎり、 これらのことに、心を奪われるな。

 

34:7 多くの人々は夢に惑わされ、 これに望みをかけては身を滅ぼした。

 

34:8 律法は、そのような偽りによっては全うされず、 知恵も誠実な人の口から出てこそ全うされる。

 

 

 

 

34:9 旅をした人は、多くのことを知っており、 経験豊かな人は、洞察に富んだ事柄を語る。

 

34:10 経験の乏しい者は、わずかなことしか知らない。

 

34:11 しかし、旅をした人は、広い知識を身につける。

 

34:12 わたしは旅をして、多くのことを見た。 わたしが悟った事は、語り尽くせない。

 

34:13 わたしは死ぬほどの危険に何度も出会った。 しかし、これまでの経験のお陰で助かった。

 

 

 

主を畏れる人の幸い

 

 

34:14 主を畏れる人の霊は生き永らえる。

 

34:15 自分を救ってくださる方に、信頼しているから。

 

34:16 主を畏れる人は何事にもおびえることがなく、 決して臆病風を吹かさない。 主にこそ彼は信頼しているから。

 

34:17 主を畏れる人の魂は幸いである。

 

34:18 彼は、だれを頼みとし、だれを支えとするのか。

 

34:19 主の目は、主を愛する者の上に注がれている。 主は、力強い盾、堅固な支え、 熱風から守る避難所、真昼の日ざしを防ぐ陰、 転ばないように防ぎ、倒れないように助ける者。

 

34:20 主は彼らの魂を昂揚させ、目に輝きを与え、 健やかな命と祝福を授けられる。

 

 

 

受け入れられないいけにえ

 

 

34:21 不正に得たものを、いけにえとして 献げるなら、その献げ物は汚れた物である。

 

34:22 不法を行う者の献げ物は、主に喜ばれない。

 

34:23 いと高き方は、不信仰な者の供え物を喜ばれず、 どれほどいけにえを献げても、罪は贖われない。

 

34:24 貧しい人の持ち物を盗んで、 供え物として献げるのは、 父親の目の前でその子を殺して、 いけにえとするようなものだ。

 

34:25 貧しい人々にとって、パンは命そのもの。 これを奪い取るやからは、冷血漢だ。

 

34:26 隣人の生活の道を奪う者は彼を殺すようなもの。

 

34:27 日雇い人の賃金を巻き上げる者は、人殺しだ。

 

34:28 一人が建て、もう一人がそれを壊すなら、 無駄骨を折るのみで、何の益があろうか。

 

34:29 一人が祈り、もう一人が呪うなら、 主は、どちらの声に耳を傾けられるであろうか。

 

34:30 しかばねに触れた後、身を清めておきながら、 また、これに触れるとしたら、 洗い清めることに何の意味があろうか。

 

34:31 このように、罪を悔いて断食をしておきながら、 また、出て行って同じことをしでかすなら、 彼の祈りに、だれが耳を傾けるであろうか。 己を卑しめることに何の意味があろうか。