八月の知恵(7月に続く)

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

(外典:ベン・シラ 集会の書33章)

 

33:1 主を畏れる人に、災難はふりかからない。 試練に遭っても、その度に救い出される。
33:2
知恵ある人は律法を嫌わない。 律法に誠実でない者は、嵐の中の小舟のようだ。
33:3
聡明な人は御言葉を信頼し、 律法は、彼にとって神託同様、頼りになるものだ。
33:4
話は前もって準備せよ。 そうすれば聞いてもらえる。 習得したことを整理してから答えよ。
33:5
愚か者の心は、馬車の車輪のようなもの、 その考えは、心棒のようにぐるぐる回る。
33:6
口やかましい友は、あたかも種馬のようなもの、 だれが乗ってもいななくのだ。

 

主の裁断

 

33:7 どうして、ある日はほかの日よりも重要なのか。 一年のどの日にも、同じ太陽の光が注ぐのに。
33:8
これは主の裁断によって区別されたもの。 主は季節と祝祭日を定められた。
33:9
ある日を高めて聖なる日とし、 他の日を平日と定められた。
33:10
人間は皆、大地からのもの、 アダムは土から造られた。
33:11
主は、あふれるばかりの知識によって、 人々に違いをつくり、 それぞれに、異なった道を歩ませられた。
33:12
ある者を祝福して高め、 ある者を聖別して、みもとに近づかせられた。 しかし、他の者を呪って、卑しめ、 彼らをその地位から退けられた。
33:13
陶器職人がその手にある粘土を、 思うままに形づくるように、 造り主は御手の内にある人間を、 思うままに裁かれる。
33:14
善が悪と相対し、 命が死と相対しているように、 罪人は信仰深い人と相対している。
33:15
いと高き方が造られたすべてのものに目を注げ。 二つずつどれもがそれぞれ対になっている。
33:16
わたしは目を覚ましている最後の者だった、 摘み取る者が残したぶどうを集める者のように。
33:17
わたしは、主の祝福を受けて早くそこへ着き、 摘み取る者と同じように、 搾り桶をいっぱいにした。
33:18
知ってほしい。わたしが労苦したのは、 自分のためだけではなく、 教訓を求めるすべての人のためであったことを。
 33:19 わたしの言葉を聞け。民の上に立つ者たちよ。 会衆の指導者たちよ、わたしに耳を傾けよ。

 

財産

 

33:20 息子や、妻、兄弟や友人であっても、 お前が生きているかぎり、 お前の上に権力を振るわせるな。 また、他人に財産を与えるな。 さもないと、後悔して取り戻したくなる。
33:21
お前の内に命があり、息があるかぎり、 だれに対しても、自分の生き方を変えるな。
33:22
息子たちにねだられている方が、 彼らの助けを当てにして暮らすよりましだ。
33:23
事を行うにあたってはすべてに秀で、 お前の名誉に泥を塗るな。
33:24
お前の寿命が尽きる日、 息を引き取る時に、財産を譲り渡せ。

 

召し使い

 

33:25 ろばには、まぐさと鞭と重い荷物を、 召し使いには、パンとしつけと仕事を与えよ。
33:26
召し使いは厳しくしつけて働かせよ。 そうすればお前はくつろげる。 彼の手を休めさせると、自由を要求してくる。
33:27
軛と手綱は、家畜を抑えておとなしくさせ、 責め道具と拷問は、悪い召し使いに効果がある。
33:28
彼が怠けないように、熱心に仕事をさせよ。
33:29
怠惰は多くの悪行を教える。
33:30
彼にふさわしい仕事を受け持たせよ。 命じたとおりにしないなら、足枷を重くせよ。 しかし、だれに対しても厳しすぎてはならない。 不当な仕打ちは決してするな。
33:31
お前に召し使いがいるなら、お前と同等に扱え。 血をもって彼を買い取ったのだから。 お前に召し使いがいるなら、兄弟として扱え。 自分自身と同じように、 お前は彼が必要なのだから。
33:32
もし、虐待して逃げ去りでもしたら、
33:33
どこへ行って彼を捜し出すつもりなのか。

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書32章)

 

 

32:1 宴会の世話役に選ばれたなら、有頂天になるな。 客の一人として、皆と同じようにふるまえ。 彼らに心を配り、席に着け。

 

32:2 自分の任務をことごとく果たした後に着席せよ。 そうすれば、みんなの楽しみがお前の喜びとなり、 事の運びが見事だというので誉れの冠を受ける。

 

32:3 年長者よ、語れ、それは当然のことだから。 だが、要点を外さずに話し、音楽の邪魔をするな。

 

32:4 余興の最中には、あれこれとしゃべるな。 時をわきまえずに、学識を見せびらかすな。

 

32:5 金の細工にはめ込まれたルビーの印章のように、 音楽の演奏は酒の席を引き立たせる。

 

32:6 金の台に飾られたエメラルドの印章のように、 歌の調べはぶどう酒の味をいや増す。

 

32:7 若者よ、必要なときだけ話せ。 語るとしても二度、それも求められた場合のみ。

 

32:8 簡潔に話せ。わずかな言葉で多くを語れ。 博識ではあっても寡黙であれ。

 

32:9 偉い人たちの間では、出過ぎたまねをするな。 年輪を重ねた人たちのいるところでは、 やたらと無駄話をするな。

 

32:10 雷鳴がとどろく前に稲妻が走り渡るごとく、 慎み深い人にその人望は先立つ。

 

32:11 潮時と見たら、席を立ち、ぐずぐずするな。 まっすぐ家へと急ぎ、道草を食ってはならない。

 

32:12 家では楽しく過ごせ。したいことは何でもせよ。 しかし、高慢な言葉を吐いて罪を犯すな。

 

32:13 これらすべてのことに加えて、 お前を造られた方、 その賜物によって歓喜に酔わせる方を賛美せよ。

 

 

 

主を畏れる人

 

 

32:14 主を畏れる人は、教訓を受け入れ、 朝早く起き主を求める人たちは、 主から称賛される。

 

32:15 律法を究めようとする人は、これに習熟し、 偽善者は、これにつまずく。

 

32:16 主を畏れる人は、何が正しいかを見いだし、 その正しい行いは、光のように輝く。

 

32:17 罪深い者は、批判されることを嫌い、 独りよがりな見解を持つものだ。

 

32:18 分別のある人は、決して思慮に欠けることなく、 高慢な異邦人は、畏れなどみじんも持たない。

 

32:19 よく考えずに何事をも行うな。 そうすれば、何をしても後で悔やむことがない。

 

32:20 危ない道を歩むな。 そうすれば、石だらけの道でころぶことはない。

 

32:21 なだらかな道だからといって気を許すな。

 

32:22 お前の子供たちからも目を離すな。

 

32:23 何事をするにも自信を持て。 これも掟を守ることなのである。

 

32:24 律法を頼みとする人は、掟に注意を払い、 主を信頼する人は、生活に困ることがない。

 

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書31章)

 

 

 

富について

 

 

31:1 夜も寝ないで富を蓄えれば体はやせ衰え、 その富が心配で眠れなくなる。

 

31:2 夜通し続く心配で、うたた寝さえもできない。 重病が眠りを妨げるのと同じである。

 

31:3 金持ちは労苦して財産を蓄え、 仕事を休んでぜいたくな生活を楽しむ。

 

31:4 貧しい者は労苦しても、生きるのが精一杯で、 手を休めるとたちまち生活に困る。

 

31:5 黄金を愛する者は正しい者にはなれず、 金銭を追い求める者は金銭で道を踏み外す。

 

31:6 黄金がもとで多くの者が身を滅ぼした。 彼らは滅亡と顔を突き合わせていたのだ。

 

31:7 黄金は、それに夢中になる者には罠となり、 愚か者は皆、そこにはまり込んでしまう。

 

31:8 清廉潔白な金持ちは幸いである。 黄金を追いかけなかったから。

 

31:9 そういう人がいたら彼に祝意を表そう。 民の間で、驚嘆すべきことを行ったのだから。

 

31:10 黄金の誘惑に打ち勝ち、 申し分のない生き方をした者はだれか。 彼こそは大いに誇ってよい。 法を犯しえたのに犯さず、 悪事を行いえたのに、行わなかった人はだれか。

 

31:11 その人の財産は揺るぎないものとなり、 会衆は彼の施しを数え上げ、たたえるであろう。

 

 

 

 

 

宴会の席での心得

 

 

31:12 豪華な食卓に着くような場合には、 舌なめずりしたり、 「すごいごちそうだ」などと言ったりするな。

 

31:13 意地汚い目つきは下品であるとわきまえよ。 造られた物の中で、 目ほどさもしさを表すものはない。 だから、人はごちそう一つ一つに目を潤ませる。

 

31:14 目に留まるものすべてに手を伸ばすな。 人を押しのけてまで、皿の中のものを取るな。

 

31:15 同席の人を自分のことのように思いやり、 すべてのことに気を配れ。

 

31:16 出されたものは人間らしく食べよ。 人に嫌われないように、音を立てて食べるな。

 

31:17 行儀をわきまえ、人より先に食べ終えよ。 食い意地を張って、不快な感じを与えるな。

 

31:18 大勢の人と食卓を共にするときは、 他の者より先に手を出すな。

 

31:19 しつけを受けた者はわずかな量で満足し、 床に就いてからも、息苦しくなることはない。

 

31:20 程よく食べれば、安眠が得られ、 朝も早く起きられて、気分はさわやかである。 食い意地の張った者は、不眠に悩まされ、 吐き気と腹痛に苦しむ。

 

31:21 無理やり食べさせられたときは、 席を外して吐きに行け。そうすれば楽になる。

 

31:22 子よ、わたしを侮らず、言うことを聞け。 後になれば、わたしの言葉を悟るようになる。 何をするにも節度を守れ。 そうすればどのような病気にもかからない。

 

31:23 豪華な食事を振る舞う者を、人々は褒めそやす、 彼は本当に気前が良いと。

 

31:24 ごちそうを出し渋る者を、町中の人はなじる、 彼は全くけちなやつだと。

 

31:25 酒を飲んで男っぷりを見せようとするな。 酒で身を滅ぼした者は多い。

 

31:26 かまどの火が鉄の質をあらわにするように、 酒も、飲んで争えば、高慢な者の本性を暴き出す。

 

31:27 酒は適度に飲めば、 人に生気を与える。 酒なき人生とは何であろうか。 そもそも酒は、楽しみのために造られているのだ。

 

31:28 時をわきまえ、適度に飲む酒は、 心を浮き立たせ、人を陽気にさせる。

 

31:29 過度の飲酒は気分を損ない、 いらだちや、間違いのもととなる。

 

31:30 深酒は愚か者の気を高ぶらせて足をふらつかせ、 力を弱めて、傷を負わせる。

 

31:31 酒の席で、隣にいる客をなじったりするな。 愉快に過ごしている彼に、侮辱を加えるな。 とがめるような言葉を吐いたり、 借金の返済を迫って困らせたりしてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書29章)

 

 

 

貸し付けと返済

 

 

29:1 奇特な人は隣人に金を貸す。 援助の手を差し伸べる人は掟を守っている。

 

29:2 隣人が困っているときは貸してやれ。 隣人から借りた場合は、期限内に返せ。

 

29:3 約束は固く守り、相手に対して誠実であれ。 そうすれば、お前の必要はいつでも満たされる。

 

29:4 多くの人は、借りた金をもうけ物と見なし、 援助してくれた人たちに迷惑をかける。

 

29:5 金を借りるまでは相手の手に接吻し、 その財産について声音を変えて世辞を言う。 返済の時が来ると期限を延ばし、 返事をあいまいにして、 都合がつかないと言って弁解する。

 

29:6 貸し主は、返してもらえたとしても、 せいぜい半分しか取り戻せない。 だが、それだけでももうけ物と考えよ。 もしも、そのように考えでもしなければ、 貸し主は財産をだまし取られたことになり、 つまらぬことで敵をつくることになる。 借り手は呪いと悪口を返し、 感謝どころか、無礼な態度を返してくる。

 

29:7 多くの人が、貸すことを断るのは、悪意ではない。 むざむざ奪い取られることが分かっているからだ。

 

 

 

施し

 

 

29:8 けれども、貧しい人には寛容であれ。 施しを延ばして相手を待たせてはならない。

 

29:9 主の掟に従って貧しい人を助けよ。 その人が困っているとき、空手で帰すな。

 

29:10 兄弟や友人のために金を使え。 金を石の下に隠してさび付かせ無駄にするな。

 

29:11 いと高き方の掟に従って、富を積め。 それは黄金よりもはるかにお前のためになる。

 

29:12 施しをお前の倉に蓄えておけ。 それはお前をあらゆる災難から救ってくれる。

 

29:13 頑丈な盾や丈夫な槍以上に、 施しはお前が敵と戦うときの武器となる。

 

 

保証

 

 

29:14 善意の人は隣人のために保証人となるが、 恥知らずな者は彼を見捨ててしまう。

 

29:15 保証してくれた人の恩を忘れてはならない。 彼はお前のために己をかけたのだから。

 

29:16 罪深き者は保証人の財産を食い尽くす。

 

29:17 恩を知らぬ者は、助けてくれた人を見捨てる。

 

29:18 万事うまくいっていた多くの人が、 保証人になったため没落し、 海の波にもてあそばれるようにほんろうされた。 勢力ある人たちも家を失い、 見知らぬ国々をさまよい歩かねばならなかった。

 

29:19 罪深い者が保証人を引き受ければ、 利益を得ようとして裁判ざたに巻き込まれる。

 

29:20 お前は力に応じて隣人を援助し、 危ない目に遭わぬように注意せよ。

 

 

 

貧しさと自尊心

 

 

29:21 生活に欠かせないものは、水と食物と衣類、 それに、私生活を守る家である。

 

29:22 貧しくとも、梁がむき出しのわが家で暮らすのは、 他人の家で豪華な食事をするよりましである。

 

29:23 持ち物が多くても少なくても、それで満足し、 居候の汚名は着るな。

 

29:24 家から家へと渡り歩く生活は何とも惨めで、 居候の身では、言いたいことも言えない。

 

29:25 給仕をし、酒をついでも感謝されず、 かえって、嫌みを言われることになる。

 

29:26 「居候、ここへ来て食卓の準備をしろ。 何かあるなら持って来い。」

 

29:27 「出て行け、この居候。大事な客が来たのだ。 おれの兄弟が泊まりに来て客間が必要だ。」

 

29:28 分別のある人にとって耐え難いことは、 家主の小言と金を借りた相手からの侮辱である。

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書28章)

 

 

憤り

 

 

27:30 憤りと怒り、これはひどく忌まわしい。 罪人にはこの両方が付きまとう。

 

 

28:1 復讐する者は、主から復讐を受ける。 主はその罪を決して忘れることはない。

 

28:2 隣人から受けた不正を赦せ。そうすれば、 願い求めるとき、お前の罪は赦される。

 

28:3 人が互いに怒りを抱き合っていながら、 どうして主からいやしを期待できようか。

 

28:4 自分と同じ人間に憐れみをかけずにいて、 どうして自分の罪の赦しを願いえようか。

 

28:5 弱い人間にすぎない者が、 憤りを抱き続けるならば、 いったいだれが彼の罪を赦すことができようか。

 

28:6 自分の最期に心を致し、敵意を捨てよ。 滅びゆく定めと死とを思い、掟を守れ。

 

28:7 掟を忘れず、隣人に対して怒りを抱くな。 いと高き方の契約を忘れず、 他人のおちどには寛容であれ。

 

 

 

口論

 

 

28:8 口論に加わるな。そうすれば、 お前は罪を犯す機会が少なくなる。 怒りっぽい人は口論をあおり立てるからだ。

 

28:9 罪深い者は、友情にひびを入れ、 和やかに暮らしている人たちに不和をもたらす。

 

28:10 火は薪をくべればそれだけ燃え上がり、 口論は頑固さが加わると、激しさを増す。 激怒は、力たけき者ほどすさまじく、 怒りは、富に頼る者ほど激しくなる。

 

28:11 軽率な争いは、火をあおることになり、 軽はずみな口論は、流血の惨事につながる。

 

28:12 火種に息を吹きかければ真っ赤に燃え上がり、 唾を吐きかけると消える。 どちらもお前の口のなせる業。

 

 

 

舌禍

 

 

28:13 うわさして回る者や二枚舌の者は、呪われよ。 平穏に暮らしている多くの人々を破滅させたから。

 

28:14 陰口は多くの人の心を乱し、 国から国へと人々を追い立て、 堅固な町々を破壊し、 権力者たちの家を破滅させた。

 

28:15 陰口は貞節な妻さえ離婚に追い込み、 彼女らが労苦して得たものを奪い取った。

 

28:16 陰口を気にすると、心穏やかではなくなり、 平穏に暮らすことはできなくなる。

 

28:17 鞭で打つと皮膚が裂け、 舌で打つと、骨さえ砕ける。

 

28:18 多くの人が剣のやいばに倒れたが、 その数は、舌のやいばに倒れた人には及ばない。

 

28:19 舌の攻撃を避けることのできた人、 荒れ狂う舌の被害を受けなかった人、 その軛につながれず、 その鎖に縛られなかった人、 このような人は幸いである。

 

28:20 舌の軛は鉄の軛、 その鎖は銅の鎖。

 

28:21 舌のもたらす死は残酷だ。 陰府の方がそれよりもましである。

 

28:22 舌は信仰深い人には力を振るえず、 その炎も彼らを焼くことがない。

 

28:23 主を捨てる者は舌によってひどい目に遭う。 舌は彼らの内で燃え、決して消えることなく、 獅子のように襲いかかり、 豹のように彼らを引き裂く。

 

28:24a さあ、お前の畑には茨で囲いを巡らせ。

 

28:25b お前の口には戸を立てて、かんぬきを掛けよ。

 

28:24b お前の金銀はしまって錠を下ろせ。

 

28:25a お前の言葉は秤に掛けて、慎重に用いよ。

 

28:26 口を滑らせないように注意せよ。 待ち構えている者の餌食になるな。

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書27章)

 

 

 

不正

 

 

26:28 わたしは次の二種類の人々に心の痛みを覚えるが、 三番目の者には怒りを覚える。 貧しさゆえ、物に事欠く兵士。 思慮があるのに軽んじられる人たち。 正しい行いを捨てて罪に向かう者。 主はその者を死に至らせる。

 

26:29 商売人が不正を避けることは難しく、 店で商う者が罪を免れることは困難だ。

 


27:1 多くの者たちは、利益を求めて罪を犯し、 裕福になろうと躍起になっている者は、 悪いことにも目をつぶる。

 

27:2 石と石との間にくいが打ち込まれるように、 物の売り買いには、不正行為が入り込む。

 

27:3 心から主を畏れ敬わなければ、 その家は、驚くほど急速に落ちぶれていく。

 

 

 

言葉と心の思い

 

 

27:4 ふるいを揺さぶると滓が残るように、 人間も話をすると欠点が現れてくるものだ。

 

27:5 陶工の器が、かまどの火で吟味されるように、 人間は論議によって試される。

 

27:6 樹木の手入れは、実を見れば明らかなように、 心の思いは話を聞けば分かる。

 

27:7 話を聞かないうちは、人を褒めてはいけない。 言葉こそ人を判断する試金石であるからだ。

 

 

 

真実

 

 

27:8 正しくあろうと努めるならお前はそうなれるし、 祭服のように足もとまで正しさを身にまとう。

 

27:9 鳥が類を求めて群れて休むように、 真実も、それを行う者たちの所へ戻って来る。

 

27:10 獅子が獲物を待ち伏せるように、 罪も、不正を志す者を待ち伏せる。

 

 

 

愚か者の話

 

 

27:11 信仰深い人の話には、常に知恵がある。 愚か者は、月の形のように変わる。

 

27:12 良識を欠く者たちとは時を過ごすな。 思慮に富む人たちとは、長くいるようにせよ。

 

27:13 愚か者の無駄口は不快感を与え、 彼らは、罰当たりなことを笑い楽しむ。

 

27:14 みだりに呪う人の話には、身の毛がよだち、 彼らの言い争いには耳を覆いたくなる。

 

27:15 高慢な者たちの争いは流血ざたとなり、 彼らのののしり合いは耳に不快だ。

 

 

 

秘密を漏らすこと

 

 

27:16 秘密を漏らす者は信頼されなくなり、 心を寄せてくれる友人を持つことはできない。

 

27:17 友人を愛し、彼を信じて近づけ。 しかし、彼の秘密を漏らしたならば、 彼の後を追い回すな。

 

27:18 人が知人を死によって失うように、 お前は隣人の友情を失ったからだ。

 

27:19 お前は手から小鳥を逃がすように、 隣人を去らせたのであり、もはや元には戻せない。

 

27:20 彼の後を追い回すな。彼ははるか遠くに去り、 罠を逃れたかもしかのように逃げてしまった。

 

27:21 傷は包帯で手当てでき、 侮辱には仲直りの道がある。 しかし、秘密を漏らせばもう望みはない。

 

 

 

偽善的行為

 

 

27:22 目をそらす者は、悪事をたくらんでいる。 それを見た者は彼を敬遠する。

 

27:23 彼はお前の目の前でうまいことを言い、 お前の語る言葉に大げさに感嘆してみせる。 しかし、陰では別なことを言い、 お前の話を種にしてお前を陥れるのだ。

 

27:24 わたしには嫌いなものが数多くあるが、 そのようなやからほど嫌なものはない。 主もまた、彼を嫌われるであろう。

 

27:25 上に向かって石を投げれば頭の上に落ちてくる。 だまし討ちをすれば自分も傷つく。

 

27:26 落とし穴を掘る者は自分がそこに落ち込み、 罠を仕掛ける者は自らそれにはまり込む。

 

27:27 悪事を働けばその報いがわが身に返って来る。 だが、それがどこから来たか彼には分からない。

 

27:28 傲慢な者は他人を軽蔑し非難するが、 復讐が獅子のように待ち伏せる。

 

27:29 信仰深い人の苦境を喜ぶ者は罠にかかり、 死ぬ前に苦悩にさいなまれるであろう。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書23章)

 

 

 

自制を求める祈り

 

 

22:27 だれがわたしの口に見張りを置き、 わたしの唇に堅く封印してくださるのか。 わたしが唇で過ちに陥らず、 舌がわたしを滅ぼさないために。

 

 

23:1 主よ、父よ、わが命の君よ、わたしを見放さず、 唇の思いどおりにさせないでください。 唇のために過ちに 陥らないようにしてください。

 

23:2 だれが、わたしの思いに鞭を当て、 わたしの心に知恵の訓練を施してくださるのか。 わたしの過失を容赦せず、 思いと心との罪を決して見逃さないために。

 

23:3 そうすれば、わたしの過失は増すことなく、 罪が増えることもありません。 また、わたしは敵対者の手に陥らず、 敵に笑われることもありません。 〔彼らにとって、あなたの憐れみを受ける望みは、 遠い先のこと。〕

 

23:4 主よ、父よ、わが命の神よ、 わたしにみだらな目を与えないでください。

 

23:5 わたしから情欲を遠ざけてください。

 

23:6 食欲や色欲のとりことせず、 恥知らずな欲情に引き渡さないでください。

 

 

 

口のきき方についての教訓

 

 

 

誓い

 

 

 

23:7 子らよ、口の利き方についての教訓を聞け。 これを守る者は、決して災いに陥らない。

 

23:8 罪人は自分の唇で罠に陥り、 ののしる者や高慢な者は、唇によってつまずく。

 

23:9 むやみに誓いを口にするな。 みだりに聖なる方の御名を呼ぶな。

 

23:10 絶えず鞭で問いただされている召し使いには、 生傷が絶えないように、 むやみに誓いを立て、御名を呼ぶ者は、 決して、罪から清められることはない。

 

23:11 数多く誓う者は、不法に満ち、 鞭がその家からなくなることはない。 誓いに背けば、彼はその罪を負わねばならず、 誓いを無視すれば、二重の罪を犯すのだ。 偽りの誓いを立てるなら、その罪は赦されず、 その家は、苦悩で満たされる。

 

 

 

みだらな話

 

 

23:12 死と肩を並べるほどの話し方がある。 それは、ヤコブの子孫の間にあってはならない。 主を信じる人は、そのような話し方を一切退け、 罪に巻き込まれることはない。

 

23:13 下品でみだらな話をする癖をつけるな。 そういう言葉を吐くこと自体が、罪なのだから。

 

23:14 お前が上に立つ人たちの席に連なるときには、 父と母とを思い出しなさい。 さもないと、彼らの前で我を忘れ、 いつもの癖が出て愚かなふるまいをしてしまう。 そして生まれない方がよかったのに、と思い、 お前は自分の生まれた日を呪うだろう。

 

23:15 下品な言葉遣いに慣れきっている者は、 生涯、その癖を直すことはできない。

 



みだらな男

 

 

 

23:16 罪に罪を重ねる二種類の人があり、 第三の種類の人間は、神の怒りを招く。 燃え盛る火のような熱い情欲は、 燃え尽きるまで、決して消えない。 みだらな人間は、自分の体を肉欲に任せ、 火が彼を焼き尽くすまで、 とどまることを知らない。

 

23:17 女好きの人間には、 どんなパンでもおいしく、 死ぬまで、これに飽きることはない。

 

23:18 自分の寝床を抜け出す男は、 心の中で言う。「だれが見ているものか。 周りは暗闇だし、壁がわたしを隠している。 だれも見ていない。何を恐れる必要があろうか。 いと高き方は、わたしの罪など、 少しも気に留めはしない」と。

 

23:19 彼が恐れるのは、人の目だけである。 彼は知らないのだ。主の目は、 太陽より一万倍も明るく、 人間のすべての歩みを見極め、 隠れたところまでも、お見通しであることを。

 

23:20 万物は、創造される以前から主に知られ、 また、その完成の後も、同様である。

 

23:21 こういう男は、町の大通りで処罰され、 彼が思いもかけなかった所で、捕らえられる。

 

 

 

 

 

みだらな女

 

 

 

23:22 夫を顧みず、よその男によって 世継ぎをもうける女も、同様である。

 

23:23 第一に、こういう女はいと高き方の律法に背き、 第二に、夫を裏切り、 第三に、みだらにも姦淫を行い、 よその男によって子をもうけたからである。

 

23:24 こういう女は、会衆の前に引き出され、 その子供たちにも、罰が及ぶ。

 

23:25 その子供たちは、根づくこともなく、 枝を張って実を結ぶこともない。

 

23:26 こういう女は呪われた者として人々に記憶され、 その汚名は消えることはない。

 

23:27 こうして、後に残った人々は悟るであろう。 主を畏れることは、すべてにまさり、 主の戒めに従うことは何よりも麗しいと。

 

23:28 〔神に従うことは、大いなる誉れ。 長寿は、お前が神に受け入れられた印である。〕

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書22章) 

 

 

怠け者としつけの悪い子供

 

 

 

22:1 怠け者は、糞で汚れた石と同じで、 だれもが、その汚らわしさをなじる。

 

22:2 怠け者は、牛の糞と同じで、 つかんだ者は、だれもが手を振って払い落とす。

 

22:3 しつけの悪い子を持つことは、父親の恥、 娘が生まれれば財産は減る。

 

22:4 分別のある娘は、良い夫に恵まれ、 恥知らずの娘は、父親の悩みの種となる。

 

22:5 厚かましい女は、父親と夫に恥をかかせ、 どちらからも軽蔑される。

 

22:6 時をわきまえない小言は、葬式のときに、 にぎやかな音楽を流すようなもの、 だが、鞭によるしつけは、どんなときでも 知恵あるやり方。

 

22:7 〔良い生活をして、食べ物に不自由しない子供は、 両親の家柄の卑しさを覆い隠す。

 

22:8 人々を侮り、不作法で、横柄な子供は、 自分の親戚たちの良い家柄をも汚してしまう。〕

 

 

 

始末に負えぬ愚か者

 

 

 

22:9 愚か者を教えるのは、 陶器の破片をつなぎ合わせるようなもの、 また、眠っている人を、 深い眠りから呼び起こすようなものである。

 

22:10 愚か者に説明するのは、 うたた寝をしている人に話すようなもの。 説明したのに「何のこと」と問う。

 

22:11 死者のために泣け、光が消えたのだから。 愚か者のために泣け、知性が消えたのだから。 死者のためには気持よく泣け、 彼は安息についたのだから。 愚か者が生きているのは、死ぬよりも始末が悪い。

 

22:12 死者のための嘆きは、七日間続くが、 愚か者や不信仰な者のための嘆きは、 彼らが生きているかぎり続く。

 

22:13 分別のない者と長話をするな。 物分かりの悪い者を訪れるな。 〔彼はよく理解できずに、 お前のことをすべて軽くあしらう。〕 そういう者には気をつけろ。 さもないと、やっかいなことになる。 彼が身を震わすとき、 その汚れでよごされないようにせよ。 彼を避けよ。そうすれば、お前は安らぎを得、 彼の狂気に悩まされることはない。

 

22:14 鉛より重い重荷は何か。 その名は「愚か者」。ほかにはない。

 

22:15 砂や塩や鉄の塊の方が、 物分かりの悪い者よりも、担いやすい。

 

22:16 建物にしっかりと組み込まれたつなぎ梁は、 地震に遭っても、外れてしまうことはない。 同様に、思慮に富んだ揺るぎない心は、 どんな時にも、くじけない。

 

22:17 深い知性に支えられた心は、 滑らかな壁に彫り刻まれた飾り模様のようである。

 

22:18 高い石垣の上に置かれた小石は、 風が吹けば、ひとたまりもない。 同様に、愚か者の考えにおじける心は どんな恐怖にも、耐えられない。

 

 

 

友情

 

 

 

22:19 目を突くと、涙が流れ、 心を突き刺すと、感情が表れる。

 

22:20 石を投げると、鳥は飛び去り、 友をののしると、友情は壊れる。

 

22:21 友に向かって剣を抜いたとしても、 望みを捨てるな。まだ和解の道はある。

 

22:22 友と口論をしたとしても、 心配するな。まだ仲直りの道はある。 だが、悪口、高慢、秘密の暴露、だまし討ち、 こういうことをすると、友人は皆逃げて行く。

 

22:23 隣人が貧しいときに、信頼を勝ち取っておけ。 彼が成功すれば、お前もその幸せにあずかれる。 逆境にあるときには、ずっとそばに居てやれ。 彼が遺産を継げば、その分け前にあずかれる。 〔人はどんなときにも、貧しい境遇を軽蔑したり、 知性に欠ける金持ちを、 称賛したりすべきではない。〕

 

22:24 かまどで火が燃える前に、湯気と煙が出る。 流血の前には、罵詈雑言が飛び出す。

 

22:25 わたしは、友をかばうことを恥とせず、 また、彼の前から身を隠すことは決してしない。

 

22:26 彼のせいで、災難がわたしにふりかかれば、 それを聞いた者は皆、彼を警戒するだろう。

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書24章)

 

 

 

知恵の讃歌

 


24:1 知恵は自分自身をほめたたえ、 その民の中で誇らしげに歌う。

 

24:2 いと高き方の御前での集会で知恵は語り、 天の万軍を前に誇らかに歌う。

 

24:3 「わたしはいと高き方の口から出て、 霧のように大地を覆った。

 

24:4 わたしは高い天に住まいを定め、 わたしの座は雲の柱の中にあった。

 

24:5 ひとりでわたしは天空を巡り歩き、 地下の海の深みを歩き回った。

 

24:6 海の波とすべての地と、 民も諸国もすべて、わたしの支配下にあった。

 

24:7 それらすべての中に憩いの場所を探し求めた、 どこにわたしは住もうかと。

 

24:8 そのとき万物の創造主はわたしに命じた。 わたしを造られた方は わたしが憩う幕屋を建てて、仰せになった。 『ヤコブの中に幕屋を置き、 お前はイスラエルで遺産を受けよ。』

 

24:9 この世が始まる前にわたしは造られた。 わたしは永遠に存続する。

 

24:10 聖なる幕屋の中でわたしは主に仕え、 こうしてわたしはシオンに住まいを定めた。

 

24:11 また、主はその愛する町にわたしを憩わせ、 わたしはエルサレムで威光を放つ。

 

24:12 わたしは栄光に輝く民の中に、 わたしのものとして主が選び分けた民の中に、 根を下ろした。

 

24:13 わたしはレバノンの杉のように、 ヘルモン山の糸杉のように大きく育った。

 

24:14 エン・ゲディのしゅろのように、 エリコのばら、 野にある見事なオリーブの木、 すずかけの木のようにわたしは大きく育った。

 

24:15 肉桂やアスパラトの木のように、 最上の没薬のように、 わたしは良い香りを漂わせた。 ヘルベナ香、シェヘレト香、ナタフ香のように、 また、幕屋に立ちこめる乳香の香りのように。

 

24:16 わたしはテレビンの木のように枝を広げた、 壮大で優美な枝を。

 

24:17 わたしはぶどうの木のように美しく若枝を出し、 花は栄光と富の実を結ぶ。

 

24:18 〔わたしは美しい愛と畏れとの母、 また知識と清らかな希望の母であって、 神から召された者、すべてのわたしの子供たちに、 代々に自分自身を与え続ける。〕

 

24:19 わたしを慕う人たちよ。わたしのもとに来て、 わたしの実を心行くまで食べよ。

 

24:20 わたしを心に覚えること、それは蜜よりも甘く、 わたしを遺産として受け継ぐこと、 それは蜂の巣から滴る蜜よりも甘い。

 

24:21 わたしを食べる人は更に飢えを感じ、 わたしを飲む人は更に渇きを覚える。

 

24:22 わたしに従う者は辱めを受けず、 わたしの言うことを行う人は罪を犯さない。」

 

 

 

知恵と律法

 

 

24:23 これらすべてはいと高き神の契約の書、 モーセが守るよう命じた律法であり、 ヤコブの諸会堂が受け継いだものである。

 

24:24 〔主に支えられて常に雄々しくあれ。 主に寄りすがって離れるな、 主は力を与えてくださる。 主は全能で唯一の神。 主のほかに救い主はない。〕

 

24:25 律法は、ピション川のように、 初物の季節のチグリス川のように、 知恵であふれている。

 

24:26 律法は、ユーフラテス川のように、 収穫の季節のヨルダン川のように、 理解力をあふれ出させる。

 

24:27 律法は、光のように、 ぶどうを収穫する季節のギホン川のように、 教訓を輝かせる。

 

24:28 人間は、最初の者も知恵を完全には知らず、 最後の者も知恵を突き止めることはできない。

 

24:29 知恵の思いは海よりも広く、 その計画は地下の海よりも深いから。

 

24:30 わたしは川から引かれた水路、 庭へ流れ込む小川のようであった。

 

24:31 わたしは言った。「庭に水を注ぎ、 花壇を潤そう。」 すると直ちに水路は川となり、 川は海に変わった。

 

24:32 また、わたしは教訓をあけぼののように輝かせ、 その光を遠くまで及ぼそう。

 

24:33 わたしは預言のように教えを注ぎ出し、 世々代々にこれを残し伝えよう。

 

24:34 わたしが苦労してこの仕事をしたのは、 自分のためだけではなく、 知恵を求めるすべての人のためでもあることを 理解してほしい。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書21章)

 

 

 

罪を避けよ

 

 

21:1 子よ、お前は罪を犯した。二度と繰り返すな。 過去の罪については、赦しをこいねがえ。

 

21:2 蛇を避けるように、罪を避けよ。 近寄れば、かみつかれてしまう。 その歯は、獅子の歯のようなもの、 人の命を奪い取る。

 

21:3 あらゆる不法は、両刃の剣のようなもの、 その傷は、いやすすべがない。

 

21:4 威嚇と横柄は、富を損ない 高慢な者の家は覆される。

 

21:5 貧しい人の口から出る願いは、主の耳に達し、 主の裁定は、速やかに下される。

 

21:6 訓戒を嫌う者は、罪人の道をたどる。 主を畏れる人は、心の底から、主に立ち帰る。

 

21:7 雄弁家の名声は、遠くまで知れ渡るが、 賢い人はその失言をすぐに見抜く。

 

21:8 借金して家を建てる者は、 石を集めて自分の墓を建てるようなものだ。

 

21:9 無法者の集まりは、麻屑の束。 彼らは、燃え盛る火となって絶え果てる。

 

21:10 罪人の歩む道は、平坦な石畳であるが、 その行き着く先は、陰府の淵である。

 

 

 

知恵ある人と愚か者

 

 

21:11 律法を守る人は、自分の思いに振り回されない。 主を畏れることは、知恵に至る。

 

21:12 賢さに欠ける者には、教育の施しようがない。 しかし、苦さを含む賢さもある。

 

21:13 知恵ある人の知識は、洪水のようにあふれ、 その勧告は、命の泉のようである。

 

21:14 愚か者の腹は、壊れた壺のようなもの、 どんな知識もこぼれ出てしまう。

 

21:15 身を持するに堅い人は、知恵ある言葉を聞くと、 これを称賛し、更に言葉を添える。 放蕩に身を持ち崩す者はこれを聞くと嫌になり、 背後に投げ捨てて顧みない。

 

21:16 愚か者の解説を聞くことは、 重い荷物を背負った旅のようなもの、 聡明な人の唇から出る言葉は、人の心を喜ばせる。

 

21:17 集会では、分別ある人の意見が求められ、 人々は、彼の言葉を心の中でかみしめる。

 

21:18 愚か者にとって、知恵は、 崩れた家のように役立たず、 聡明でない者の知識は、 筋道の通らない話のようにずさんである。

 

21:19 頭の鈍い者にとって、教訓は足枷、 右手にかけられた手錠のようなものである。

 

21:20 愚か者は、大声で笑い、 賢い人は、笑っても、もの静かにほほ笑む。

 

21:21 分別ある人にとって、教訓は金の飾り、 右腕にはめる腕輪のようなものである。

 

21:22 愚か者は、すぐに家の中に入り込むが、 経験に富む人は、門前で遠慮深くたたずむ。

 

21:23 分別のない者は、戸口から家の中をのぞき込むが、 教養ある人は、外で立って待つ。

 

21:24 戸口で聞き耳を立てるのは、 教養のない人間のすること、 分別ある人は、それを耐え難い恥と考える。

 

21:25 他人の唇は、これらのことを語る。 しかし、分別ある人は、言葉を吟味する。

 

21:26 愚か者の心は口にあり、 知恵ある人の口は心にある。

 

21:27 不信仰な者がサタンを呪うのは、 自分自身を呪っているのだ。

 

21:28 告げ口をする者は、自分自身を汚し、 近所の人たちから憎まれる。

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書20章)

 

 

 

語るにも黙るにも時をわきまえよ

 

 

20:1 とがめるのに適切でない時があり、 黙っている方が、分別を示すこともある。

 

20:2 心の中で憤るよりは、とがめる方がよい。

 

20:3 過ちを自ら認める人は、恥を免れる。

 

20:4 情欲にかられて おとめを犯そうとする宦官のように、 力ずくで正当性を主張しようとする者がいる。

 

20:5 黙っていて、知恵ある人と見られる者もあり、 しゃべりすぎて、憎まれる者もいる。

 

20:6 答えられないために、黙っている者もいれば、 時をわきまえて、黙っている人もいる。

 

20:7 知恵ある人は、時が来るまで口をつぐむ。 ほら吹きと無分別な者は、 時をかまわず、しゃべりまくる。

 

20:8 口数の多い者は、嫌われ、 他人の話を奪う者は、憎まれる。 〔とがめられて改めるのは、なんと立派なことか。 お前は故意に罪を犯さなくても済む。〕

 

 

 

人生には予期せぬことがある

 

 

 

20:9 不幸な目に遭って、幸せを見つける人もいれば、 思わぬ幸運に巡り会って、損をする者もいる。

 

20:10 送り主に何の利益にもならない贈り物もあれば、 二倍になってお返しが来る贈り物もある。

 

20:11 名誉を求めて、恥を受けることもあれば、 身分の卑しい人が一躍頭角を現す例もある。

 

20:12 わずかな金で多くの物を買い、 後で、七倍も支払う者がいる。

 

20:13 知恵ある人は、言葉が少なくても慕われるが、 愚か者は無駄なお世辞を振りまく。

 

20:14 分別のない者からの贈り物は、 お前に何の利益ももたらさない。 〔けちな人間がしぶしぶする贈り物も同様である。〕 彼は、自分が贈った物より更に多くのものを 期待しているのだから。

 

20:15 彼は、わずかな物を贈って、多くの小言を言い、 町の触れ役のように、その口を開く。 彼は、今日貸し付けて、明日はその返却を迫る。 こういう者こそ、憎むべき人間だ。

 

20:16 愚か者は言う。「わたしには友がない。 親切にしたのに、何のお礼もしてくれない」と。 愚か者のパンを食べる者は、彼の悪口を言い、

 

20:17 なんと多くの人々が、 しばしば、彼をあざけり笑っていることか。 〔彼は自分の物を正しい心で扱わず、 他人の物も自分の物と区別しないのだから。〕

 

 

 

時をわきまえぬ話

 

 

 

20:18 口を滑らすよりは、道で滑る方がましだ。 口を滑らして、悪人は速やかに没落する。

 

20:19 不作法な人間は、場違いの話のようなもの、 教養のない人間が、絶えずそれを口にする。

 

20:20 愚か者が語る格言は、何の反応も得られない。 彼は、時をわきまえずそれを口にするのだから。

 

 

 

世間体

 

 

 

20:21 貧しさゆえに、罪を犯さないで済む人もいる。 仕事を終えて休むとき、 彼は良心に責められることは何もない。

 

20:22 世間体を気にして、身を滅ぼし、 無分別な者に気を遣って、身を滅ぼす者もいる。

 

20:23 恥をかきたくないために、無理な約束をし、 いたずらに友を敵に回す者もいる。

 

 

 

うそ

 

 

 

20:24 うそは、人間にとって醜い汚点、 教養のない人間は、絶えずそれを口にする。

 

20:25 絶えずうそをつく者よりも、盗人の方がましだ。 だが、両者とも、最後には破滅に至る。

 

20:26 うそつきの性癖は、恥をもたらし、 その汚名は、いつまでも付きまとう。

 

 

 

格言集

 

 

 

20:27 知恵ある人は、小さなきっかけで出世する。 思慮深い人は、上に立つ人の好意を受ける。

 

20:28 土地を耕す者は、収穫物を積み上げ、 上に立つ人の好意を受ける者は、 その不正を償ってもらえる。

 

20:29 接待や贈り物は、知恵ある人の目をもくらまし、 口にはませた猿ぐつわのように、批判を封じる。

 

20:30 隠された知恵とうずもれた宝、 それが何の役に立つのか。

 

20:31 自分の知恵を隠す人よりは、 自分の愚かさを隠す人の方がましだ。

 

20:32 〔粘り強い忍耐をもって主を求める人は、 主人を持たず、自分で生活を律する人にまさる。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書18章)

 

 

神の偉大さと慈しみ

 

 

18:1 永遠に生きている方が、 万物をことごとく造られた。

 

18:2 ただ主おひとりが、正しい方である。 〔主のほかに正しい者はだれ一人いない。

 

18:3 主は、その手のひらの中で世界を動かし、 すべてのものは、その御旨に従う。 主こそ、力をもってすべてを治める王であり、 清いものと汚れたものを分けられる。〕

 

18:4 御自分の業を告げ知らせる力を、 主はだれにも与えられなかった。 だれが、その大いなる業を究め尽くしえようか。

 

18:5 その偉大な力を、だれがはかりえようか。 だれが、その慈しみを、語りえようか。

 

18:6 だれも、それらを減らしたり 増やしたりはできない。 だれも、主の不思議な業を 究め尽くすことはできない。

 

18:7 人が究め尽くしたと思ったときは、 まだ始まったばかりであり、 途中でやめてしまうと、徒労に終わる。

 

18:8 人間とは何者か。その存在の意義は何か。 その行う善、その行う悪とは何か。

 

18:9 人の寿命は、長くて百年。 〔しかし、永遠の眠りは計り難いほど長い。〕

 

18:10 大海の中の一滴、砂の中の一粒のように、 永遠という時に比べれば、 この寿命はわずかなものにすぎない。

 

18:11 このゆえに、主は、人々に対して忍耐し、 憐れみを彼らに注がれる。

 

18:12 主は、人間の惨めな末路を見、知っておられる。 それゆえ、豊かに贖いを与えてくださる。

 

18:13 人間の慈しみは、隣人にしか及ばないが、 主の慈しみは、すべての人に及ぶ。 主は、彼らをいさめ、鍛え、教えて、 羊飼いのように、羊の群れを連れ戻される。

 

18:14 主は、教訓を受け入れる者に、 また、主の裁きを熱心に待ち望む者に、 慈しみを施される。

 

 

 

施しをするときは

 

 

 

18:15 子よ、援助をするときには、相手を傷つけるな。 施すときにも、相手をおとしめる言葉を吐くな。

 

18:16 朝露は、熱風の季節に安らぎを与えてくれる。 言葉の露は施しよりも、効き目がある。

 

18:17 親切な言葉は、高価な贈り物にまさるではないか。 情け深い人は、両方とも備えている。

 

18:18 愚か者は、思いやりがなく、小言ばかり言う。 また、恩着せがましい人間の施しには、 だれも目を輝かさない。

 

 

 

事前に準備せよ

 

 

18:19 口を開く前に、よく考えよ。 病気になる前に、養生せよ。

 

18:20 裁きが来る前に、自らを省みよ。 そうすれば、主が訪れる時、お前は贖いを得る。

 

18:21 病気になる前に、自らへりくだれ。 罪を犯したときは、改心の態度を示せ。

 

18:22 誓願は、必ず、期限内に果たせ。 それを果たすことを、死ぬときまで延ばすな。

 

18:23 誓願を立てる前に、よく準備せよ。 主を試す者になってはいけない。

 

18:24 お前が死ぬ日に下る主の激しい怒りを思え。 また報復のときを心に留めよ。 そのとき主は御顔を背けられる。

 

18:25 豊かなときには、飢饉のときを思い、 富んでいるときには、貧乏なときを思え。

 

18:26 早朝から夕方へと、時は移り、 すべては、主の御前で、速やかに過ぎ去る。

 

18:27 知恵ある人は、すべてに用心深く、 罪がはびこっているときには、 過ちを犯さないよう気をつける。

 

18:28 聡明な人は皆、知恵を知っており、 知恵を見いだした人に敬意を払う。

 

18:29 言葉に巧みな人々もまた、知恵を示し、 的確な格言をあふれるように注ぎ出す。 〔唯一の主に信頼することは、 死んだ心と死者に執着することにまさる。〕

 

 

 

自制せよ

 

 

18:30 欲望に引きずられるな。 情欲を抑えよ。

 

18:31 欲望に身を任せて、好き勝手なことをすれば、 お前は、敵の物笑いの種になる。

 

18:32 享楽にふけるな。 宴会の費用がかさんで、身を滅ぼしてしまう。

 

18:33 借金してまで宴会を開いて、無一文となるな、 お前の財布が空だというのに。 〔お前は、自分で自分を罠に掛けるようなものだ。〕

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書17章)

 

 

 

人間の創造と賜物の賦与

 

 

17:1 主は、人間を土から造られ、 再び、土に帰される。

 

17:2 主は、彼らに一定の寿命を与え、 地上のものを治める権能を授けられた。

 

17:3 主は、御自分と同じような力を彼らに帯びさせ、 御自分に似せて彼らを造られた。

 

17:4 主は、すべての生き物に、 人間への恐れを植え付け、 こうして、人間に獣や鳥を支配させられた。

 

17:5 〔人間は、主の五つの能力を使うことを許された。 主は、六番目として、彼らに知性を分け与え、 七番目として、それらの能力を解釈する理性を 授けられた。〕

 

17:6 主は、彼らに、判断力と舌と目を与え、 耳と、よく考えるための心とを授けられた。

 

17:7 主は、悟りをもたらす知識で彼らを満たし、 善と悪との区別を示された。

 

17:8 主は、彼らの心に、 御自分への畏れを植え付けられた。 彼らに、御業の偉大さを示すためであった。 〔そして、くすしき御業を代々誇ることを 人々に許された。〕

 

17:9 彼らは、御業の偉大さを宣べ伝え、

 

17:10 聖なる御名をほめたたえる。

 

17:11 主は、彼らに知識を授け、 命をもたらす律法を受け継がせられた。 〔今のままでは、死すべき者であることを、 彼らが悟るために。〕

 

17:12 主は、彼らと永遠の契約を結び、 御自分の裁きを示された。

 

17:13 彼らの目は、主の大いなる栄光を見、 彼らの耳は、主の厳かな御声を聞いた。

 

17:14 主は言われた。「あらゆる不正を警戒せよ。」 そして、隣人に対する掟を各自に授けられた。

 

 

 

神の裁き

 

 

 

17:15 人間の歩みは、常に、主の前にあらわであり、 主の目を逃れることはできない。

 

17:16 〔彼らの歩みは、若いときから悪に傾き、 石の心を変えて、 血の通う心にすることができなかった。

 

17:17 全地を国々に分割されたとき、〕 主は、それぞれの国に、為政者を置かれた。 だが、イスラエルは御自身の割り当てとされた。

 

17:18 〔主は、イスラエルを長子として鍛え上げ、 愛の光を分かち与え、 見捨てることはなさらない。〕

 

17:19 人々の行いは、主の前に 太陽のようにあらわであり、 主の目は、絶えず彼らの歩みに注がれている。

 

17:20 彼らの不正は、主から隠されることなく、 そのすべての罪は、主の前にあらわである。

 

17:21 〔しかし、主は情け深く、 お造りになったすべてのものをみそなわし、 見捨てたり、見殺しにしたりはせず、 大切に慈しまれる。〕

 

17:22 人の行う施しは、 主にとって、印章のように貴重であり、 人の親切を、 主は、御自分の瞳のように大事にされる。 〔主は、御自分の息子や娘たちに、 悔い改めの心を分かち与えられる。〕

 

17:23 最後に、主は、立ち上がって人々を裁き、 行いに応じた報いを彼らの頭上に下される。

 

17:24 悔い改める者には、立ち帰る道を開き、 耐える力を失った者を励まされる。

 

 

 

主に立ち帰れ

 

 

 

17:25 主に立ち帰り、罪から離れよ。 御前で祈り、罪を犯す機会を遠ざけよ。

 

17:26 いと高き方に立ち戻り、不正に背を向けよ。 〔主御自身が、お前を闇から救いの光に 導いてくださるから。〕 忌まわしいものを憎みに憎め。

 

17:27 陰府で、だれがいと高き方を賛美するだろうか。 生きている者と違って、 だれが感謝の言葉をささげるだろうか。

 

17:28 死んで、もはや存在しない人からは、 感謝の言葉も消えうせる。 生きていて健やかなときにこそ、 人は主を賛美する。

 

17:29 なんと偉大なことか、主の憐れみと、 立ち帰る者への贖いとは。

 

17:30 人は、何でもできるわけではない。 人の子は不死身ではないのだから。

 

17:31 太陽よりも光輝くものがあるだろうか。 しかし、この太陽でさえ欠けるのだ。 まして、血と肉である人間は、 悪しき思いを抱く。

 

17:32 主は、いと高き天の軍勢を観閲される。 人間は皆、土くれと灰にすぎない。

 

 

 

 

 

 

 

外典:ベン・シラ 集会の書16章

 

子供は多い方がよいとはかぎらない

 

 

 

16:1 役に立たないような子を、大勢欲しがるな。 不信仰な息子たちを、喜ぶな。

 

16:2 いくら子宝に恵まれても、 彼らが主を畏れないなら、喜ぶな。

 

16:3 彼らが長生きするものと当てにするな。 その数の多いことを頼みとするな。 〔お前は、思いがけない悲しみに打ちひしがれる。 彼らの最期を、突然、知ることになるからだ。〕 主を畏れる一人の子は、千人の子にまさり、 不信仰な子を持つよりは、 子を持たずに死ぬ方がましだ。

 

16:4 一人の聡明な人は、町を繁栄させ、 無法者の一味は、消えうせる。

 

 

 

 

 

罪人に対する神の怒り

 

 

16:5 わたしは、次に述べるようなことを、 数多くこの目で見、 それよりもひどいことを、この耳で聞いた。

 

16:6 罪人の集まる所に、焼き尽くす火が燃え上がり、 反逆の民の間に、神の怒りが燃え盛った。

 

16:7 主は、いにしえの巨人たちを容赦されなかった。 彼らは、その力を誇って、反逆したからである。

 

16:8 主は、ロトが住む町を見逃されなかった。 人々の高慢を忌み嫌われたからである。

 

16:9 主は、滅ぶべき民に、憐れみを示されず、 彼らは、その罪によって、滅びうせた。 〔主は、これらすべてのことを、 心のかたくなな諸国民に対して行い、 多くの聖なる人たちの願いにも、 動かされることはなかった。〕

 

16:10 また、かたくなな心をもって集まった 六十万の兵士たちの場合も同じであった。 〔主は、鞭打ったり、憐れんだり、 打ちたたいたり、いやしたりしながら、 慈しみと懲らしめをもって、彼らを守られた。〕

 

16:11 かたくなな者が、一人だけだとしても、 罰を受けずに済むならば、驚くべきことだ。 憐れみと怒りは、ともに主のものであり、 贖う力、怒りを浴びせる力を 主は持っておられる。

 

16:12 その憐れみが深いように、とがめもまた厳しい。 主は、人を、それぞれの業によって裁かれる。

 

16:13 罪人は、略奪した物を抱えて 逃げおおせることはできない。 主は、信仰深い人にいつまでも忍耐を 強いることはなさらない。

 

16:14 施しをするための機会は、主によって用意され、 人はおのおのその業に応じて、報いを見いだす。

 

16:15 〔主は、ファラオの心をかたくなにして、 主御自身を知ることができないようにされた。 それは、主の働きが 天下に知れ渡るようになるためであった。

 

16:16 主は、その憐れみをすべての被造物に示し、 御自分の光を闇とともに、 アダムに分け与えられた。〕

 

 

 

 

 

確かな主の働き

 

 

 

16:17 このように言ってはならない。 「わたしは主から身を隠そう。 いと高き所で、わたしのことを 心に留めるものがいるだろうか。 大勢の群衆に紛れてしまえば、 わたしに気づくものはだれもいない。 数えきれない被造物の中で、 わたしはいったい、何ものか。」

 

16:18 見よ、天と、天の上の天、 大地と地下の海でさえも、 主が訪れると、揺り動かされる。 〔全世界は、主の御心によって生み出され、 また、その御心によって造り上げられていく。〕

 

16:19 山や、大地の基も、 主が見つめると、共に震えおののく。

 

16:20 人の心は、そのことを考えようともしない。 主の道を思い巡らす者もいない。

 

16:21 目に見えないはやてのように、 主の業の多くは、隠されている。

 

16:22 だから、このように言ってはならない。 「だれが主の正義の業を告げ知らせるだろうか。 また、だれが、忍耐強くそれを待つだろうか。 契約の実現は、はるかかなたにあり、 〔すべてのものの取り調べは、 最後に行われるのだから。〕」

 

16:23 これは心の狭い者の考え、 分別がなく、惑わされている人間が、 このような愚かなことを考える。

 

 

 

 

 

 

創造の業

 

 

16:24 子よ、わたしに耳を傾け、知識を身につけよ。 わたしの言葉を心に銘記せよ。

 

16:25 わたしは、教訓を正しく示し、 正確に知識を告げ知らせる。

 

16:26 主は、初めに創造の業をなされたとき、 被造物にそれぞれの領分を定められた。

 

16:27 主は、それらの活動に永遠の秩序を与え、 世々代々までも変わらぬ役割を授けられた。 これらの被造物は、 飢えることも、疲れることもなく、 その働きを止めることはない。

 

16:28 おのおのは、互いに領域を侵すことはなく、 主の定めに背くことも、とこしえにない。

 

16:29 その後で、主は、地に目を注がれた。 そして、良きもので地を満たされた。

 

16:30 主は、地の面をあらゆる命あるもので覆われた。 しかしこれらは、死んで再び土に帰る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書15章)

 

 

 

知恵の働き

 

 

15:1 主を畏れる人は、これを行う。 律法に精通している者は、知恵を悟る。

 

15:2 知恵は、母のように彼を出迎え、 新妻のように彼を迎え入れる。

 

15:3 英知のパンを食べ物として彼に与え、 知恵の水を飲み物として、彼に与える。

 

15:4 彼は、知恵に支えられて揺らぐことなく、 知恵に身を任せて、恥をかくことはない。

 

15:5 知恵は、周りの者たちよりも彼を優れた者とし、 集会で語るとき、適切な言葉を与えてくれる。

 

15:6 彼は楽しみを味わい、喜びの冠を受け、 その名声はいつまでも続く。

 

15:7 愚かな者は、決して知恵を悟らず、 罪深い者は、知恵をかいま見ることすらない。

 

15:8 知恵は、高慢な者から離れており、 偽りを言う者の心には決して思い浮かばない。

 

15:9 賛美の歌は、罪人の口にそぐわない。 主に促されて歌うのではないから。

 

15:10 賛美は知恵をもってささげられ、 主御自身がこれを正しく導かれる。

 

 

 

人間の意志

 

 

15:11 「わたしが罪を犯したのは主のせいだ」と言うな。 主が、御自分の嫌うことをなさるはずがない。

 

15:12 「主がわたしを迷わせたのだ」と言うな。 主は、罪人には用がないのだから。

 

15:13 主は、忌まわしいことをすべて憎まれる。 それらは、主を畏れる人にも好ましくない。

 

15:14 主が初めに人間を造られたとき、 自分で判断する力をお与えになった。

 

15:15 その意志さえあれば、お前は掟を守り、 しかも快く忠実にそれを行うことができる。

 

15:16 主は、お前の前に火と水を置かれた。 手を差し伸べて、欲しい方を取ればよい。

 

15:17 人間の前には、生と死が置かれている。 望んで選んだ道が、彼に与えられる。

 

15:18 主の知恵は豊かであり、 主の力は強く、すべてを見通される。

 

15:19 主は、御自分を畏れる人たちに目を注がれる。 人間の行いはすべて主に知られている。

 

15:20 主は、不信仰であれとは、 だれにも命じたことはなく、 罪を犯すことを、許されたこともなかった。

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書14章)

 

 

 

人の顔つき

 

 

13:25 心の状態で、人の顔つきは変わる。 うれしい顔にもなれば、悲しい顔にもなる。

 

13:26 晴れやかな顔は、良い心の表れである。 それにしても、格言作りは、骨が折れる。

 

 

 

幸いな人

 

 

14:1 口を滑らすことのない人は幸いだ。 罪を悔やむ思いに苦しめられることがない。

 

14:2 良心にやましいことのない人、 希望を失うことのない人は、幸いだ。

 

 

欲深い人間

 

 

14:3 金に細かすぎる人に、富はふさわしくない。 物惜しみをする人に、金銭は何の役に立つのか。

 

14:4 生活を犠牲にしてまで蓄える人は、 他人のために蓄えるようなものだ。 その蓄えで、ぜいたくをするのは他人なのだ。

 

14:5 自分を痛めつけて、 だれかに楽をさせようとでもいうのか。 その人は決して自分の財産を楽しむことはない。

 

14:6 自分のことで物惜しみする人ほど 痛ましい者はない。 それこそは、その人の悪の報いである。

 

14:7 欲深さを忘れて善を施しても、 結局は、その性根を暴露する。

 

14:8 欲深な目つきの人間は、蓄財に身を削り、 困っている人から顔を背け、見ぬ振りをする。

 

14:9 貪欲な目は、自分の持ち分に満足せず、 蓄財に身を削るという悪は、魂を干からびさせる。

 

14:10 蓄財に身を削る者の目は、パンを惜しみ、 その食卓は貧しいかぎりだ。

 

 

 

生きているうちに富を活用せよ

 

 

14:11 子よ、分に応じて、財産を自分のために使え。 主に対しては、ふさわしい供え物を献げよ。

 

14:12 次のことを心に留めよ。死は必ずやって来る。 しかし、陰府の定めはお前に示されていない。

 

14:13 生きている間、友人に親切を尽くしておけ。 できるかぎり手を差し伸べて、援助せよ。

 

14:14 一日だけの幸せでもそれを逃すな。 良い楽しみの機会を見過ごすな。

 

14:15 お前が苦労して得たものは、他人の手に渡り、 汗の結晶も、くじで分配されてしまうではないか。

 

14:16 与えよ、受けよ、心を楽しませよ。 陰府で楽しみをどうして求めえようか。

 

14:17 生あるものはすべて、衣のように古びてしまう。 「なんじ、死すべし。」これは昔からの定め。

 

14:18 枝先に揺れる葉も、 散ってはまた芽生え出る。 血と肉である人間の世代も、 ひとつが終われば、他のものが生まれる。

 

14:19 すべての業は朽ち果てて、 人は、その業とともに消えて行く。

 

 

 

知恵を持つことの幸い

 

 

14:20 知恵に深く思いを寄せる人、 英知をもって理を究める人は、幸いだ。

 

14:21 心の中で知恵の道を思い巡らし、 知恵の秘密を深く考える人は、幸いだ。

 

14:22 狩人のように、知恵の後をつけ、 その通り道で待ち伏せよ。

 

14:23 窓越しに知恵をのぞき見る者は、 戸口でも耳をそばだてる。

 

14:24 知恵の住まいの近くに宿る者は、 知恵の家の壁に釘を打ち込み、

 

14:25 その傍らに天幕を張る。 こうして彼は、良い家に住むことになる。

 

14:26 彼は、子供たちを知恵の保護の下に置き、 知恵の枝に守られて夜を過ごす。

 

14:27 彼は、知恵の陰に覆われて暑さを免れ、 知恵の輝きに包まれて、そこに宿る。

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書13章)

 

金持ちとの付き合い

 

13:1 やにに触れば、手が汚れる。 高慢な人と交われば、 高慢な人間になる。

 

13:2 手に余る重い物を持ち上げるな。 お前よりも力や金のある者と交わるな。 土鍋が鉄鍋とどうして仲間になれようか。 土鍋は鉄鍋にぶつかると砕けてしまう。

 

13:3 金持ちは不正を働きながら、しかも、脅迫する。 貧乏な人は不正を受けながら、 しかも、わびなければならない。

 

13:4 金持ちは、お前が役に立つかぎり、利用するが、 お前が困っているときは、見捨ててしまう。

 

13:5 お前に財産があると、親しげに寄って来て、 お前の財産を使い果たしても、平然としている。

 

13:6 お前を必要とするときには、お前をだまし、 ほほ笑みかけて、希望を持たせ、 うまい言葉を並べ立てて、 「お役に立つことはありませんか」と言う。

 

13:7 そして、ごちそうを振る舞って、お前を恐縮させ、 今度は二度も三度も搾り取り、 最後には、お前をあざ笑う。 その後は、会っても知らぬ振りをし、 お前を無視して、顔を背ける。

 

13:8 用心せよ。だまされることのないように。 自分の愚かさで落ちぶれることのないように。

 

 

権力者とのつきあい

 

13:9 権力者に招待されたら、一応遠慮せよ。 そうすれば、ますます招いてくれるだろう。

 

13:10 深入りするな。深入りするとはねつけられる。 だが、遠ざかっていてもいけない。 忘れられてしまうから。

 

13:11 彼と対等に話ができるなどと、思い上がるな。 彼が多くの言葉をかけてくれたからといって、 いい気になるな。 はずむ話は、お前を試すためであり、 ほほ笑みながらもお前を探っているのだ。

 

13:12 彼は打ち明け話を心にとどめず、 情けを知らず、 虐待したり投獄したりすることを意に介さない。

 

13:13 お前は、自分の秘密を守り、よくよく用心せよ。 極めて危ない橋を渡っているのだから。

 

13:14 〔これらのことを聞いたら、眠りから目を覚ませ。 生涯、主を愛せよ。 主に呼びかけて、救いを求めよ。〕

 

 

 

金持ちと貧しい人

 

13:15 生き物はすべて、その同類を愛し、 人間もすべて、自分に近い者を愛する。

 

13:16 すべての生物は類をもって群れ集まり、 人間も、自分に似た者と固く結び付く。

 

13:17 狼と小羊とがどうして共存できようか。 罪人と信仰深い人もこれと同じである。

 

13:18 ハイエナと犬は、どうして仲良くできようか。 金持ちと貧しい者が、どうして和を保ちえよう。

 

13:19 荒れ野のろばが、獅子の餌食となり、 貧乏な人は、金持ちに食い荒らされる牧草となる。

 

13:20 高慢な人にとって、謙遜が忌まわしいように、 金持ちにとって、貧乏な者は忌まわしい。

 

13:21 金持ちがよろめくと、友人が支えてくれる。 身分の卑しい人が倒れると、 友人でさえ突き放す。

 

13:22 金持ちがしくじると、多くの人が助けてくれ、 言語道断なことを口にしても、かばってくれる。 身分の卑しい者がしくじると、人々は非難し、 道理に合ったことを話しても、相手にしない。

 

13:23 金持ちが話すと、皆静かになり、 その話したことを雲の上まで持ち上げる。 貧乏な人が話すと、「こいつは何者だ」と言い、 彼がつまずけば、これ幸いと引き倒す。

 

13:24 富は、罪に汚れていなければ、善である。 貧乏が悪であるとは、 不信仰な人の言うことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

(外典:ベン・シラ 集会の書12章)

 

 

軽率な判断をするな

 

 

 

12:1 善い業をするときには、相手をわきまえよ。 そうすれば、お前の善い行いは感謝される。

 

12:2 信仰深い人に善い業をなせ。 そうすれば報いがある。 たとえ彼から受けなくても、 いと高き方が報いてくださる。

 

12:3 悪事にしがみついている者や、 慈悲の心を持たず、施しをしない者には、 幸福はやって来ない。

 

12:4 信仰深い人に施せ。だが、罪人には援助するな。

 

12:5 謙遜な人に善い業をせよ。 しかし、不信仰な者には施すな。 不信仰な者には食べ物を拒み、何も与えるな。 さもないと、彼はそれで力を得て、 お前に立ち向かって来るだろう。 不信仰な者に施すあらゆる善い業は、 二倍の悪となってお前に返って来るだろう。

 

12:6 いと高き方御自身も、罪人を憎み、 不信仰な人にあだを返される。 〔主は、報復の日まで、彼らを監視しておられる。〕

 

12:7 善人には与えよ。しかし、悪人には援助するな。

 

 

 

 

友と敵について

 

 

12:8 幸福なときには、真の友を見分けられない。 不幸なときには、だれが敵かはっきりする。

 

12:9 人が幸福なときには、敵はねたみ、 不幸なときには、友でさえ離れていく。

 

12:10 決して敵を信用するな。 彼の悪意は、緑青のように、人をむしばむ。

 

12:11 謙遜な態度をとり、腰を低くしてやって来ても、 用心して、彼を警戒せよ。 彼に対するときは、鏡を磨くように自分を磨け。 絶えず磨いていれば、 彼のさびで害を受けることはない。

 

12:12 彼を傍らに立たせるな。 さもないと、お前を押しのけて、 お前の地位を奪うだろう。 彼を右側に座らせるな。 さもないと、お前の座をねらうだろう。 そのときになって、わたしの言葉を悟り、 わたしが語った言葉を思い出しても、 後悔するだけだ。

 

12:13 蛇使いが蛇にかまれ、 猛獣使いが獣にかまれたとしても、 だれが同情するだろうか。

 

12:14 罪人に近づき、 その悪にむしばまれる者も同じである。

 

12:15 彼は、お前がうまくいっているときには、 一緒にいるが、 落ちぶれたときには、離れ去ってしまう。

 

12:16 敵は、口先では甘いことを言っても、 心ではお前を穴に陥れようとたくらんでいる。 敵は、目に涙を浮かべても、 折さえあれば殺そうと、血に飢え渇いている。

 

12:17 災難がお前にふりかかると、 彼はお前の目の前に現れ、 助ける振りをして、お前の足もとをすくう。

 

12:18 彼は、うなずいたり、もみ手をしたりするが、 裏では陰口をまき散らし、顔つきを変える。

 

 

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

(外典:ベン・シラ 集会の書11章)

 

 

 

軽率な判断をするな

 

 

11:1 知恵があれば、身分の低い者でも頭角を現し、 高貴な人々と肩を並べることができる。

 

11:2 姿形が美しいからといって、人を褒めそやすな。 また、外見によって人を毛嫌いするな。

 

11:3 蜜蜂は、羽で飛ぶもののうち小さい方だが、 その作る蜜は、最高に甘い。

 

11:4 身に着けている衣服を誇るな。 栄誉を受けるときでも、おごり高ぶるな。 主のなさることは、計り知れず、 その御業は、人々に隠されているからだ。

 

11:5 力を誇る多くの支配者が土下座するはめに陥り、 思いもよらぬ者が王冠をかぶることになった。

 

11:6 多くの権力者がひどい辱めを受け、 高名な者たちが異国の人の手に渡された。

 

11:7 よく調べないうちに、とがめてはならない。 まず、じっくり考え、その後に叱れ。

 

11:8 よく聞かないうちに、答えてはならない。 他人の話に割り込むな。

 

11:9 自分にかかわりのない事で、人と争うな。 ならず者たちの言い争いに加わるな。

 

 

 

多くの事に手を出すな

 

11:10 子よ、あまり多くの事に手を出すな。 何もかもしようとすれば、ひどい目に遭う。 やり遂げようとしても、果たすことはできず、 逃げようとしても、逃げきれるものではない。

 

11:11 苦労し、難儀し、懸命に事を運ぼうとしても、 その人はかえってますます遅れてしまうものだ。

 

11:12 のろまで、助けを必要とし、 何もできず、貧しさにあえいでいる人もいる。 しかし、主は、彼に目を注いで恵みを与え、 惨めな状態から引き上げ、

 

11:13 高めてくださった。 そこで、多くの人々は彼を見て非常に驚いた。

 

11:14 善と悪、生と死、 貧困と富は、主が与えるもの。

 

11:15 〔知恵と悟り、それに律法の知識、 愛と善行の道、これらは、主が与えるもの。

 

11:16 迷いと闇とは、罪人と共に生じ、 悪は、それを誇る者と共にとどまる。〕

 

11:17 主の賜物は、信仰深い人と共にあり、 主の御心は、常に彼らを成功に導いてくださる。

 

11:18 生活を切り詰め、強欲に富を蓄える人もいる。 だが、どんな報いがあると言うのか。

 

11:19 「これで安心だ。 自分の財産で食っていけるぞ」と言っても、 それがいつまで続くのか知るよしもなく、 財産を他人に残して、死んでいく。

 

11:20 契約をしっかり守り、それに心を向け、 自分の務めを果たしながら年老いていけ。

 

11:21 罪人が仕事に成功するのを見て、驚きねたむな。 主を信じて、お前の労働を続けよ。 貧しい人を、たちどころに金持ちにすることは、 主にとって、いともたやすいことなのだ。

 

11:22 主の祝福こそ、信仰深い人の受ける報いなのだ。 主は、幸せの花を、速やかに咲かせてくださる。

 

11:23 お前はこう言ってはならない。 「今の自分は何の役に立つのだろう。 今後役に立つとしたら、それは何だろう」と。

 

11:24 また、次のように言ってもならない。 「今の自分は満ち足りている。 今後どんな災害がふりかかるというのか」と。

 

11:25 人は、幸福なときには不幸を忘れ、 不幸なときには、幸福を思い出さない。

 

11:26 死に際して、生前の行状に応じて報いることは、 主にとって、いともたやすいことなのだ。

 

11:27 不幸に遭うと、すべての楽しみを忘れるが、 人の行いの評価は、その最期に明らかになる。

 

11:28 どんな人に対しても死を迎えるまでは、 その人のことを幸せだと言うな。 人間は、その子供たちによって、 本当の姿が知られるのだ。

 

 

他人を家に入れるな

 

11:29 だれかれかまわず家に招き入れるな。 悪賢い人間が、多くのたくらみをもって うかがっているのだから。

 

11:30 高慢な人間の心は、 籠の中にいるおとりのうずらのようだ。 密偵のように、お前を陥れようと すきをうかがっている。

 

11:31 彼は、善を曲げて悪に変えようとねらっており、 申し分のない行いにさえ、非難を浴びせる。

 

11:32 わずかな火種で、炭は燃え盛る。 罪人は、血を流そうとして、 はかりごとをめぐらしているのだ。

 

11:33 悪者に気をつけよ。 悪事をたくらんでいるのだから。 お前が傷つき、いつまでも苦しまないように。

 

11:34 他人を自分の家に同居させてみよ。 もめごとでお前は頭を悩まし、 身内の者からも疎まれる。
 

 

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書10章)

統治者について

10:1 知恵ある統治者は、その民を教育し、 聡明な人の政治は、秩序あるものとなる。

 

10:2 公務に携わる人たちは、民の統治者に倣い、 町の住民は皆、その首長に倣う。

 

10:3 教養に欠けた王は、その民を滅ぼし、 実権を握る者の聡明さは、町を立派に築く。

 

10:4 この世の主権は、主の御手にある。 主は、時に応じて、ふさわしい人物を起こされる。

 

10:5 人の成功は、主の御手にある。 立法者に栄誉を授けるのも、主である。

 

高慢について

 

 

10:6 隣人のどんな不正な仕打ちにも、憤りを抱くな。 また、決して横柄なふるまいをしてはならない。

 

10:7 高慢は、主にも人にも嫌われ、 不正は、そのいずれからも非難される。

 

10:8 覇権は、民族から民族へと移り行く。 その原因は、不正と傲慢と富である。 〔金銭欲の強い者こそ、最も不法な者だ。 彼は、全く守銭奴になりきってしまう。〕

 

10:9 土くれや灰にすぎぬ身で、なぜ思い上がるのか。 だからわたしは、彼のはらわたを、 生きているときに、つかみ出してやった。

 

10:10 長患いは、医者の手に負えず、 今日、王であっても、明日は命を奪われる。

 

10:11 人は死んでしまうと、すべてを失い、 爬虫類と野獣と蛆虫の餌食になるだけだ。

 

10:12 高慢の初めは、主から離れること、 人の心がその造り主から離れることである。

 

10:13 高慢の初めは、罪である。 高慢であり続ける者は、 忌まわしい悪事を雨のように降らす。 それゆえ、主は想像を絶する罰を下し、 彼らを滅ぼし尽くされた。

 

10:14 主は、支配者たちをその王座から降ろし、 代わりに、謙遜な人をその座につけられた。

 

10:15 主は、諸国民を根こそぎにし、 代わりに、身分の低い人々を植え付けられた。

 

10:16 主は、諸国民の領土を覆し、 地の基まで破壊された。

 

10:17 主は、ある人々を取り除いて打ち滅ぼし、 彼らについての記憶を地上から消し去られた。

 

10:18 人間は、高慢であってはならず、 女から生まれた者は、 激しい憤りを抱いてはならないのだ。

 

尊敬に値する者

 

 

10:19 どんな被造物が尊敬に値するか。人類だ。 どんな人が尊敬に値するか。主を畏れる人だ。 どんな被造物が尊敬に値しないか。人類だ。 どんな人が尊敬に値しないか。掟を破る者だ。

 

10:20 仲間の間では、権力のある者が尊敬され、 主の前では、主を畏れる者が尊ばれる。

 

10:21 〔主を畏れることは、 主に受け入れられることの初め、 強情と高慢は、主に拒まれることの初めである。〕

 

10:22 改宗者や外国人や貧しい人、 彼らの誇りは、主を畏れることである。

 

10:23 聡明な貧しい人をさげすむのは、 正しいことではない。 罪ある人をほめたたえるのは、 ふさわしいことではない。

 

10:24 地位の高い人や判事や権力者は、栄誉を受ける。 だが、主を畏れる者は、彼らにまさる者なのだ。

 

10:25 自由市民が知恵ある奴隷に奉仕しても、 分別ある人なら、それをとやかくは言わない。

 

謙遜と誇り

 

 

10:26 仕事をするとき、理屈をこねるな。 困っているとき、見栄を張るな。

 

10:27 働いて、すべてに満ち足りている人の方が、 パンを得る手だてを持たず、 見栄を張って生きる人にまさる。

 

10:28 子よ、慎み深く、自らに誇りを持ち、 自分を、あるがままに、正しく評価せよ。

 

10:29 自分自身を汚す者を、 だれが正しい人と認めてくれるだろうか。 自分自身を軽んじる者を、 だれが重んじてくれるだろうか。

 

10:30 貧しい人は、その知識によって尊ばれ、 金持ちは、その富によって尊ばれる。

 

10:31 貧しくても尊ばれる人は、富を得れば、 どれほど尊ばれるだろうか。 金持ちでも軽蔑される人は、貧しくなれば、 どれほど軽蔑されるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書8章より) 

 

 

良識ある行為

 

 

8:1 権力者と争うな。 彼の手に陥らないともかぎらない。

 

8:2 金持ちとけんかをするな。 彼は金にものを言わせ、 お前に立ち向かわないともかぎらない。 黄金は多くの人々を滅ぼし、 王たちの心を迷わせた。

 

8:3 口数の多い者と争うな。 火に薪をくべることにならないともかぎらない。

 

8:4 粗野な者をからかうな。 彼はお前の先祖を辱めるかもしれない。

 

8:5 罪から離れようとしているなら、 もうその人をとがめてはならない。 わたしたちは皆、 罰に値する者であることを思え。

 

8:6 年寄りだからといって、軽蔑するな。 わたしたちも、いずれは老人になるのだから。

 

8:7 他人の死を喜ぶな。 わたしたちは皆、死すべき者であることを思え。

 

8:8 知恵ある人の話をなおざりにせず、 その格言に心を留めよ。 そうすれば、そこから教訓を学び、 王に仕えるすべを身につけることができる。

 

8:9 老人たちの話を聞き逃すな。 彼らも、その先祖たちから学んだのだ。 そうすれば、そこから知識を学び、 必要なときに答えることができる。

 

8:10 罪人の情欲の炭に火をつけるな。 その燃える炎で、やけどをしないともかぎらない。

 

8:11 傲慢な人の挑発に乗るな。 彼は、お前の言葉じりをとらえて陥れようと、 待ち構えているかもしれないから。

 

8:12 お前より力のある人に金を貸してはならない。 貸したら最後、失ったものと思え。

 

8:13 お前の力量を超えて保証をしてはならない。 保証をするなら、自分が返済する覚悟を持て。

 

8:14 裁判官を相手に訴訟を起こしてはならない。 彼の名誉を重んじる判決が下されるから。

 

8:15 向こう見ずな人間と一緒に旅をするな。 お前はひどい災難に 悩まされないともかぎらない。 彼は勝手気ままにふるまい、 その愚かな行動がもとで、 お前も一緒に命を落とすことになる。

 

8:16 短気な人間と争ったり、 一緒に荒れ野を歩いたりしてはならない。 彼は、血を流すことなど何とも思わず、 だれの助けも得られないところで、 お前を打ち倒してしまうから。

 

8:17 愚か者と相談するな。 彼は秘密を守ることができないのだから。

 

8:18 内密にすべきことを他人の前で公にするな。 どんな結果が生じるか分からないのだから。

 

8:19 相手構わず、人に心を打ち明けるな。 また、相手構わず、人から恩を受けるな。

 

 

 

 

 

(外典:ベン・シラ 集会の書7章より)

 

 

悪を行うな

 

 

7:1 悪を行うな。そうすれば、悪はお前を襲わない。

 

7:2 不正から遠ざかれ。 そうすれば、不正がお前を避けるだろう。

 

7:3 不正の畑に種を蒔くな。 七倍の不正の実を刈り取るだけだ。

 

7:4 権力の座を、主に乞い求めるな。 栄光の地位を、王に乞い求めるな。

 

7:5 主の前で、自分の正しさを主張するな。 王の前で、知恵をひけらかすな。

 

7:6 不正を取り除く力がなければ、 裁判官を志すな。 さもないと、権力者の顔色をうかがい、 公平な裁きができなくなる。

 

7:7 町の住民に対して過ちを犯すな。 また、民衆の前で面目を失うな。

 

7:8 過ちを二度繰り返すな。 一度の過ちでさえ、罰を免れないからだ。

 

7:9 次のように言ってはならない。 「神はわたしの数多い献げ物を顧みてくださる。 わたしが、いと高き神に献げ物をささげれば、 必ず、受け入れてくださる。」

 

7:10 ためらいながら祈ってはならない。 施しをする機会を逃してはならない。

 

7:11 心を痛めている人をあざ笑うな。 人を低め、かつ高める方がおられるのだから。

 

7:12 兄弟に偽り事をたくらむな。 友人にも、そのようなことはするな。

 

7:13 どんな偽りも口にしてはならない。 うそが身につくと、ろくなことにはならない。

 

7:14 長老たちの集いの場では、無駄口を利くな。 祈るときには、くどくどと繰り返すな。

 

7:15 骨の折れる仕事や、 いと高き方が定められた畑仕事を、 嫌ってはならない。

 

7:16 罪人の仲間に加わってはならない。 神の裁きは速やかに下ることを、心に留めよ。

 

7:17 どこまでも謙遜であれ。 畏れを知らぬ者には、火と蛆の刑罰が下る。

 

 

 

 

友人と家族

 

 

7:18 金のために友を裏切るな。 オフィルの黄金のために真の兄弟を裏切るな。

 

7:19 賢く良い女をめとる機会を逃すな。 彼女のもたらす喜びは、黄金にまさる。

 

7:20 誠実に働く召し使いや、 懸命に尽くす雇い人を、冷遇するな。

 

7:21 賢い召し使いを心から愛し、 その自由を奪ってはならない。

 

7:22 家畜がいれば、よくその世話をせよ。 お前の役に立つのだから、ずっと飼い続けよ。

 

7:23 子供がいれば、彼らを教育し、 幼いときから、厳しくしつけよ。

 

7:24 娘がいれば、その体に心を配れ。 彼女らに甘い顔ばかりしてはならない。

 

7:25 娘を嫁がせよ。それで大仕事を終えたのだ。 だが、娘は賢い男に嫁がせよ。

 

7:26 心に適う妻がいれば、彼女を追い出すな。 気に入らない妻には、心を許すな。

 

7:27 心を尽くして父を敬い、 また、母の産みの苦しみを忘れてはならない。

 

7:28 両親のお陰で今のお前があることを銘記せよ。 お前は両親にどんな恩返しができるのか。

 

 

 

祭司に対する尊敬

 

 

7:29 心を尽くして主を敬い、 主の祭司をあがめよ。

 

7:30 力を尽くしてお前の造り主を愛し、 主に仕える人々をなおざりにするな。

 

7:31 主を畏れ、祭司を尊べ。 規定に従って、祭司にその分け前を納めよ。 すなわち、初物、賠償の献げ物、 いけにえの動物の肩の肉、 清めのいけにえ、聖なる初物の献げ物。

 

 

 

貧しい人と悲しむ人

 

 

7:32 貧しい人に援助の手を差し伸べよ。 そうすれば、お前は豊かに祝福される。

 

7:33 生きとし生けるもの、すべてに恵みを施せ。 また、死者にも思いやりを示せ。

 

7:34 泣く人と共に泣き、 悲しむ人と共に悲しめ。

 

7:35 病人を見舞うのをためらうな。 それによって、お前は愛されるようになる。

 

7:36 何事をなすにも、 お前の人生の終わりを心に留めよ。 そうすれば、決して罪を犯すことはない。

 

 

 

 

 

シリーズ:『賢く生きよう』

 

-ユダヤの知恵に学ぶ-  

 

 

高慢になるな

 

 

5:1 自分の財産を頼みとするな。 「わたしは、何でも思いのままだ」と言うな。

 

5:2 本能と自分の力に引きずられ、 欲望のままに生きてはいけない。

 

5:3 「だれもわたしを支配できない」と言うな。 主は必ずお前に復讐なさるだろう。

 

5:4 「罪を犯したが、何も起こらなかった」と言うな。 主は忍耐しておられるのだ。

 

5:5 どうせ罪は贖われるのだからといい気になって、 罪に罪を重ねてはならない。

 

5:6 「主の憐れみは豊かだから、 数多くのわたしの罪は赦される」と言うな。 主は、憐れみだけでなく、怒りをも持ち、 その激しい怒りは罪人たちの上に下る。

 

5:7 速やかに主のもとに立ち帰れ。 一日、もう一日と、引き延ばしてはいけない。 主の怒りが、突然やって来て、 裁きの時に、お前を滅ぼしてしまうからだ。

 

5:8 人を惑わす財産を頼みとするな。 いざというとき、何の役にも立たない。

 

 

 

 

誠実と自制

 

 

 

5:9 風向きを考えずにもみ殻をふるい分けるな。 どんな道でも歩いてよいというわけではない。 それは、二枚舌の罪人がすることだ。

 

5:10 自分の見解には確信を抱き、 発言には一貫性を持たせよ。

 

5:11 人の言葉には、速やかに耳を傾け、 答えるときは、ゆっくり時間をかけよ。

 

5:12 はっきりした見解があれば、隣人に答えよ。 さもなければ、口に手を当てて何も言うな。

 

5:13 名誉、不名誉も言葉しだい、 舌は身を滅ぼすもととなる。

 

5:14 陰口をたたく者と呼ばれるな。 舌で人を陥れるな。 盗人には辱めが、 二枚舌の者には激しい非難が浴びせられる。

 

5:15 大事にも小事にも細心の注意を払え。

 

 

 

6:1 友となるべきときに、裏切って敵となるな。 悪評が立ち、恥とそしりを受けるからだ。 それは、二枚舌の罪人がすることだ。

 

6:2 自分勝手な思いで高ぶるな。 さもないと、暴れる雄牛のように力尽きる。

 

6:3 お前は葉を食い尽くし、実を台なしにし、 そして、自分自身を枯れ木のようにしてしまう。

 

6:4 激情は、これを抱く者を滅ぼし、 敵の物笑いの種とする。

 

 

 

 

誠実な友

 

 

6:5 のどの麗しい声は、友人を増やし、 舌のさわやかな語りかけは、 愛想のよい返事を増やす。

 

6:6 多くの人々と親しく挨拶を交わせ。 だが、相談相手は千人のうち一人だけに限れ。

 

6:7 友をつくるときは、試してからにせよ。 すぐに彼を信頼してはいけない。

 

6:8 都合のよいときだけ友となり、 苦難のときには、離れてしまう者がいる。

 

6:9 また、心変わりして敵となる友もいて、 争いでお前が吐いた悪口を暴露する。

 

6:10 食事のときだけ友であり、 苦難のときには、離れてしまう者がいる。

 

6:11 お前のはぶりがよいと、お前のようにふるまい、 お前の召し使いたちになれなれしくする。

 

6:12 しかし、お前が落ちぶれると、背を向け、 お前の目から身を隠す。

 

6:13 敵からは遠ざかれ。 友達には気をつけよ。

 

6:14 誠実な友は、堅固な避難所。 その友を見いだせば、宝を見つけたも同然だ。

 

6:15 誠実な友は、何ものにも代え難く、 そのすばらしい値打ちは計り難い。

 

 

 

 

知恵に近づけ

 

 

6:16 誠実な友は、生命を保つ妙薬。 主を畏れる者は、そのような友を見いだす。

 

6:17 主を畏れる者は、真の友情を保つ。 友もまた、彼と同じようにふるまうから。

 

6:18 子よ、若いときから教訓を受け入れよ。 白髪になるまでに、知恵を見いだすように。

 

6:19 耕し、種蒔く農夫のように、知恵に近づき、 その豊かな実りを待ち望め。 知恵を得るには、しばらく苦労するが、 やがて、その実を味わうだろう。

 

6:20 教訓を受け入れない者にとって、 知恵はなんと忌まわしいことか。 愚かな者は、知恵の中に踏みとどまれない。

 

6:21 力試しの石のように、 知恵は重荷となって彼を苦しめ、 彼はすぐにそれをほうり出す。

 

6:22 知恵は、その名のとおり奥深く、 多くの人にはとらえにくい。

 

6:23 子よ、耳を傾けてわたしの意見に従え。 わたしの忠告を拒んではならない。

 

6:24 足に知恵の足枷をかけ、 首に知恵の首輪をはめよ。

 

6:25 肩を低くし、知恵を担え。 その束縛にいらだつな。

 

6:26 心を尽くして知恵に近づき、 力を尽くして知恵の道を歩み続けよ。